アマゾンとラインのインド事業で上級幹部が退社

インドはいま、テクノロジ企業の多くにとって最前線なおかつ本命となっている。それは力強い経済と、2020年までに中国に次ぐ世界第2位のスマートフォン市場に成長する見込みであることが寄与している。
加えて、同国は中国のように途方もない人口を抱えており、その大きさを正確に掴むのは困難なほどだ。
そのため、インド国内で多額の投資を手がけてきた国外資本のテクノロジ大手2社から上級幹部がそれぞれ退社したことは、週末にかけて人目を惹くこととなった。アマゾン・インド支社のライフスタイルおよびファッション統括者を務めるヴィッカス・プロヒットは「個人的な理由での退社」と、エコノミック・タイムズ紙の取材に対して同社は声明で述べている。一方、日本でモバイル・メッセージング・アプリとして圧倒的な支持を集める「ライン」の上級幹部が、インド事業から退社し、それぞれスタートアップを設立することとなった。同社はこれまで積極的に新興国市場を開拓していた。
タイムズに対して発行した声明のなかでラインの事業本部長を務めるダマンディープ・シングは次のように述べている。「この2年のあいだ、ラジャット(・グプタ、ユーザ層拡大担当幹部)との協力によってわたしは日本や韓国の市場で爆発的に普及してきたモバイル事業のビジネスモデルの可能性をつぶさに見てきました。日本でのあり方のようにモバイル収益化を果たした者はほかにおりません」
さらにつづけて、「インド市場にも適用できそうな固有の事業機会を数点見出すことができました。インド国内市場においては現在、コンテント消費の形態に埋めるべきギャップが存在しているのです。そこでわたしたちは新たな事業をつくることで、その問題に取り組もうと決めました」と彼は述べている。
この新たな事業が具体的にどんなものか記載はなく、いまのところわかっているのは、「コンテント・ベースのアプリ」というだけだ。弊誌では現在、ラインにコメントを要請しているところだ。アマゾン・インドはコメント要請に対し、いまのところ返答がない。
アマゾンの声明については、より曖昧で格式ばったものとなっている。「ヴァッカス・プロヒットはamazon.inから個人的な理由で退社しました。彼はこれまでamazon.inのために強力なファッション事業をイチから築き上げました。2013年9月のファッション・カテゴリ開設から、ファッション・ストアはamazon.inにおけるトップ3の一角を、販売量と付加価値の両面において担ってきました。
アマゾン・インドのグローバル・ヴェンダー・マネジメント担当ヴァイス・プレジデントを務めるスーザン・サイドマンが今後ファッション事業の運営を引き受け、「新任リーダーの選出」が完了するまでの暫定職を務めるという。同社は早期の選出をめざしており、インド国内においては国内発の競合との多方面での対立が表面化している。
プロヒットの辞任はかなりの傷手だというのが実情だろう。彼はこれまで「アマゾン・インドの4大支柱のひとり」とみられており、ファッションおよびライフスタイル事業が「インド国内におけるイーコマース会社にとって最大の成長エンジンのひとつ」であるとタイムズ紙は指摘している。
ラインについては、同社はインドをはじめとする新興国市場への進出をめざして模索中と報じられていた。先月、同社はモバイル・メッセージング・アプリの「ライト」軽量版を開設し、利用頻度の低いユーザが低価格の通話プランなど、気軽に使い始められるようにした。だがそれでもなお、金融市場の不安定を理由としてIPOの計画が延期されており、同社にとっては不確実性の強い日が続く。
いずれにせよ、インドは誰の手をもってしても止めることのできない市場となっている。両社とも、なんとかトップ・ランクの地位を固めたいところであり、さらに前進するには最善を尽くすことだろう。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Michael De Waal-Montgomery.)