ブラックベリイがグッド・テクノロジを買収しセキュリティ強化へ

(オタワ)携帯電話からソフトウェアへの引越しを進めるブラックベリイは金曜日、競合のグッド・テクノロジを4億25百万ドルで買収すると発表した。グッドはブラックベリイと長らく競合しており、企業や官庁が利用するソフトウェアで、職員のスマートフォン保有によって増大するセキュリティ問題を管理する技術を手がけていた。
ブラックベリイの首席経営執行役員ジョン・S・チェンは同社再建のために欠かせない事業として、覇権獲得を強く推し進めてきた。今回の買収によって、ブラックベリイの顧客層は拡大するとみられるが、これにあわせて両社は異例に悪化していた関係の修復を実現する。
2004年、グッドは携帯メール技術の特許をめぐって発生した訴訟にかんしてブラックベリイにライセンス使用料と和解金の支払いで合意した。その後両者はマーケティング活動をつうじて互いのプロダクトを貶める取り組みを繰り返し、その水準は極度に達していた。
「上級幹部のあいだではもはや互いへの好意が消えうせていたのは明らかです」と自営でアナリストとして活躍するジャック・E・ゴールドは投資調査報告書で述べている。「クリスティ・ワイアットはブラックベリイをこきおろそうと、限界近くまで多大な時間と労力を費やしてきた一方、ジョン・チェンもそれに応酬してきました」
ワイアット氏はグッドの会長で首席経営執行役員を務める女性だが、両社が合流することについて当初は「とてもありそうもないアイディア」と考えたという。しかし「ジョンと一緒に話をして、具体的な数字を見ていくうちに、これは興味深いことになりそうだと感じたのです」と彼女は述べている。
近頃ますます企業や官庁の顧客がモバイル通信とデータに深く依存するようになっており、そのための管理ソフトウェアの需要がこれまでになく大事な要素になってきたとワイアット氏は述べる。モバイル機器管理ソフトウェア市場は数社の小規模企業がいる一方、業界大手のマイクロソフトなどが参入を狙っていると彼女は指摘する。
グッドはかつてモトローラ傘下に入った後2009年にはヴィストに買収され、現在のグッド社となった。
ワイアット氏は、同社が赤字をつづけているのと同じくブラックベリイもそうだと指摘する。しかし今回親会社となった同社は現在のような苦境においてもキャッシュの維持や拡大を実現する一方、グッドはキャッシュを食いつぶしてきた。具体的な数字についてはふれなかったものの、ワイアット氏は同社が「ブレークイーブンが近い」状況だったと明かす。
アナリストの調査では今回の買収は一長一短であり、ウェルズ・ファーゴのメイナード・アムは投資家向け短信でブラックベリイの顧客層が拡大する一方、グッドのテクノロジがブラックベリイにとってソフトウェアのアンドロイド携帯やアップル製アイフォーンへ適用できる可能性を拓くものであると指摘する。
アナリスト向け電話会見のなかでチェン氏はグッドが幾つかの分野においてブラックベリイよりも優位に立っていることを認めていた。とくに軍事関係にその傾向が強いという。
アムの指摘では、今回の買収の短所としてソフトウェアの統合に要する費用だという。「2種のプラットフォームを併合することは思ったよりむずかしいのではと弊社は推測します」と彼は述べている。
チェン氏は少なくとも1年程度はブラックベリイがグッドのソフトウェアのサポートを継続するとともに自社のテクノロジを維持していくと表明している。しかし移行期間の完了とともに「統合されたプロダクト・プラットフォームはこれまでにない幅広い強みを得る見通しです」と述べた。続きを読む
(From the NYTimes.com blog post. Thanks to Ian Austen.)