クラウデラが株式公開へ急ぐ必要がない理由

ビッグ・データ・ソフトウェア企業で、インテルが大株主となっているクラウデラが最近でいちばん期待の高い新規株式公開へと突き進んでいるのは周知の事実である。だがちょっと一息ついていただきたい。
同社の今後の計画についてよく知る複数の人物によると、クラウデラが今年春にもIPOへの引き金を引くという一部報道に違和感を唱えている。この数週間にわたって同社の動向には憶測が飛び交っていた。なかでも根強くあったのは、クラウデラが2月17日(昨日だ)にもIPO申請を具体化させるとのウワサだ。これはサンノゼで今週開催されている「ストラータ+ハドゥープ・コンファレンス」に日程を合わせるとの説だった。クラウデラはハドゥープのオープンソース版を販売しており、ビジネス・データの管理および解析に利用されている。火曜日にヴェンチャービートが報じたところによると、IPO申請は5月にも見込まれるという話だったが、これは可能性が低い。憶測だけのIPO申請をよそにクラウデラは火曜日、2014年に同社の売上高が1億ドルに達したことを公表するプレス・リリースを出した。
このプレス・リリースは、クラウデラのIPOは急ぐ必要がないことを如実に表している。株式公開を実施する企業は事実上すべて、JOBS法の規定に沿って申請している。この法律は連邦法で、企業が合衆国証券取引委員会に文書提出のうえ、承認を経た場合、一定の条件を満たせば申請を非公開で行なえる権利を企業に与えている。仮にクラウデラのIPOが5月までに実現するならば、それは同社がJOBS法にもとづいて非公開で申請を行なっているはずである。そうなると、同社は広報活動自粛期間にあたっているはずで、プレス・リリースを出すことはありえない。
クラウデラ創業者でチーフ・ストラテジ・オフィサーであるマイク・オルソンは今日、リコード誌の取材に答えてこう述べた。「弊社ではIPOへ向けた日程表をもっていません。以上です」彼はクラウデラが今年中の株式公開の可能性については、2016年の可能性についても明言を避けた。「実施したいと思ったときに実施できるのが望ましいです」と彼は言う。また、今回のプレス・リリースの意図として考えられるのは、クラウデラと競合の筆頭にのぼるホートンワークスに対する牽制ではなかろうか。両社とも、ハドゥープ(大規模な企業内データの管理および解析に利用されるオープンソース・ソフトウェア)の販売およびサーヴィス提供では有力な地位にある。
ホートンワークスは、ベンチマーク・キャピタルのピーター・フェントンをはじめとするヴェンチャー・キャピタリストから支援を受けており、12月12日にIPOを完了した。同社は公開企業として初めての四半期決算を1週間後に控えている。トムソン・ロイター社の調査によるとアナリストは2014年度の売上高を4800万ドルを事前予想していた。これはクラウデラの半分ほどの売上高だ。この点でクラウデラはハドゥープ関連企業としてどちらが上手をとっているか、はっきりと世に示したい。またクラウデラは、これ以上資金調達をする必要もない。昨年同社はインテルからの7億4千万ドルを含め、総額9億ドルの資金調達を実施したばかりである。これによりチップメーカーである同社はクラウデラの17パーセントを握る大株主となり、またクラウデラの評価額は40億ドルを超えるとされる。得られた現金の大半は銀行預金となっており、クラウデラは自分の都合にあわせてIPOを慎重に進めることができる。オルソンは2013年までクラウデラのCEOを務めていたが、次のように述べている。「未公開企業であることの優位は数多くありますし、それが弊社にとって最適である間はこの優位を保っていくつもりです」(続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)