EMCのトゥッチは同社の現状維持を望む

データ・ストレージおよびITの巨人であるEMCは、新設する6種のイニシアティヴは今後2018年までに70億ドルの売上高を創出する見通しだと述べた。一方、次期CEOが誰になるかといった懸案となって久しい課題については目新しい発言が聞かれなかった。
ニューヨークで開かれた金融アナリストを対象とした会見では、EMCのCEOジョー・トゥッチ、ヴイエムウェアCEOパット・ゲルシンガー、ピヴォタルCEOポール・マリッツが参席し、EMCの特殊な企業形態に関して弁護する発言を繰り返した。兼ねてより投資ファンドからは批判があり、分社化の提案が挙がっていた。
同社CEOトゥッチは、プレゼンテーションとその後のアナリストからの質問への回答で、買収を重ねて成り立っている企業複合体について見解を述べ擁護した。中核を成すのはEMC2、ヴイエムウェア、ピヴォタルのほか、セキュリティ・ソフトウェア企業RSAがある。同社はITシステムにまつわる込み入った状況に対処したい顧客を支援する。
そしてこの連合に新たに加わったのがVCEで、同社は当初シスコ・システムズとのジョイント・ヴェンチャーとして設立されたが、昨年EMCが完全子会社とした。
「ぜひお聞きしたいのですが、弊社以上にテクノロジ関連企業を豊富にもつ会社はありますか」とトゥッチは語った。「われわれが買収をすると、優秀な人材を確保したうえで価値も増やすことができます。われわれは逸材を引き留めるだけの揺るぎない底力があるのです」

CFOゼーン・ロウエはプレゼンテーションのなかで、EMCの企業形態は新たな分野での投資を3年で回収するためにはきわめて重要であると弁護した。新設された6部門のプロダクトとしてそれぞれEMC子会社であるスケーリオ、エクストリーモ(フラッシュベース・ストレージ・プロダクト)、ソフトウェア開発企業のピヴォタル、昨年EMCが買収したエンタープライズ・ストレージ・プロダクトのDSSD、モバイル機器マネジメントのエアウォッチ、ソフトウェア主体ネットワーキング・テクノロジのNSXの名前が挙げられた。これらのプロダクトはEMCの後押しなくては勝ち抜くことはできないと彼は述べた。
これらのイニシアティヴへの投資は来年にも損益分岐点を通過し2018年に70億ドルの売上高、1株利益にして50セント相当を生み出すという。「これらの投資は企業複合体の支えがなければ回収できないのです」とロウエは言う。
言及がなかったのはEMCの抱える根本的な懸案である。トゥッチは現在67歳で、彼の跡を継ぐCEOが誰になるのか、ヒントを示すことはなかった。
憶測として名が挙がっているのはデーヴィッド・グールデン(54)で、データ・ストレージ部門であるEMC2を統括しており、EMC本社の先代CFOを務めた有力な後継者である。だが同社はこの話題について寡黙を貫いた。
トゥッチをはじめ参席した幹部はヴイエムウェアを分社化する計画はないと述べた。EMCが株式の過半数を握る同社は、EMCの時価総額である554億ドルの大半の価値を担っている。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)