ウェブサイト始める人WiX、Squarespace、WordPress、Webflow選ぶならどれがいい?

ユニオン・スクエア・ヴェンチャーズという投資会社のパートナーであるアルバートウェンガーさんが興味深いツイートをしていました。
友人のウェブサイト構築に、どのサービスを使うのがいいかな?という疑問です。

https://twitter.com/albertwenger/status/1300596214363164672

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元ツイート

ツイートされてからまもなく、多数の返答が集まっています。
すごいですね。

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返答
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返答2

これらのサービスはどんな特徴があるのか、少し考えてみたのでここに共有します。

Wix

WiX includes Votive, a Visual Studio add-in that allows creating and building WiX setup projects using the Visual Studio IDE.

WiXにはVisual Studioのアドイン「Votive」が内蔵されている。Visual StudioIDEを利用したプロジェクトをセットアップする

en.wikipedia.org

Squarespace

Squarespace was initially built for creating and hosting blogs.[5] E-commerce features, such as an integration with Stripe for accepting credit card payments, were added in 2013.

Squarespaceはもともと、ブログの作成やホスティングを支援するために開発された。その後、イーコマース機能(たとえばクレジットカード決済の承認のためStripeとの統合機能)が2013年に追加された。

en.wikipedia.org

Wordpress

To function, WordPress has to be installed on a web server, either part of an Internet hosting service like WordPress.com or a computer running the software package WordPress.org in order to serve as a network host in its own right.

WordPressを使うにはウェブサーバーにインストールするのが必須。2通りあるが、WordPress.comなどインターネットホスティング・サービスを利用するか、ソフトウェアのWordPress.orgが動作可能なコンピュータを利用する(ネットワーク機能を有効にして、自前運用とする)
https://en.wikipedia.org/wiki/WordPressen.wikipedia.org

Webflow

Webflow is a SaaS application that allows designers to build responsive websites with browser based visual editing software.[1]
While designers use the tool, Webflow automatically generates HTML, CSS, and JavaScript.[2][3]

WebflowはSaaSアプリケーション。ブラウザー・ベースのビジュアル編集ソフトウェアで相互通行的なウェブサイトを開発するのにデザイナーに使われる。デザイナーがこのツールを使うと、自動的にHTMLやCSSJavaScriptのコードを生成してくれる。
1.^ "Design Responsive Websites In The Browser With Webflow". Smashing Magazine. 2014-08-05. Retrieved 2015-03-06.
2.^ "Next-Generation Responsive Web Design Tools: Webflow, Edge Reflow, Macaw". Smashing Magazine. 2014-05-23. Retrieved 2015-03-06.
3. ^ "4 tools native devs should be using to transition to the mobile web | VentureBeat | Dev | by J. O'Dell". VentureBeat. 2013-06-04. Retrieved 2015-03-06.

en.wikipedia.org

レムデシビルとヒドロキシクロロキン16

前回はヒドロキシクロロキンの一面である抗マラリア剤としての効き方、そのしくみを掘り下げました。その先に進むのか、引き返すのか悩んだ末、先に進むことにします。

レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

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変動があるとすれば、レムデシビルは横ばいですが、ヒドロキシクロロキンは前回の急増の反動も予想されましたが、さほど急減していないことです。みるかぎり、ヒドロキシクロロキンの賛否両論はまだ熱を帯びており、そうかんたんには冷めないと筆者は感じています。

マラリア剤としてのクロロキン

前回は抗マラリア剤としてのヒドロキシクロロキンをみた際に、マラリア原虫がもつ酵素でもある、アスパラギン酸プロテアーゼの話が出ました。

ヒドロキシクロロキンはプロテアーゼの不活性化をもたらし、細菌の増殖を抑えることで作用していたわけですが、長い時間を経て、クロロキン耐性を身に着けた、耐性菌が出現したことで、出番が少なくなったという話です。

「クロロキン耐性」の検索上位10件には学術論文のpdfも含まれていて、クロロキン耐性を得たマラリア原虫には固有のトランスポーターがあり、その膜輸送には、定量的に分析できるメカニズムが観測されたという要旨です。

そもそもクロロキンが有効な治療薬として用いられてきたのは、弱塩基であり、酸性である消化胞の内部に入ることはすなわちプロトン化されるということであり、ひいては蓄積してヘモゾインに干渉するという性質のおかげ。

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プロトン

ヘモゾインは、赤血球内の鉄含有タンパク質がマラリア原虫による代謝を受けた際に形成される

https://www.natureasia.com/ja-jp/nm/pr-highlights/9416

ちょっと待って! 弱塩基? 膜輸送? 何それ

弱塩基と組み合わせて検索されたワード

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弱塩基と組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「強塩基 見分け方」「の遊離」「ph」が上位に、Googleにおいては「例」「の遊離」「弱酸 覚え方」が上位に入っています。

「ph」というのは、学校で習った覚えがある、という方も多いと思います。そうです、酸性とアルカリ性のそれです。リトマス紙のそれです。ph値が0-14で、7が中性というような、大雑把な覚え方をしたと思います。

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pHの強度

0は強酸性、14は強アルカリ性。だとすれば、弱塩基は7-8あたりのアルカリ性寄りでしょうか。

膜輸送と組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「とは」「タンパク質」「体」が上位に、Googleにおいては「わかりやすく」「異常」「疾患」が上位に入っています。

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膜輸送体

膜輸送体 - Wikipedia

生体膜を貫通して、物質の輸送をするタンパク質が、膜輸送体です。そのしくみをさらにくわしく理解するためには、上のむずかしい説明を読み解く必要があります。

わかりやすくいえば、水は高いところから低いところへ移動します。それと同じような高低差が、移動を可能にするという理解でいいと思います。

では、クロロキンは耐性菌を前にして、ただただ縮こまって出番がないまま終わるのでしょうか。

上に紹介した論文の書き手(樹下氏」は定量分析を試みて、その可能性を検証してくれました。この場をお借りして、謝辞を述べさせて戴きます。

マラリア薬としての将来を危ぶまれたクロロキンは、ある意味では実験台としての優等生でもあります。

膜輸送のしくみは、濃度差です。高低差です。親油性が低い物質はうまく移動ができない、というWikipediaの説明については、こう換言すればよいでしょうか。

クロロキンは親油性=だから効く

だが、耐性菌はそれを無視する=無視できる強さをもつ

ここまでは理解できます。理解はしたつもりですが、その先がわかりません。クロロキンの親油性は変わらず、その消化胞が変わるということでしょうか。蓄積しようにも、できなくなる。

次に考えることリストに加えるとしたら、マラリア原虫の膜輸送、クロロキンの膜輸送でしょうか。

あとがき

マラリアについて、すでに克服された感染症と感じている人は、どちらかといえば多数派でしょう。しかし、意外なほどにその治療薬の効き目は頼りなく、なぜなのかと考えるに、そもそも「なぜ」「どこに」効くのか解明されていないという仮説がいちばん納得できます。それはおそらく、研究者の方々も同様の感想だと想像します。そのマラリア薬として微妙な立場にいるクロロキン、およびヒドロキシクロロキンが新型コロナウイルスの流行によってかほどに話題を集めているのは、じつに興味深い現象です。もう少し時間がかかるかもしれませんが、このあたりが解明されてくると、マラリアやCOVID-19だけでなく、その先の医療にも大きな成果がみえてくると筆者は感じています。
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レムデシビルとヒドロキシクロロキン15

前回はマラリアへの治療薬として果たしてきたクロロキンの役回りと、プロテアーゼの内情について掘り下げました。今回は少し方角を転じますが、掘り下げている場所はほとんど同じです。

レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

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前回からの変動としては、ヒドロキシクロロキンの関心が急増していることです。とくに英語におけるツイート数が目だっています。ついでにいえば、ヒドロキシクロロキンの別表現である「HCQ」はさらに多く、2時間で1100件以上という数字が出ています。
レムデシビルの横ばいにくらべて、ヒドロキシクロロキンが賛否両論のなかで上昇波動を発生、これは何かの予兆かもしれないと筆者はみています。

さて、前回のプロテアーゼの係わりで、抗マラリア剤として用いられてきたクロロキンが、耐性菌の発生によって効きにくくなってきたという話を紹介しました。

この耐性菌とは、いったいなんでしょうか。

耐性菌と組み合わせて検索されたワード

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耐性菌と組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「とは」「種類」「抗生物質」が上位に、Googleにおいては「治る」「を作らない」「対策」が上位に入っています。

抗菌薬は種類が多くありますが、共通していることは、細菌の増殖をなんらかの過程で「阻害」することで、病気の重症化を防ぐということです。

「阻害」するということの実態は、DNAやRNAの複製によって増殖する、その現場に薬物が自ら入っていくことにあります。リボソームなどの重要な物質に結合して、たんぱく質の合成や、核酸の合成を不能にする。

しかし、これは、細菌の根元を断つというよりも、自然に死滅するような環境を作ることに特化しています。ということは、うまいこと逃げてしまい、増殖に成功する細菌もある、と言うことができます。

そのようにして増殖の道を見出した細菌が「耐性菌」と呼ばれ、これは薬物を通じて種の存続を図ってきた人類にとって、おおいなる脅威です。

クロロキンがマラリアには用いられる例が減ったのは、耐性菌の登場と、副作用が原因といわれています。ヒドロキシクロロキンはもう少し副作用がおきにくいのですが、それでも薬と毒の関係で、治療薬としての地位が徐々に失われていったという事情があります。

「クロロキン耐性」検索上位10件

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「クロロキン耐性」検索上位10件

Yahooで「クロロキン耐性」と検索すると、1ページ目には上のようなアドレスが出てきます。「.ac.jp」が3件、「.go.jp」が3件で、併せて過半を占めています。あまり一般には需要のない検索ワードかもしれません。

この分野が、ある意味ではブルーオーシャンであり、研究の進展しだいでは、きわめて豊潤な市場開拓が可能であるとも推測できます。

近年では、平成30年に上原記念生命科学財団の学会誌に興味深い論文が寄稿されています。抗マラリア薬にかんして、耐性菌の発生を回避できる可能性があるという指摘です。

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上原記念生命科学財団の論文集から

クロロキンは弱塩基性なのですが、マラリア原虫の増殖に必要な環境であるリボソーム、そしてヘモゾインの働きに干渉することで病気の重症化を食い止める役割を果たしてきました。

この役割が、だんだん効かなくなってきたというのが、耐性菌の発生です。

PfCRT は栄養素の輸送体で、食胞内で分解された栄養分の排出体であること。薬剤感受性型も耐性型も共に抗マラリア薬を輸送すること。耐性化の原因は基質輸送の親和性の変化に伴う輸送量の違いであること。がその理由であることがわかった

https://www.ueharazaidan.or.jp/houkokushu/Vol.32/pdf/report/136_report.pdf

岡山大学の研究者である樹下成信氏は以前よりこの問題に係わってきたことで、大事なデータを突き止めたようです。

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耐性化のない抗マラリア薬開発に向けたPfCRTの機能解析

クロロキンの耐性菌という問題は、やはりコロナウイルスの治療薬としての可能性を検討するうえで、避けて通れない問題のように思えます。

弱塩基というのは、かんたんにいえば酸に対して塩基ということで、その度合いが弱いという意味です。

塩基(えんき、英: base)は化学において、酸と対になってはたらく物質のこと。一般に、プロトン (H+) を受け取る、または電子対を与える化学種。

https://ja.wikipedia.org/wiki/塩基

Wikipediaの説明で的確に表現されているので、ここでは付け加えるのを控えます。なんにしても、塩基性なので、うまく効くということで合っていると思います。

それが耐性菌の出現という問題に突き当たったのは、pH値の状況しだいで、「輸送量」が変わってきて、原虫の増殖を阻害するには不十分になってしまったということ。

とても込み入った話をしていることは自覚しています。ただ、これは避けて通ろうとすればかえって遠回りになると筆者は感じています。

問題点を少し振り返ってみると、
耐性菌の出現
クロロキンの副作用
マラリア原虫のもつ性質として、アスパラギン酸プロテアーゼ

このあたりが、結局は肝心だということがわかります。

新型コロナウイルスの治療に用いられたヒドロキシクロロキン。3月には米国で、4月にはブラジルでそれぞれクロロキン投与の方に体調急変で死亡という実例が報告されて、期待がしぼんでしまった残念ないきさつがあります。

しかし、これらの結果を、クロロキンの有効性に対する反証とするには、相当な不確定要素が絡んできます。結局は時間をかける外にできることがなく・・・という話になってしまいます。

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レムデシビルとヒドロキシクロロキン14

前回はDNAジャイレースとトポイソメラーゼIVという酵素、またDNAを構成するヌクレオチドについてかんたんに触れてみました。レムデシビルにも係わりが深いからです。今回はヒドロキシクロロキンに軸足を移してみるつもりです。

ツイート数からみる、レムデシビルとヒドロキシクロロキンへの関心の向き

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前回から変動があったとすれば、ヒドロキシクロロキンへの言及が上昇傾向にあるということ。統計的にはばらつきの多いデータなので、過剰な期待はせずに見ていくことにします。


ヒドロキシクロロキンの効能のひとつ、抗マラリア薬としての役割について、少し振り返ってみます。

マラリア感染症で、蚊を感染経路として、ヒトに重篤な症状をもたらす病気として20世紀に恐れられました。キニーネなどが定番の治療薬ですが、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンは比較的副作用の少ない薬品として、採用されることも多かったようです。

では、このマラリアは、どういった疾病なのでしょうか。

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マラリア原虫

https://ja.wikipedia.org/wiki/マラリア

マラリア原虫とよばれる細菌の増殖によって、ヒトが免疫機能として高熱を出します。いったんは熱が下がることが多く、しかし治らない場合は48時間おき、もしくは72時間おきという間欠の高熱を繰り返すという特徴があり、三日熱、四日熱とも称される理由だそうです。

もう少しくわしく知りたいと思って、右往左往しながらわかったことをここに共有します。

マラリア原虫はアスパラギン酸プロテアーゼという酵素をもつ

RNAポリメラーゼやDNAジャイレースが酵素で、DNA複製に係わる働きをすることは前回までに調べてわかりました。この、酵素というのは広い範囲を指し示す呼び名なので、それだけではわかりにくいと思います。

生物には細胞がたくさんあって、ヒトももちろんそうですが、細菌という目には見えないほど小さな生物であっても、細胞をもちます。この数が増えていく過程では、DNAの複製が必要です。細胞には設計みたいなものがあって、DNAにそれが欠かれているからです。

DNAの複製には、それを記録している二本鎖のうち、一本をほどく(あるいは切り離す)ことによって、同じようなものをつくりだすというプロセスがあります。

映画のフィルムを編集するようなもの、といえば伝わりやすいでしょうか。いまの映画はデジタルが中心なので、なかなかピンと来る方も多くはないかもしれません。

とにかく、酵素というのはフィルムをちょきちょき切り離したり、つないだりするときに使う工具のようなものです。

とうぜん、いろんな酵素があるわけですね。

その酵素のひとつが「プロテアーゼ」という話です。

Yahooで「アスパラギン酸プロテアーゼ」と検索してみると、上位1ページ目にはこのようなアドレスが出てきました。

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アスパラギン酸プロテアーゼ」検索結果の1ページ目

これを内訳で覗き込んでみます。

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Yahoo検索上位10件の内訳、ドメインごと

みるかぎり、学術団体と行政機関のページが併せて過半を占めており、専門性の高い、あまり広く知られているとはいえないキーワードのようです。

プロテアーゼと組み合わせて検索されたワード

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プロテアーゼと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては、「とは」「阻害薬」「食品」が上位に、Googleにおいては、「とは」「阻害薬」「食品」が上位に入っています。あまりなじみがなく、その意味を知りたいという関心の向きが強いようです。

このプロテアーゼですが、プラスメプシンという別名ももちます。正確にいえば、アスパラギン酸プロテアーゼという分類に含まれる、小分類。抗マラリア薬はこのプラスメプシンを標的として、より的確な原虫の増殖阻害が可能になるという認識が増えてきているようです。

いずれにしても、ヒドロキシクロロキンはプロテアーゼの不活性化をもたらす薬品です。

ということは、コロナウイルスへの適用は、酵素を不活性化するという点で何らかの有効性が期待されているため、と類推することもできます。


わからないのは、ヒドロキシクロロキンが抗マラリア剤としては耐性菌には効かなくなってきて、単独では使われる機会が減っているという事情です。

プロテアーゼの不活性化に役立つという利点は、そのままでしょう。しかし、マラリア原虫の性質からすると、赤血球に侵入して、発育期を経て蚊を介した感染が可能になる。ヒトはそのゆりかごのような分担を強いられる。

マラリアには効かなくなってきた=耐性菌の出現

こうしたヒドロキシクロロキンが、なぜ新型コロナウイルスには適用されやすかったのか。ひとつには、マラリアに比べて重症になる確率が低く、なおかつ感染力が強いという事情。

あまり効かないとはいえども、副作用も少ないヒドロキシクロロキンは、広く出回っていて、世界中に感染が広まってしまった以上、スピード勝負になるので、まずはトップバッターとして登場することになった。しかし、単独で効果がどの程度あるかは十分な判断材料がない。

併用されたのはマクロライド系の抗生物質。これはインフルエンザにも効くとされている。インフルエンザウイルスはマイナス鎖RNAウイルスで、新型コロナウイルスはプラス鎖RNAウイルス。ヒドロキシクロロキンはなぜ出番となったのか。

やはり、マクロライド系との「補完性」がまず念頭にあったと類推されます。そのうえで、入手可能性、副作用の少なさがとても強く影響した。効くかどうかは不明だが、プロテアーゼ阻害の抗菌薬は臨床研究が今後伸びるとされている。その、時間的空白を埋めるものが、ほかに見当たらなかったというのがいちばん理屈では通りそうな気がします。

あとがき

マラリアは地球の温暖化に係わりが深い病気で、まだ十分に抑え込めたとは言いがたい人類にとっての脅威です。しかし、マラリアを通じて普及してきたともいえるヒドロキシクロロキンが、新型コロナウイルスの治療薬としての可能性を秘めているのなら、結果として人類の前進にも役立つのかもしれません。そのためにはもう少し、つらくとも辛抱強い忍耐の時間が必要になります。マスクの着用と、亜熱帯にも近い都市部の夏はべつの意味で脅威ですが、感染のスピードを抑えつつ、治療薬の臨床件数を地味に積み重ねることが結局は近道という気がします。プロテアーゼはその正体がまだ見えていない部分もありそうで、研究の進展にもおおいに期待できると筆者は考えています。
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レムデシビルとヒドロキシクロロキン13

前回は抗生物質の係わりで、レボフロキサシンにも触れました。それにともない、mRNA転写というしくみを考え、遺伝子情報の複製がとにかく絡んでくる話だということが見えてきました。今回はまた深堀りしたいテーマが見つかったので、少しずつ、でもしつこく続けます。

ツイート数からみるレムデシビルとヒドロキシクロロキンへの関心

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レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

レムデシビルは日本語では「24時間で40件」英語では「2時間で40件」、ヒドロキシクロロキンは日本語では「24時間で90件」英語では「2時間で270件」という数字で現れており、ややヒドロキシクロロキンの関心が差をつけはじめていると観測します。

集計の結果に多少の揺らぎがあることは自覚していますが、仮に大きな変動があるとすれば、それはレムデシビルもしくはヒドロキシクロロキンに集計困難なほどの関心が寄せられるときだと考えています。

現状では、以下の図に表せる程度の違いなので、この数字に統計的な意味はさほどないとの認識です。

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レムデシビルのツイート数推移
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ヒドロキシクロロキンのツイート数推移

DNAジャイレースと、トポイソメラーゼIV

リファンピシンに触れたとき、RNAポリメラーゼを阻害すると述べました。
もうひとつ、レボフロキサシンに触れたとき、核酸合成を阻害すると述べました。
レボフロキサシンが阻害するのは、DNAジャイレースと、トポイソメラーゼIVです。
では、核酸の合成を行なう酵素であるこの2つの物質を、少し考えてみたいと思います。
DNAジャイレースとトポイソメラーゼはきょうだいのような間柄と言えばわかりやすいかもしれません。
年長、というか広い範囲を指し示す呼称はトポイソメラーゼであり、2本鎖のDNAの切断と、結合をとりおこなう酵素をDNAトポイソメラーゼと呼びます。

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二重らせん - Wikipedia

二重らせんのかたちをしたDNAは、たがいに結び合って成り立っています。この、結び目をいったん切断するとらせんではなく1本のひものような形状になります。
このとき、DNAの遺伝情報を複製することができるようになるわけですが、抗生物質であるレボフロキサシンはこの作業に干渉して、割り込んできて阻害してしまいます。
もちろん、生物にはDNAがあって、それを阻害すれば細胞にまつわる生産ができなくなるので、いわばエラーを起こしてしまう。でも、病原菌のDNAが生産不能ということは、病気の進行が止まるわけで、こうして「くすりで治った」と人間はわかる。
くすりで治る、というのはもちろん色んな形があります。抗生物質で治るのは細菌による感染症であり、このなかでもニューキノロン系のレボフロキサシンは、点眼薬としての利用が多いほか、膀胱炎、吐き気、クラミジアといった症状にも多くの利用実績があるようです。
細胞の増殖を食い止め、病気の進行を防ぐ。その、内訳をじっくり見ていくと、レボフロキサシンが阻害するのは、「核酸合成」だということがわかりました。
遺伝子に関係するDNAやRNAを合成していくうえで不可欠な核酸
ここを阻害する=菌が死滅
こうなるわけですが、
さらにくわしく見ていくと、5つほどに分類できるようです。

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核酸合成阻害の様態

前回に出てきたRNAポリメラーゼは遺伝情報が記載されたRNAを、mRNAに転写するための酵素
DNAも、遺伝情報の記載された、核酸の構成要素です。
では、ヌクレオチドとは何?

かんたんにいえば、ヌクレオチドはとは、DNAやRNAを構成する、単位です。

といってもわかりにくいので、いったん連想ゲームにしましょう。

ヌクレオチドと組み合わせて検索されたワード

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ヌクレオチドと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「とは」「構造」「ヌクレオシド」が上位に、Googleにおいては「ATP]「ヌクレオシド」「構造」が上位に入っています。

たとえば・・・。
ATP」は上位に入っていますが、これはAdenosine TriphosPhateで、構造は下の図のとおりです。

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ATP

また、ヌクレオチドはDNAやRNAを構成する単位なので、これを、「食品への利用」で活用する例が近年目立っているようです。

「うま味」をもつヌクレオチド

うま味調味料、スープ原料には「L-グルタミン酸ナトリウム」と組み合わせて、このヌクレオチド(およびポリヌクレオチド)が生かされています。

さて、ヌクレオチドに親しみが沸いてきたところで、DNAとRNAに戻りましょう。

DNAにしても、RNAにしても、核酸合成阻害薬の、ターゲットになる要素です。リボフロキサシン等(ニューキロノン系)でもそうですが、リファンピシンを含む多種の抗生物質でやはり真核生物のもつゲノムDNAに働きかけて、病気を「治す」わけです。

何にしても遺伝子がどうこう、という話につながっているんですね。

ヌクレオチドときょうだいのような存在である、トポイソメラーゼ。こんな姿をしているそうです。

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トポイソメラーゼ

トポイソメラーゼと組み合わせて検索されたワード

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トポイソメラーゼと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「阻害薬」「とは」「1」が上位に、Googleにおいては「4」「阻害」「ジャイレース 違い」が上位に入っています。

この、「1」とか「4」というのは、トポイソメラーゼの種類です。少しややこしいかもしれません。

たとえば、大腸菌のトポイソメラーゼ1(topoisomerase I)は、I型のうち、IA型という小分類に属します。
そして、どうやらIA型というのは、マイナスのDNAらせんを扱うそうです。

マイナスというのは、たしか・・・。

インフルエンザウイルスのマイナス一本鎖という話がありました。

・インフルエンザウイルスはふつうのウイルスと異なる
・A型、B型、C型があり、A,Bのみヒトに感染する
・RNAウイルスで、マイナスの一本鎖


インフルエンザの抗ウイルス剤にしても、病原性大腸菌の疾患(食中毒、下痢、敗血症など)の治療に用いられる抗生剤も、このマイナスの一本鎖を標的にするわけですね。

ここで、レムデシビルに話を転じます。

新規ヌクレオチドアナログのプロドラッグで、抗ウイルス薬。

https://ja.wikipedia.org/wiki/レムデシビル
そう、レムデシビルにも、ヌクレオチドが係わっているんですね。
もう一つ言えば、ATPの「アデノシン」は、レムデシビルが体内で変身するかたちです。といってもわかりにくいと思います。レムデシビルの作用機序を図にすると、こういう矢印で表せます。

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レムデシビルの作用機序


ヌクレオチドの構造を見てきたことで、レムデシビルの特徴が少しずつ浮かび上がってくるようです。

あとがき

レムデシビルがウイルス性の疾患(エボラ熱、ニパウイルスなど)に果たしてきた役割が、今回流行している新型コロナウイルスにどの程度、通用していくのか。それは今後の課題になると思います。まだ実際の有効性は十分な事例が集まっているわけではなく、他の治療法と併せて慎重な検証が必要になるかと思います。
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レムデシビルとヒドロキシクロロキン12

前回は抗生物質のなかでも、リファンピシンの作用機序を知るうえで不可欠なRNAポリメラーゼとmRNAのさわりを記載しました。mRNAについて、少し補足する必要を感じましたので、角度を変えながら、核心に近づくのが今回のねらいです。
リファンピシンとあわせて考えたい、レボフロキサシン

レボフロキサシンと組み合わせて検索されたワード

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レボフロキサシンと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「錠500mg」「点眼液」「錠250mg」が上位に、Googleにおいては「吐き気」「コロナ」「点眼」が上位に入っています。
個人的に気になったサブワードがありましたので、触れておきます。

「レボフロキサシン インフルエンザ」
「レボフロキサシン クラミジア

レボフロキサシンは、抗生物質です。アジスロマイシンのときクラミジア肺炎のため通販で買おうとしている、関心の向きがあることに気づきました。また、マクロライド系ではインフルエンザ患者の治療にも用いられるという事例も見てきました。レボフロキサシンは、マクロライド系であるアジスロマイシンやクラリスロマイシンと共通項があって、それは「インフルエンザもしくはクラミジアへの抗菌に用いられる」という点です。

ニューキロノン系抗生物質に分類されるレボフロキサシンは、核酸合成阻害薬として扱われています。リファンピシンと同じですね。

リファンピシンとはなにが違うのか?

リファンピシンは、RNAポリメラーゼの役割である、mRNAへの転写というプロセスに干渉します。RNAポリメラーゼは酵素で、DNAがもつ二重らせんの2本のうち1本を複製する工具のようなものですが、ここにリファンピシンがやってくると、その過程が中断することになります。
それに対して、レボフロキサシンはべつの酵素を狙います。DNAジャイレースと、トポイソラメーゼIVです。

この、レボフロキサシンがなぜインフルエンザやクラミジアに用いられるのか? また、「コロナ」への効能があるのか気になっている方が多いのはなぜか?
 
まず、ニューキロノン系は比較的副作用の少ない薬品が多く、治療期間を通じて飲み続けるリスクを考慮すると、予防的に飲むことのできる、守備範囲の広めの傾向があること。

それに加えて、レボフロキサシンにひきつけて言えば、呼吸器感染症の原因となる細菌である肺炎球菌にも効くこと。

注意する点としては、服用によって精神変調や意識障害を起こすことがあって、車の運転など、継続的に危険を回避するための集中力を要する作業に細心の配慮を加えること。

コロナウイルスへの効能はほぼ指摘されていないようですが、検索では上位に入ってくるのは、ニューキロノン系の抗生物質は処方されることが多く、「コロナウイルスにも予防的に効くのでは?」という類推があるのかもしれません。

しかし、コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは異なる、しかも細菌とは異なるという決定的な要素があるので、抗菌薬であるニューキロノン系のもつ、副作用がむしろ表面化するおそれを先に考えたほうが無難と思われます。

ヒドロキシクロロキンと併用されたマクロライド系は、抗菌薬なのに、なぜ出番となったのか?

これは、治療薬が病原体のDNAの複製を食い止めるため、「どこ」を阻害するのかによるためです。ニューキロノン系は核酸合成阻害薬ですが、マクロライド系はたんぱく質合成阻害薬です。この違いがやはり大きいので、アジスロマイシンやクラリスロマイシンが用いられたのだと筆者は考えます。

たんぱく質合成阻害薬には、どういった機能があるのか?

細胞のなかには、リボソームという部位があり、このリボソームに薬品が結合すると、細菌は増殖するためのたんぱく質への翻訳ができなくなります。mRNAの遺伝情報を読み取って、たんぱく質を合成する過程を、「翻訳」といいます。これが機能しない=菌は死滅というわけです。

ヒドロキシクロロキンとマクロライド系の併用によってコロナウイルス感染者が回復せず、死亡率が高い結果さえ出てしまったのは、不幸なことかもしれません。しかし、その後の治療ではヒドロキシクロロキンを、重症化より前に投与することで、きわめて効果が高いことも研究論文で発表されています。

www.sciencedirect.com

ということは、ヒドロキシクロロキンはマラリア治療薬という、抗菌薬に分類される一方、マクロライド系は、やはり抗菌薬ですがそれぞれの守備範囲が大きく異なるというわけです。

クロロキン類はマラリヤ治療薬として名前が挙がることの多い、キニーネメフロキン、ファンシダールなどにくらべて、副作用が少ないという特質があります。

2月から3月にかけて入院患者にクロロキン類が投与されたのは、コロナウイルス陽性とはなったものの、症状が軽い、もしくは無症状の場合に偏っていたようで、これはさほど不思議な治療とは思えません。

ごくふつうともみえる治療の一環として、ヒドロキシクロロキンと、マクロライド系が併用された。

細菌への感染は、細菌の増殖を抑える治療薬が必要になりますが、ヒドロキシクロロキンの作用機序にもあったように、「ヘモゾインの生体内結晶生成の阻害」(Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒドロキシクロロキン#作用機序
がまず考えられるので、こちらがヒドロキシクロロキンの守備範囲。

マクロライド系はたんぱく質合成を阻害する。このとき、前回掘り下げたmRNAの問題が出てきます。

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mRNAの姿 Wikipediaより

ここで、話を少し戻します。

リボソームと組み合わせて検索されたワード

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リボソームと組み合わせて検索されたワード


Yahooにおいては、「とは」「の働き」「RNA」が上位に、Googleにおいては、「RNA」「膜」「簡単に」が上位に入っています。

このように、RNAがサブワードとして上位に入っていて、リボソームとRNAの関係に関心をもっている方が多くいることが類推できます。

簡単にいうと、RNAもDNAも「遺伝子」のキーワードに深いかかわりがあります。その、遺伝子の発現にあたって、RNAは転写の設計図のようなものです。転写は細胞のなかにある核酸(これがRNAもしくはDNA)の役割です。
リボソームは、細胞の一部です。これがあることで、DNAがmRNAの転写ができるようになるので、リボソームとRNAは鑿と槌のような一対になる工具に近いかもしれません。

mRNAは、Wikipediaにある図のように、細長いひものような形状で、次々と遺伝情報を読み取っていく作業工程図のようなものです。

こうやってみると、病原体といえども、遺伝子をシステマチックに転写していくという、生物には共通の機構があって、治療薬にもこれを模倣した構造があるわけで、病原体も治療薬も、似たような姿をしていると考えると、理解しやすくなるかもしれません。

ヒドロキシクロロキンとマクロライドの併用は、増殖しているウイルスに、攻撃を加えるというよりも、その相方に名乗り出るという理解が、むしろ近いのかもしれません。もちろん、相方になることによって、治療薬のほうもいずれは死滅するわけですが。

レムデシビルは、抗菌薬ではなく抗ウイルス薬です。そのため、コロナウイルスへの治療に選ばれるのはさほど支障なく進むでしょう。しかし、治療薬は上に述べたとおり、病原体と似た姿をしていて、いずれは死滅するわけですが、のちに生体内でべつの影響を及ぼして、患者の健康を害することもあります。

これが副作用とよばれるもので、レムデシビルの場合、催奇形性が懸念されているのは、やはり遺伝子情報の転写が関わってくるからです。妊婦の方に投与するのは、大きなリスクを伴うことを無視するわけにはいきません。

その一方では、ヒドロキシクロロキンには心臓への負担が強く懸念されるという別の副作用があって、こうしてみていくと、レムデシビルとヒドロキシクロロキンのあいだにあるのは優劣というよりも、別々の方角へ進んでいく民族の差のようなものです。

民族は、似たような姿をして、似たような環境で生き抜くための資質を育てていきます。病原体も、治療薬も似たような姿をしていると述べました。それは、民族が、そういう仕組みであるのとやはり似ているかもしれません。

mRNAの理解と、抗ウイルス薬の理解が相互補完的なものであるとともに、重複的なものであることがぼんやりと見えてきました。

DNAの奥深さと、人間のもつ遺伝情報と、ウイルスや治療薬のもつ構造は、たがいに支えあう、弓と矢のような関係かもしれません。

参考:レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

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レムデシビルとヒドロキシクロロキンのツイート数

レムデシビルは、日本語については「24時間で20件」英語については「2時間で30件」ヒドロキシクロロキンは、日本語については「24時間で70件」英語については「2時間で370件」という数字になりました(8月17日13時)。
みるとレムデシビルの熱がさめ、ヒドロキシクロロキンの熱がましているようです。

あとがき

レムデシビルとヒドロキシクロロキンという課題設定でみると、新型コロナウイルスの流行から派生している大きな変化が、意外なほどに見えやすくなってくるようです。そもそもコロナウイルスの一種と考える治療が、順調に進まないために様々な治療法が提案され、実際に患者の方を通じた研究成果が徐々に出るなか、COVID-19はその宿主を次々と得て生き残っています。そうすると、抗ウイルス薬の定石ではかなわない、なにか新たな将棋の戦法のような考案がどうしても求められるのかもしれません。ヒドロキシクロロキンに副作用があることは、その可能性を大きく狭めるわけではありません。もし併用によって目立った成果が安定して現れるなら、既存の治療薬の分担を超えて、病院治療のあり方を再発明することも可能かもしれません。ただ、そのためには時間との闘いに負けないこと、人類がともに知恵を出し合うことが不可欠なので、そこがむずかしいかもしれない。
個人的にはヒドロキシクロロキンの長いトンネルに、わずかな光明が見えつつあると感じていますが、レムデシビルを用いた治療の普及にも一望千里の広野が見えます。

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レムデシビルとヒドロキシクロロキン11

前回はレムデシビルとリファンピシンの共通項や、抗ウイルス薬と抗菌薬のそれぞれに係わる、核酸合成阻害のプロセスにも掘り下げていきました。不明だったRNAポリメラーゼとmRNA転写の仕組みについて、今回は調べます。

RNAポリメラーゼと組み合わせて検索されたワード

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RNAポリメラーゼと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「とは」「阻害薬」「ii」が上位に、Googleにおいては「2」「わかりやすく」「プライマー」が上位に入っています。

そもそも、RNAポリメラーゼって何者?

「わかりやすく」のほかに、「簡単に」というサブワードが10番目以内に入っていることから、ほかの部位にくらべてわかりにくいのがRNAポリメラーゼかもしれません。
簡単にいえば、
RNAポリメラーゼ=酵素
これで合っていると思いますが、酵素は何するものぞ? という方は先に進めずに困っていると思います。筆者もそうです。

酵素は分子です。どんな分子かといえば、「何か」と「べつの何か」を結ぶ、その化学反応に役立つ分子です。RNAポリメラーゼにひきつけて言えば、DNAが二重のらせんで成り立っているところを、2本で対になっているうち1本をほどいて、転写する。このプロセスに役立つ分子が、RNAポリメラーゼという理解です。
で、酵素は基本たんぱく質をもとにして構成されている。
RNAポリメラーゼは、「ほどく」作業をスムーズに行って、転写が完了するまでそこに係わる、工具のようなもの。
だから、RNAポリメラーゼを阻害するリファンピシンは、結核の治療薬として通用する。

リファンピシンとレムデシビル

抗菌薬である抗生物質には、「どこ」を阻害するかによって種類があって、細胞壁合成阻害薬、たんぱく合成阻害薬、核酸合成阻害薬、葉酸合成阻害薬と細胞膜障害薬があります。このうち、リファンピシンは核酸合成阻害薬にあたり、その機能の一部がRNAポリメラーゼへの阻害ということになります。
これは、抗ウイルス薬でも共通しているので、レムデシビルについてもRNAポリメラーゼへの阻害が大事になってきます。
レムデシビルが効く病気に、リファンピシンが効くとしたら、そこから推論できることは幾つかあります。
リファンピシンが効く病気と、レムデシビルが効く病気に、何かの共通項がある、とも言い換えることができます。

mRNAとは

酵素が分子であり、たんぱく質をもとにして構成されていることがわかりました。RNAポリメラーゼという工具が何をするのか?
べつのたんぱく質の合成、ともいえます。生体の細胞には、たんぱく質がかならず係わってくるので、病原体が細胞に入りこんで、増殖するためにはこのプロセスがかならず係わるということでもあります。
ここが働いているかぎり、増殖するのが結核菌であれ、コロナウイルスであれ、仕組みは同じであり、病原体ならばそれを阻害する=治療となります。

では、結核とウイルスの違いは何か? RNAポリメラーゼも違うのか?

これは、結核菌は真核生物なので、RNAポリメラーゼI,II,IIIがあり、とくにIIが関心の的になっているようです。

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RNAポリメラーゼの種別

ウイルス(RNAウイルス)については、マイナス鎖RNAとプラス鎖RNAのいずれかを鋳型にしていて、インフルエンザではマイナス鎖に相当していますが、プラス鎖に相当するフラビ、トガ、ピコルナなどもあって、それぞれの特性があります。
ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用で、十分な治療成果が見られないとの論文が5月頃続出したのは、インフルエンザのマイナス鎖と、コロナウイルスのプラス鎖が
異なることが影響しているのでは・・・と筆者は考えました。

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新型コロナウイルス

日本ウイルス学会より
http://jsv.umin.jp/news/news200210.html

マクロライド系の抗生物質、たとえばクラリスロマイシンはインフルエンザの治療にも用いられてきましたが、新型コロナウイルスが流行し始めた際、インフルエンザの流行期とも重なっていたことが、マクロライドの採用を促進した部分があるかと思います。
いずれにしても、RNAポリメラーゼの働きをどうするのか?という対処の仕方になるのは共通していて、やはりここを理解しないことには、前に進めないような気がします。

mRNAと組み合わせて検索されたワード

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mRNAと組み合わせて検索されたワード

Yahooにおいては「株価」「翻訳」「塩基配列」が上位に、Googleにおいては「とは 簡単に」「合成」「タンパク質合成」が上位に入っています。
また、「RNA 違い」も共通して関心の向きが強く、やはり大事なところだと思われます。
わかりやすくいえば、

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スプライシング

スプライシング - Wikipedia

映像分野でいう「スプライシング」が似ているので、連想しやすいのでは?
DNAの構造もフィルムみたいなところがあって、「切って、つなぐ」ことが必要なんですね。
増殖するうえで、いったんフィルムを「カット」して、「つなぐ」ことで、編集が進む。それがmRNAの意味するところかと思います。

あとがき

mRNAについては、まだ調べ物が十分ではないので、次の考えることリストに入れておきます。レムデシビルとリファンピシンの関係について、だいぶ見えてきた一方、ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用についてもう少し知識が必要なことに気づいたので、まだしばらく回り道がつづくかもしれません。
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