オラクルの経営体制変更は、共同CEO慰留を狙った設計

昨日オラクル首席経営執行役員ラリィ・エリソンが退任したことの背景には、彼の右腕を長らく務めてきた2人への慰留があったとみられる。マーク・ハードとサフラ・カッツは現在共同CEOとなっている。
エリソンがCTO職を執ったことによって生じる三頭政権は、数年前に交わされた契約が表面化したという単純な側面がある(これはハードが2010年にHPを退社してオラクルに加入した時期のことだ)。だがそれだけとも言えない。今回の異動は、オラクルの経営を長期安定させる狙いがあったとみられる。そしてそのためには、57歳のハードと、52歳のカッツが今後もオラクルに留まるかという懸念も払拭する必要がある。
社内の事情を知る複数の人物がリコード誌に明かした話では、最近2人にオラクル社外からヘッドハントの声が掛かっていたという。この話によると、それらの協議はいずれも進展しなかったが、どの企業が声を掛けたかは不明だという。
ハードの名前はこれまで2度にわたり取り沙汰された。1度は昨年デルが経営陣によるバイアウトをめぐってCEO選出のとき、もう一度はマイクロソフトのスティーヴ・バルマー後任選出でサトヤ・ナデラが選任されたときだ。2人にはこれ以外の企業からも声が掛かっていたという。
ラクルはコメント要請に応じなかった。
ハードは昨年、本俸と株式による役員賞与を合わせて4360万ドルを受け取った。このほかに、前述の話によれば慰留目的とみられる報酬を呈示されたという。当局への提出文書によると、ハードはプレジデント就任後5年間で500万株の同社株式を支給された。この報酬形態は今年4月か5月で満期を迎えたと、前述の人物の一人は言う。これによりハードは、早ければ2月にも社外の役職を引き受ける交渉が可能となったとみられる。
この事情はカッツについても同等で、彼女は世界一報酬の高い女性企業幹部だ。昨年カッツは本俸と株式による役員賞与を合わせて4360万ドルを受け取った。その前年は5200万ドルであった。提出文書によると、2012年には4年間に500万株のオラクル株式を29.72ドルで行使できる購入オプションを支給された。
複数の人物の話では、彼女もやはり他社からの声が掛かっていたが、ハードと同様にいずれも交渉には応じなかった。そして、2人のCEOへの役員賞与の額は公表されていないが、増額されたことは間違いない。
それに比べて不明瞭なのは、この共同CEOがどの程度長続きするかである。三頭政権となるこのたびの人事はオラクルの日常業務に大きな変更をもたらさないが、長い目で見れば共同CEOは失敗に終わる例が多い。
うまくいった例と失敗した例を挙げると、オラクルの競合であるSAPはビル・マクダーモットが先日単独CEOへと昇進し、ドイツ企業である同社で初めてアメリカ人が経営トップに就いた。もうひとつの例はブラックベリーで、数年間マイク・ラザリディスとジム・ボールジリがエンジニアリングとビジネスをそれぞれ分担して共同CEOとして経営した。これは当初はうまくいったが、後に機能しなくなった。オラクルについては時間がその決着をつけるだろう。(続きを読む)
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)