インテルがカスタム設計のチップによりクラウド・システムでの版図を拡張へ

チープな、大量生産の半導体はわたしたちの世界を変容させてきた。スマートフォン、ラップトップ、センサー、タブレット、それらすべてが巨大なクラウド・コンピューティング・システムへと接続されている。
この変容がビジネスにもたらす力学は、とりわけその大きさ、巨大クラウド・システムの可能性は情報時代の発電所たる企業に大きな力をもたらそうとしている。
インテルは、世界最大のチップメーカーだが、いわゆるx86プロセッサという標準形式をつくりだし、それを数百万個生産しパーソナル・コンピュータから、数十万台からなるネットワーク接続されたコンピュータ・サーバ群からなるクラウド・システムまで、多用途に販売してきた。
来年は、しかし、同社がパブリック・クラウド向けに販売するチップの半数以上がカスタム設計によるものとなる見込みだ。これはインテルがデータ・センター事業によって年間販売する1800万個のチップのうち、見逃すことのできない割合である。
「弊社ではカスタム・ソリューションの要望にノーと言ったことは一度もありません」(クラウド向けチップ設計で)と語るのはディアーヌ・ブライアント、彼女はインテルのデータ・センター事業統括者である。「われわれは、数万個の注文がやがて数十万個の注文になるのを見てきたのです」(特別設計チップ)
パブリック・クラウドとは、誰でもアクセス可能なコンピュータ・システムを指し、コンピューティング能力を多様なサーヴィスとして利用する。世界最大のパブリック・クラウドはたとえばアマゾン・ウェブ・サーヴィシズ、グーグル・コンピュート、マイクロソフト・アズールが挙げられる。これらは通例コンピューティング能力やデータ・ストレージを販売している。競合する他社はたとえばフェースブック、中国の百度バイドゥ)などは非常に多くの人数がいるコンシューマ向けに多方面から提供している。
このほかにパブリック・クラウドに挙げられるのは、ツイッター、イーベイなどだが、これらはインテルの定義では第2種とされるが、それでも数千万人に利用されている。それこそが、特別設計のチップを要望する理由である。
AWSのような企業は「数百万台のサーバ、それを置くためのフロア・スペース、電力、冷却装置、人手をつねに抱えており、そのためできることなら何でも最適化したいのです」とブライアント氏は述べる。「そのゲームの名前は、カスタム化です」
じっさい、アマゾンはこれまでに50メガワット電力の発電補助設備をコンピュータ群のために用意してきた。グーグルで幹部を務めた人物によると、同社はインターネット通信のデータ・パケットが行き来する方法を自ら変えてしまったという。これはグーグルが活用するのに適した最速の通信に最適化するためである。
フェースブックは、現時点で世界最大の写真保存庫を所有しているが、同社は画像読み込みに最適化されたチップを多数必要としているとみられ、また画像認識へと急速に舵をとってきているとされえる。このことから、チップに搭載するプロセッサのコア数はより多く求められる。
「テクノロジへの依存が増すたびに、大型インフラストラクチャへと求められる負荷は増していくのです」とブライアントは語る。「そのゲームの名前は、カスタム化です」
では、インフラストラクチャとは。イーベイは先日高度効率化冷却システムを設置したが、このとき同社はインテルに耐熱度がきわめて高いチップを要求した(それほどまでに過酷な状況で使用されるのだ)。需要は明確かもしれないが、この事業の採算についていえば、そうかんたんではない。インテルは数千万このまったく同じものを生産することによって利益を上げてきたからだ。
ではカスタム化は、なぜうまくいくのだろうか? その理由は、やはり、コンピュータである。インテルのチップ生産工場は自動化が進み、不要となったコアを放置、あるいはべつの用途に振り分けるという性能は、マシーンへ伝達するコマンドをほんの少し変えるだけでできるようになった。顧客はチップの特別設計のためには、少し高く支払うことや、特殊サーヴィスのための工賃を追加で支払うことをいとわない。
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(From the NYTimes.com blog post. Thanks to Quentin Hardy.)