スナップチャットCOOエミリー・ホワイトが退社

エミリー・ホワイトは、インスタグラム幹部として多方面に名を知られており2013年後半にスナップチャットCOOとして電撃移籍したが、このたび自動消去メッセージング企業である同社を退社する。
カリフォルニア州ヴェニスを本拠とする同社は声明文を発表、退社の事実を公式に認めた。「エミリーは有能な企業幹部であり、彼女がスナップチャットで果たしてきた数多くの貢献に感謝いたします」
複数の情報源から聞いた話によると、今回の人事は共同創業者兼CEOであるエヴァン・スピーゲルの数週間前からの言動から憶測があったという。彼は自ら積極的に実務に関わるCEOであることを求めていた。両者はこの問題について話し合ったとみられ、ホワイトはこれまでスナップチャットの幅広い実務の責任を兼務し、業務執行、営業、人事を網羅していた。
ホワイトはシリコン・ヴァレイではたいへん人望の厚い経営幹部として、ゆくゆくは会社のCEOを勤めることを自ら目指していた。だがスナップチャットの役職を引き受けたのは幅広い分野の責任者を務めることができるためだった。これはフェースブックCEO兼共同創業者マーク・ズッカーバーグとCOOシェリル・サンドバーグとの関係に近い。
端的にいえば、スナップチャットの場合では結局、スピーゲルが急速に成長するスタートアップである同社内での決定権を強く握ることを要求したため、ホワイトが望むリーダーシップの発揮とは相反することとなった。
ホワイトは、この2か月のあいだに退社した同社上級幹部としては3人目で、これらの3人は全員、奇しくもフェースブックから移籍してきた。ソーシャル・ネットワーキングの巨人である同社は、インスタグラムの親会社で、ホワイトはスピーゲル自身が呼び込んできた幹部だ。彼女は以前グーグル幹部を務めた当時サンドバーグと同僚だったが、この関係はフェースブック加入後も続いた。
営業統括者であるマイク・ランドールは、ホワイトによって同社に呼び込まれたが、1月末で同社を退社している。また、サラ・スパーリングは、スナップチャットで人事をはじめ各種部門に携わったが、先月個人的都合を理由に退社している。両者とも、家族はサン・フランシスコ地区に居住しており、おおむね6か月以内の退社となった。
上級幹部の退社は大きな穴といえるが、注目を集めるスタートアップの世界では、とりわけ創業後の日が浅い場合幹部人事が急変化することが珍しくない。フェースブックツイッターが異例の急成長にあった時期は、やはり同様なことが起きている。それでもやはり、社外から見るかぎりは、このように短期間に集中して幹部が去っていくことは不安材料となる。
もっとも、スナップチャットは若い企業にしてはベンチを守る経営幹部に恵まれており、いまなお起用の過程にある。たとえば営業統括者、CFOが募集中である。上級幹部でいえば、イムラン・カーンはスナップチャットで期待の声が高い幹部のひとりとして、チーフ・ストラテジ・オフィサーを務める。ほかには、エンジニアリング担当ヴァイス・プレジデントのティム・セーンは以前アマゾン幹部を務めた。グーグル、アップル、モトローラ剣舞を歴任してきたスティーヴ・ホロウィッツは同社エンジニアリング担当ヴァイス・プレジデントを歴任している。エゴン・ゼンダー幹部を務めたシーミ・シングは現在チーフ・タレント・オフィサーを務めている。グーグル幹部を務めたジル・ヘーゼルベーカーは現在コミュニケーションおよびポリシー統括者を務める。ジェネラル・カウンシルのクリス・ハンドマンもいる。
この経営陣は近日、数多くの実績を出しており、たとえば新機能「ディスカヴァー」は出版社や各社マーケターからの評判が高く、広告の的中率も優秀となっている。ホワイトはこの取り組みのなかで、ニューズ・コーポレーションのデジタル幹部を務めたニック・ベルとの連携で成果を出している。
ご存知ない方のために説明すると、ディスカヴァーはスナップチャット社内で新設された機能として、各種出版社が24時間ごとに入れ替わる動画や記事の配信を行なえるものだ。出版社はコンテントに掲載される広告に対し100ドル/CPMを支払い、その成果連動型報酬としてはデジタル業界きっての高単価となっていた。
ディスカヴァーのポイントとしては、2つ挙げられる。ひとつは、ユーザがアプリを毎日開く理由付けをもたらす。もうひとつは、スナップチャットの利益を押し上げる。
スナップチャットの成功や急成長(とくに若い世代)は投資家たちの強い関心を呼び込んでいる。スナップチャットは先日中国のテクノロジ企業大手アリババから2億ドルの資金を調達しており、また一部報道では同社評価額は150億ドルに達したという。ディスカヴァーだけでなく、同社は現在売上高を加速させる取り組みを進行中で、投資家たちにとっては異例の評価額を正当化するための重要な計画とみられている。
ホワイトのスナップチャット退社後については、彼女をよく知るインターネット企業幹部の話では、非常に有望だという。「エミリーはかなり多くの重役の話を選べる立場にあるでしょう」とこの幹部は語る。「彼女はフェースブックでもスターでした。スナップチャットでも優秀な仕事をしてきました。今後の期待は相当なものです」続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Kara Swisher and Kurt Wagner.)