グーグルはほとんどすべての種類のデータ分析ができるストレージを安価で提供へ

グーグルは新しい種類のデータ・ストレージ・サーヴィスを始めるようだ。それに併せてアマゾン・ウェブ・サーヴィシズやマイクロソフト・アズールへ対抗するクラウド・コンピューティング戦略を公表した。
同社は水曜日、新しいサーヴィス「ニアライン」を開設すると発表した。最重要ではないデータを保存するためのこのサーヴィスは、AWSのプロダクト「グラシア」と同じように安価なストレージであるニアラインは1ギガバイトあたり月額1ペニーという値段である。マイクロソフトの提供する最安値のオンライン・ストレージは現在1ギガバイトあたり2.4セントである。
グラシア・ストレージが数時間という取得時間なのに対し、グーグルはニアラインのデータは約3秒になる予定だという。
3秒といえばオンラインの世界では、ウェブ・ページ表示にかかる時間としては永遠にも等しい。だがニアラインのデータは長期間保存に適しているだけでなく、データ分析に役立つという。
この名前の意味は、いつでもつかえる「ニアリー・オンライン」を短縮したもので、グーグルの提供するストレージ・プロダクト間で移動させることは容易である。1秒以下というデータ取得時間だが、同社にとっては上級ストレージを販売する営業手法にもなるほか、アナリティクス・ツールの充実にもつながる。
グーグルのより長期的な戦略は、べつの言い方をすると、ありとあらゆる種類のデータ分析を網羅するクラウド・コンピューティング企業として自社を位置づけることにある。これは同社の検索エンジン事業の中核を成すことにもなる。
「ストレージが重要というよりも、むしろあなたがたがデータ分析を行えることが重要なのです」と述べるのはトム・カーショウ、彼はグーグル・クラウド・プラットフォームでプロダクト・マネジメント担当ディレクタを務める。「決して削除はしない。いつでもデータを使えること。これがグーグルのしていることです」
検索の巨人である同社は、よく知られるようにデータこそすべてであり、社員がランチに行くために運転する所要時間を分析して、そこから無料ランチを提供することを決断したり、あるいは暖房器具の吹き出し口の位置によって変わる生産性の分析までしている。最近では顧客向けにデータ分析プロダクトを提供するようになった。
ビジネス向け分析プロダクト「ビッグ・クエリ」は大量データの分析に利用されている。「データ・フロー」は現在限定リリースだが数か月以内に一般向けに提供される見通しだが、特殊な分析につかわれる大量データを収集するのに使われる。たとえば、医療記録を分類して、性別や年齢ごとに分析する。
カーショウ氏によると、さらに多くのプロダクトが近い将来に登場するという。
さらに、グーグルは既存のストレージ業者との連携で、ヴェリタス・シマンテック、ネットアップなどのデータを需要ごとに収集したりニアラインへと転送する計画を発表した。
既存のコンシューマ向けサーヴィスであるドロップボックスなどでは通例、1テラバイトのデータを月額10ドルで保存できる。これはニアラインとグラシアも同等の値段である。だが実際には、ほとんどの顧客が実際にはその上限からはるかに下の容量しか利用していないという現状に依存して運営されている。
マイクロソフトは分析プロダクトの拡充を進めているが、一方グーグルは企業向けにほとんどすべての種類のデジタル・データを永久に保存できることを目標としているとカーショウ氏は述べる。「リアルタイム知能が役に立つのは、そこにつぎ込むことのできるデータの質にかかっているのです」と彼は言う。「もしグーグルが過去15年間の母の日のデータ分析にアクセスできなかったら、グーグルはずいぶん違ったものでしょう」
彼はつづけて、「もし1970年代までさかのぼってすべてのシステムやデータを利用できていたなら、どんなにすばらしいか思い浮かべてください」と述べた。続きを読む
From the NYTimes.com blog post. Thanks to Quentin Hardy.)