50億ドルの評価額でビザがストライプに投資し、業務提携を締結

クレジットカード企業はオンライン決済という日々競争の激化する領域で、新たな盟友を見つけ出した。その名前はストライプ。
ビザはこれまで決済スタートアップとの業務提携を進めており、それとはべつにサン・フランシスコを本拠とする同社に投資を行なった。その評価額は50億ドルである。業務提携によって両社は決済セキュリティとプロダクト・イノヴェーションの推進を主旨としたイニシアティヴで協働する。また、今回の投資はクライナー・パーキンズなど初めて同社に投資する機関を招きいれた資金調達ラウンドの一環となる。5月にリコード誌ではストライプが資金調達を準備中で、評価額が50億ドルに達する見通しだと報じていた。
ビザは今回の投資金額を公表しておらず、ストライプは参画した投資家の総投資金額が1億ドル以下であることだけ公表した。今回の成約によって、三大クレジットカード企業のうち2社であるアメリカン・エキスプレスとビザを投資家として受け入れたことになる。ストライプCEOパトリック・コリゾンはマスターカードとのパートナーシップあるいは投資の可能性についてはコメントできないとしたが、次のように述べている。「わが社の優先課題はカード・ネットワークとの効果的な共同作業を進めていくことです」
今回のタイアップに先立って、テクノロジ企業、クレジットカード・ネットワーク、小売業、スタートアップはそれぞれ、デジタルおよびモバイル決済において主導権を握ろうと駆け引きを進めてきた。ストライプはクレジットカード企業からは盟友とみられており、同社のソフトウェアはオンライン・ビジネスやアプリ・メーカーがクレジットカード決済の早期受け入れを実現しやすく、ディヴェロッパからの支持が厚い。一方先日(イーベイから)分離独立したペイパルはクレジットカード処理を大量に行なっており、ストライプと競合する企業を傘下にもつため、事態を憂慮している。また同社は買い物客が銀行口座を経由してペイパルで決済するように、カード決済より安い手数料を設定している。
ビザとストライプの業務提携は主に3つの協力領域を設けているとコリゾンは述べた。セキュリティ面でいえば、ストライプはビザとの協働で同社の暗号化サーヴィスへのアクセスを受け入れ、買い物客のカード情報をサイバー犯罪から守るコードに変換する。ストライプはすでに確立している暗号化技術を用いて決済データ・ストレージに保管する。今回ビザの協力を得たことによって、新事業の構築の可能性も出てきた。
両社はさらに、協働でデジタル決済環境の新設をめざす。ただし、両社とも詳細は明かしていない。さらに、ビザはストライプが新興国市場へ進出するための支援を行ない、従来クレジットカード企業が金融機関と強い関係をもつこれらの地域での普及を進める。
「会社のゴールがインターネットのGDPを増大させ、世界各地で普及を進めることだとしたら、カード・ネットワークは当然協力すべき相手が見つかるのではないでしょうか」とコリゾンはインタヴューに応じて語った。
そこには当然疑問点がある。では、両社は業務提携と投資がなかったとしても今回のような仕事はできたのではないか? たぶんそうだろう。しかし、今回の成約によって、両社はそれぞれの強みを与え合い、プロジェクトの迅速な進捗を実現し、今後の長い事業拡張の道のりを助け合うことになるとも考えられる。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Jason Del Rey.)