ユーバがビングのマッピング事業資産の一部譲渡を受け社員100名が移籍

ユーバはマイクロソフト・ビングの事業の一部譲渡を受け、このうち画像収集に従事する100名程度の社員を招き入れることになった。つまり、ユーバはマイクロソフトからデータ収集エンジニアを引き抜いて、自前のマッピング技術を強化することを狙っている。
両社は今回の事業譲渡について、テッククランチの取材に応じたものの、合意事項の詳細については明かさなかった。ユーバ側が支出する費用は限定的で、譲渡を受ける事業資産の金額は小額にとどまる。むしろテクノロジの移転をどうするかが重要だろう。
ユーバのアプリは要するにアドオンを付与したマップであり、(とくにシリコン・ヴァレイでは豊富に流動している)エンジニアを動員していく理由があるのは自然なことだ。また、マイクロソフトが一部の社員を削減したいと考える理由も考えられ、同社の主要なプラットフォームや生産性ツールに従事していない人員は、自然とその対象となるだろう。
マイクロソフトはそれでも、ビングを事業譲渡するつもりがないことを繰り返し表明しており、今回一部でも譲渡となったことは注目すべきである。(更新:この点について、マイクロソフトはビング検索の扱いをより大きな製品群の一部とみなしており、ビング自体が事業とは認めていない。要は、筆者もテクノロジ界隈の住人として意見できるならば、今回の譲渡はとくに戦略の変更というほどでもないようだ)
今回の取引はユーバのもつ大きな野望をやや低く見積もっているようだ。同社は今回のように1回の意思決定によって100名もの社員を雇用した例がなく、そうなるとしたら大型プロダクトの計画があるはずだ。ユーバの養子になる社員たちはビングで画像データ収集に従事してきた、つまり検索エンジンの3D、空撮、ストリート見物に関する技術を主に担当してきたわけで、そのためユーバが何を始めようとしているかは見当がつきそうなものだ。
両社がテッククランチの取材に応じて述べたところでは、今回の取引成立によって、社員の移転に時期を合わせて「事業」が移転となるという。その事業の内訳については両社ともに踏み込まなかった。だが弊誌の推測では、画像収集の仕事をしている人が事業ごと他社に移ったとして、その後も同じ仕事をすることになるとしたら、常識外れでもないだろう。
筆者の推測では、マイクロソフトは画像収集部隊の一部をユーバに売り渡したら、ライセンスの権利もついてくるのではないか。もうひとつ推測するならば、レドモンドは知的財産の一部も併せてユーバに売り渡すのではなかろうか。もしこのなかに事情を知っている人がいるなら、メッセージをこっそり送ってほしい。
両社の公式なコメントからみると、どちらも言い回しの違い程度にとどまる。ユーバは「今回の事業譲渡によってわが社の得られる有能社員とテクノロジについて、大いに期待しています」と述べ、マイクロソフトも曖昧な表現で、昨年から「弊社の主要事業戦略へと人員の集約を進めるため、多数の配置転換を実施しております」と述べている。
ユーバが今後、フル装備の事業へと進出しようとしているのは明らかだが、一方マイクロソフトはプロダクトの選択と集中は同社の強みになりうると訴えかけているようだ。今後に注目である。いまわかっているのは、ユーバは新しいツールを手に入れ、マイクロソフトはビング関連プロダクトが財務面で少し軽量化されたということだ。続きを読む
(From the TechCrunch blog post. Thanks to Alex Wilhelm.)