マイクロソフトのAPI公開はオープンソースの人が喜ぶ話とは違うらしい

マイクロソフトウィンドウズ・ビスタなどの技術情報を無償公開と発表

マイクロソフト(MS)は21日、パソコン用基本ソフト(OS)など主要製品の技術情報を原則として無償公開すると発表した。これにより他社は互換性のあるソフトを自由に開発できるようになる。MSは自社ソフトを知的財産として囲い込み、競争力の源泉としてきたが、世界の規制当局による競争政策の促進などを受け、1975年の創業以来の経営戦略を転換する。

ほかにはWindows Server 2008SQL Server 2008、Office 2007、Exchange Server 2007、Office SharePoint Server 2007

同社によれば今回開示した技術情報は,Windows Vista.NET FrameworkWindows Server 2008SQL Server 2008,Office 2007,Exchange Server 2007,Office SharePoint Server 2007の通信プロトコルAPIに関するもの。今後も同社の主要製品に関しては,同様の方針で情報を公開するとしている。

今回のAPI公開は欧州の裁判所への一時的な返答か

今回の決定は、欧州第一審裁判所(CFI)が下した独禁法訴訟の裁定に対処するためのものだ。CFIは2007年9月に、Microsoftにサーバ製品のインタフェース情報の公開を命じたほか、WindowsWindows Media Playerとの抱き合わせ販売は違法と判定した。

オープンソースと協調するために新しく4原則を作ったらしい

相互運用性に関して以下の4原則を設け、主要なハイボリューム製品に適用する。

  • オープン・コネクションの確保
  • データ・ポータビリティの促進
  • 業界標準サポートの強化
  • 顧客やオープンソースコミュニティ、産業全体との対話や協調した取り組み

「これらの原則はテクノロジや製品に関して、われわれの情報共有の方法を大きく変えるものだ。開発者やパートナー、顧客、競合他社の選択とビジネスチャンスを拡大する。われわれの長期的な目標の1つにつながる変革だ」とServer and Tools部門担当のシニアバイスプレジデントであるBob Muglia氏。

APIは公開するが、Open Document Format規格の採用は見送り

Microsoftはさらに、Office 2007と文書フォーマットとの連携を高めるため、開発者に対し新しいAPIを提供することを明らかにした。同社では、代替となり得るOpen Document Format(ODF)規格を、Office 2007でネイティブではサポートしない方針だ。

欧州委員会からすればマイクロソフトの対応はあまり変わっていない

欧州委員会では、マイクロソフトの発表を受けて声明文を発表。相互運用性の実現に向けた動きは歓迎するとしながらも、今回の発表はマイクロソフトが過去に発表した4回の同様の声明を踏襲したものだと指摘。また、欧州委員会では2008年1月から独占禁止法違反の疑いでマイクロソフトの調査を開始しており、今回の発表に関わらず引き続き調査を進めていくとしている。

今回のマイクロソフトの行動は認識を改めた程度の話か

米国451Groupのアナリストである、マシュー・アスレット(Matthew Aslett)、ジョン・アボット(John Abbott)、ニック・セルビー(Nick Selby)、ビシュワナス・ベヌゴパラン(Vishwanath Venugopalan)の各氏は、今回の発表に対し、「Microsoftは、GoogleFacebookなどのように、プラットフォーム企業が自社のAPIを完全に公開し、開発者が各種のプログラムを開発できるようにすることで、より有意義な開発が行われることを認識した」と評価する論評を発表した。
 この論評は、Microsoftが完全な情報公開に踏み切ったわけではないとしながらも、「Bill Gates氏が経営の第一線から身を退いたことで、合理主義が前面に出てきた」との見方を示している。そのうえでアナリストたちは、アプリケーション開発者とMicrosoft製品との結び付きが強まることで、さまざまな面で同社に利益がもたらされると予測している。

ZDNetのMary Jo Foley記者、リナックス供給業者との特許保護契約はあきらめていないマイクロソフト

Microsoft’s promise not to sue open source developers solely applies to developers who are using Microsoft’s patented protocols and interfaces in non-commercial ways. In other words, Microsoft isn’t throwing in the towel in its quest to get Red Hat and other Linux vendors to sign patent-protection agreements.

CNET News.comのStephen Shankland記者、オープンソースの人からみれば手放しで喜べるような状況ではない

The move could make it easier for many projects to work well with Microsoft products and potentially replace them--for example the Thunderbird e-mail software could communicate better with Microsoft Exchange servers and also displace Microsoft Outlook on PCs. But Microsoft also made it clear that a pledge not to sue open-source programmers only applied in "non-commercial" contexts, so open-source fans didn't get everything they want.

インターネットにおけるグーグルの成功から学びつつあるマイクロソフト

In fact, the changing business models on the Internet that have made Google so successful are another example of where Microsoft could have benefited if it had embraced open standards and more technological transparency sooner, Selby said.

まとめのようなもの