【根拠】コロナウイルスはラボで作製されたわけではない

正直、コロナウイルスの原因がどこにあるという話はあまりピンと来なくて。そう、ずっと半年くらい避けてきたのですが、そろそろ世の中の関心から外れてきたのかな、と思うので、自分なりに調べてみました。
読みたいという人はあまりいないかもしれませんが、意外なこともだんだんわかってきて、それはそれで面白い気がします。

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One of the conspiracy theories that have plagued attempts to keep people informed during the pandemic is the idea that the coronavirus was created in a laboratory. But the vast majority of scientists who have studied the virus agree that it evolved naturally and crossed into humans from an animal species, most likely a bat.<<

パンデミックと、コウモリ

パンデミックが進行するなか、人々の関心を寄せつけてきたいろいろな陰謀論。そのひとつが、コロナウイルスがラボで作製されたというものがある。だが科学者がウイルスについて研究を重ねた結果いまのところ定説といえそうなのが、自然現象のなかで変質した結果、動物種の由来、それもコウモリが伝染を介したものが人間へと移ったとする見解だ。
このSARS-Cov-2なる名称のウイルスについて、「食虫の」動物が由来であって、人工のものでないとする説は、どのようにして定説になったのだろうか?

遺伝子研究、ウイルスのいろいろ、エボラも媒介したコイツ

遺伝子研究の手法から、またウイルスが変質してきた履歴を読み解き、さらには俎上に乗っているコウモリの生態を考慮に入れることで、その答えに近づくことができる。
これまでに判明している感染症のうち60%、また人間がこれまでに罹患してきた、または新たに罹患した疾病のうち75%が動物に由来しているとされる。SARS-Cov-2は人間が罹患したことのある七種のコロナウイルスの最新型だが、この七種はすべて動物由来であり、コウモリ、ネズミ、家畜のいずれかであった。また、コウモリはたとえばエボラ熱、狂犬病、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、マルブルクウイルス、A型インフルエンザを媒介するともされている。
SARS-Cov-2の遺伝子構造、ゲノムはこれまでに世界中の科学者の研究によって数千件にものぼる成果が発表されてきた。このウイルスがラボで人為的に作製されたのならば、そこにはゲノム蓄積の何らかの痕跡があるはずであり、今回のウイルスの新種の背骨を成す、既存のウイルスの構造にもそれがはっきり出ているはずだ。それは、特定の要素に対する、遺伝子構文の挿入あるいは削除として認識される。

では、なぜ人工ではないと言い切れる?

だが、そのような証拠はどこにも見受けられない。ウイルスを遺伝子構造から操作するような技法が、遺伝子構文に何の痕跡も残さないということは、きわめて起きにくい。
SARS-Cov-2のゲノムはコウモリ由来のこれまでのコロナウイルスのそれと同様で、たとえばセンザンコウの場合もそうだったが、いずれの場合もゲノム構造の基本はほとんど共通している。これらのコロナウイルスのゲノムはそれぞれ違いがあるが、同じ部分もあって、コロナウイルスが少しずつ変質していった自然界のパターンを踏襲している。ということは、SARS-Cov-2の場合もやはり自然由来のコロナウイルスの発展型といえるだろう。
では、今回のSARS-Cov-2がほかのコロナウイルスとどう違うのかといえば、人間の細胞のひとつである「ACE2」の外部構造である蛋白質と非常に似通った蛋白構造を保有している点だ。一方、既存の類似種のコロナウイルスでは互いに同等の機構が含有されていて、これを根拠にラボで人為的に作製されたというよりも自然由来であると判定するのが妥当といえる。

コウモリってそもそもなんでコウモリなん?

コロナウイルスとコウモリには、食物連鎖のそれと同様の関係性があって、コウモリの免疫系をうまく回避して生存しつづけようとするとともに、コウモリはこのコロナウイルスの感染から逃れようとする進化の仕方をしている。ウイルスひとつとってもいろんな進化の形態をとっていて、たいていの場合コウモリの免疫系によって駆逐されるのだが、なかには生き残ってべつのコウモリへと移り種の存続を図るというわけだ。

あとがき

なるほど・・・。
面白い。でも、コウモリはコウモリでいろいろあるんだな・・・ということがわかって、コロナウイルスに立ち向かうコウモリと人間の共闘は実現しないかもしれませんが、何かヒントが得られるならコウモリにも感謝なのかもしれないな、と思った次第です。
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