フリップカートはテクノロジ業界での人材確保を狙い元グーグル幹部を起用

10億ドル以上という巨額の資金調達を実施し評価額が100億ドルに達しているという事実のわりに、インド国内におけるイーコマースの巨人であるフリップカートは、シリコン・ヴァレイでは必ずしもビッグ・ネームとはいえない。
だがこのたび行なった幹部起用は、同社が同地でも主要プレーヤーにならんと願っていることがわかる。
フリップカートは、水曜日にもグーグル元幹部プニット・ソーニを起用したことを発表する見通しだ。彼の前職はモトローラ・モビリティでのプロダクト・マネジメント担当シニア・ヴァイス・プレジデントである。
ソーニ氏を起用することで、フリップカートの現行および開発中プロダクト(デザインを担当するために彼は起用された)において、トップレベルの人材を同社が強く求めていることは明らかだ。
「これがきっかけで、優秀な人材を得ることは困難さを増すでしょう」とフリップカートのコマース・プラットフォーム統括者ムケシュ・バンソルは電話インタヴューで語った。
中国におけるイーコマースの巨人アリババ・グループが台頭するのに多くの注目が集まるさなか、フリップカート幹部はインド市場と同地でのインターネット・ブームには見るべき点が劣らずあると強調する。
フリップカートがアリババの向こうを張るように見えて来る背景にあるのは、バンソル氏が言うようにインド国内でのオンライン・ショッピング額の半分を同社が握っている事実だ。
一方、ソーニ氏がグーグルを退社した昨年秋、それはモトローラ・モビリティレノボへ売却された時期に重なるが、彼のレーダーにフリップカートは映っていなかったという。彼はモトローラ・モビリティでは携帯電話メーカーである同社の顔として、グーグル・プラスのソーシャル・ネットワーク上で同社プロダクトや計画について精力的な宣伝を行なった。
だが一方、フリップカートのレーダーにはソーニ氏が映っていた。というのは、両社はモトローラ携帯をフリップカートのセールス・プラットフォームに対応させるため協力関係にあった。
当初、フリップカートからのアプローチを彼は本気に受けていなかった。だがインドへ視察したところ、同社の設備の前で思わず目を瞠ることになったと彼は言う。同社の運営する倉庫とトラック配送システムを見て、そこで働く同郷人であるインド人たちの姿はかつて見られなかったほどの違いだった。
「わたしが目にしたのは、イーコマースの巨大なシステムが多くの人の暮らしを変えている実態でした」とソーニ氏は言う。「その日の夕方、わたしはこの仕事がただの工場作業ではないことを思い知ったのです」
また、彼はフリップカートの職場を見て回ることで、同社の一貫してエンジニア主体となった文化に驚かされた。
だが彼は今度の職場にはまだない価値をもたらすため、シリコン・ヴァレイの社員文化を根づかせるつもりだ。
バンソル氏によると、今回の起用の目的は同社のモバイル向けサーヴィスの充実とともに、急速に変化するトレンドに適応できる人材の確保、シリコン・ヴァレイの逸材をめぐる争いを勝ち抜くことにあるという。
といっても同社は合衆国をはじめとするテクノロジの本場から優秀な人材を雇用するだけでなく、インド国内でのイーコマース市場に2、3年は注力するとバンソル氏は言う。アリババも中国でのイーコマースが同社の半分以上を占めている。国際展開はこれからの話となる。
長い目でみれば、フリップカートの発展はいずれ国内でのテクノロジ界隈の成熟とともに伸びていくことになります、とソーニ氏は言う。続きを読む
(From the NYTimes.com blog post. Thanks to Michael J. De La Merced.)