キュリグのネクスト・ビッグ・シングの運命は暗闇へ

キュリグがもがき苦しんでいる。
同社の株価は年初から60%落ち込んだ。コーヒー抽出機とその付属品の販売が劇的に減少したことがきっかけである。
昨年キュリグは最新のコーヒーメーカー「キュリグ2.0」を発売したがこれが失望を買い、同社は他社による追撃を受け結局コーヒーポッドの値段を引き下げた。これが営業利益率を圧迫したとモルガン・スタンレーのアナリストは指摘している。
キュリグは将来の成長可能性を著しく欠く製品に依存することとなった。家庭用ソーダ・マシンである。キュリグ・コールドと銘打たれたこの商品は来月から販売される。300ドルの販売を予定するこのマシンはコカコーラとの提携によって開発され、炭酸水に好みの風味を加える機械である。キュリグがソーダストリームに対抗するため出してきた提案だ。
この製品の成功をめざす労力はかなりのもので、コカコーラはこのマシンに先がけて昨年、キュリグの16%に相当する株式を取得し、24億ドルを投じた。
ソーダ会社である同社はすでに投資額のうち10億ドルを失った計算で、コカコーラが近い将来にこのお金を取り戻せる可能性はますます低くなっている。コカコーラとキュリグは本件にかんしてコメント要請に応じていない。
今週ビジネス・インサイダー誌の取材に対し送付した声明文で、キュリグはこのように述べている。「わが社は長期的な事業の見通しに自信をもっています。ホット用マシンは分野で先行する強みをもっており、利用者の増加とキャッシュフロー創出力においては順調となっているためです。また、わが社は近日中に『キュリグ・コールド』の発売を予定しており、これが長期的な成長と価値創出のきっかけをもたらすと見込んでおります」
キュリグは今年に入ってから売上高の見通しを3度にわたって引き下げた。同社によると、9月を期末とする12か月間で1桁前半台のマイナス成長率を見込むという。同社は以前、小幅な成長を見込むと発表していた。抽出機と付属品の販売は26%減、営業利益は27%減の1億1360万ドルとなった。
投資家はキュリグ・コールドがブランドの活性化をもたらすことに期待を寄せてきた。
このマシンはソーダストリームにはない長所もいくつか備えており、コカコーラとの提携によって顧客はコーク・ブランドのプロダクトを自作することもできる。コールドは飲料を自動的に華氏39度まで冷やすことができ、CO2カニスターに依存しないという、ソーダストリームの利用者から苦情が挙っていた件を解決している。
キュリグはさらに、清涼飲料水市場はホット飲料とくらべて5倍の市場規模があると主張している。
だがコールドが成功するためにはいくつか障壁がありそうだ。以下に挙げる。
1 マシンが高すぎる
一部のアナリストによると、コールドのモデルは299ドルから369ドルでの発売となる予定で、ソーダストリームの最廉価モデルの79ドルよりずっと高い。初期投資金額もさることながら、コールドのマシンを使うたびに、0.99ドルないし1.29ドルを費やすことになる。一方ソーダストリームは1回あたり0.08ドルないし0.20ドルである。
2 ソーダ消費は合衆国内で10年にわたって減少をつづけている
「キュリグがコールドを発売しようとしているいま、アメリカ人は成人病や糖尿病といった健康の心配からソーダ消費を控えている」とウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。家計ごとの年間ソーダ消費量は41.4ガロンと、2004年の52.4ガロンから減少していることが業界紙のベバレッジ・ダイジェストの調査で判明している。
3 ソーダストリームの売れ行きからキュリグ・コールドの売れ行きを予測できるとすれば、投資家には心配の種
ソーダストリームの販売は直近四半期に29%減となった。このうち合衆国では44%減となっている。減少に転じたのは昨年で、それまで7年間連続で2桁の成長率をつづけていた。同社の株価は昨年の半分近くまで落ち込んでいる。
4 キュリグ・コールドはキュリグのホットコーヒー・マシンと連動させたほうがよい
この2つのマシンが合流するまでは、多くの顧客にとってキュリグ・コールドは台所の場所をとる厄介ものと感じられるだろう。続きを読む
(From the Business Insider blog post. Thanks to Harley Peterson.)