合同会社設立288日目、朝

港区は曇天。昨日の暑さが明けても残っている。
月曜日。
豊田喜一郎の伝記を読んでいて、その性質や境遇がどのように言い伝えられているのかに関心をもった。

喜一郎は、一見するとちょっと内気。無駄話はいっさいなく、要件のみを伝える。興が乗ると自分の構想を滔々と述べる。が、自分を飾ったりひけらかしたりすることはなく、誠実な情熱がほとばしる。しかも、親しく接すると、さりげなく細やかな気配りもする。
しかし、その一方で非凡な観察力と構想力を持ち、先の先、裏の裏まで考え抜いて事を起こし、いったん始めたらきわめて大胆で、いざとなったら強引に押し切る図太さも持っているのである。
佐吉と喜一郎で一番違うのは、喜一郎の観察力が、技術的な発明の分野だけでなく、人事、社会一般にまで行き届いていて、周到に裏の裏まで考え抜いていることだろう。その証拠に、喜一郎は佐吉のように人に騙されたことはほとんどないのである。競争相手として考えたら、佐吉より遙かにしたたかで手強い人物だったのではなかろうか。(野口均『トヨタを創った男 豊田喜一郎』WAC、2002年)

非常に興味深い。