合同会社設立225日目、朝

港区は曇天。ここ数日あれれと思うほど涼しい。寒いと思うひともかなりいるのではないか。
月曜日、朝。
ここでは朝目覚めるとがやがやと騒がしい。人も歩くし自動車も通る。表通りではないのだが、人にも自動車にもちょうどよい近道になっているようで、タクシーなんかは威勢よく吹かしている。そのせいでごちゃごちゃとした音が絶えなくて、ここに越してきたときは馴れなかった。だが住めば都とはうまく言ったもので、朝目覚めて人の気配がするのはこれでなかなか悪くない。活動する人の気配は、ちょっとした勇気もくれる。ぶらぶらしているのではなく、どこかに向かって一生懸命歩いているように見える。それに加えて、向かいは活気のある酒屋さんだ。コンビニエンスストアが近くにないので、そのかわりに十分なる貴重な場所になっている。夜は店を閉じてしまうが、朝早くガラガラとシャッターを開けていつもどおりやっている。近所の人にはずいぶん好かれている。わたしも買い物するときは、まず兵庫屋さんで買えるかなと考える。玄関を出たら目の前なので、とりあえず見に行って、目当てのものがなくてもなにか買っている。小学生なんかも小銭をもってやってくる。建設中のとび職のひとも、犬の散歩のひとも、専門学校の学生も、近くの大使館のひともやってくる。都営住宅のひとはやってきてしばらく雑談して、そのまま買わずに帰っていくひともある。だが経営はじゅうぶんうまくやっていると思う。わたしはここに住んで、とても多くのことを教わったような気がしている。
自分のところがそういう結び目のような役回りをもらえたら、けっこう気持よく暮らしていられるのではないかなと思う。これはたぶん、鳥の目で見ておいたほうがよさそうだ。つまり、すぐにどうこうという話でもなさそうだ。