ユーバは中国でウィーチャットからブロックされ、対決は全面化へ

テンセントはこれまでモバイル・メッセージング・アプリ「ウィーチャット」において、ライド・ヘイリング・アプリのユーバ(と同社の宣伝している各種アカウント)が利用できないよう制限してきた。ウィーチャットはすでに6億人の月間アクティヴ・ユーザを集めている。(このうち2億人程度はクレジット・カード情報登録済みで、ユーザがアプリ内で商品やサーヴィスの購入手続きが完了するようになっている)
サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」の報道では、ウィーチャットは「世界で一番のインターネット市場において、最強のオンライン・マーケティング・プラットフォームを提供」と紹介されている。ユーバはウィーチャット・アプリで(利用規約に反するとの理由で)制限されていることについて当初より反発している。その後実際どの程度の期間にわたってアクセス制限が実施されているのか全容はつかめていない。
この利用禁止状態については、週末にかけて同国内のメディアと英語媒体の両方で広く報じられており、きっかけはテンセントが出資しているライド・ヘイリング・アプリ「ディディ快的」がリフト、グラブタクシー、オーラーといった他社と国外での連携を発表し、ユーバとの対決を全面化したことである。
つい先週のことだが、ユーバは21億ドルの資金調達を実施し、これによって評価額は625億ドルに達したとみられる。(一部の試算によると645億ドルともいわれる)同社は中国においてもディディにとって大きな脅威となっている。それでも市場全体からみればさほどの勢力にはなっていない。
ベイジン・タイムズは日曜日、テンセントがユーバの公式アカウントを利用停止処分にした(とともにサーヴィス宣伝用関連アカウントも同様)が、これは同社の利用規約違反との名目で、ユーザの個人情報を不正に収集したとの指摘も表明している。
9月にユーバはAPIの公表に踏み切り、中国での勢力拡大へ進んでいる。サードパーティアプリ開発者は同国内で、ユーバのサーヴィスを自社アプリと連動させることが可能となった。ただし、今回利用停止処分の対象となったアカウントのうち、ユーバと関連するものが実際にユーバのAPIを採用していたのかは明らかでない。たんにウィーチャットを通じたプロモーションを行なっただけなのか確認できていない。
ウィーチャットはディディの戦略を進めるうえで大事な位置を占めており、これはユーザはアプリ内で車両呼び出しを行なうことができるからだ。ユーバのような競合をプラットフォームから締め出すことはウィーチャットが人々の心を釘付けにしている国内の現状では同社の利得になるのが明白だ。しかし、これは当然ながら問題視されうる手法だ。
「ユーバの広報担当ヴァイス・ディレクタであるワン・イーチャオは同社のウェイボ公式アカウント上で、テンセントはユーバがほんとうに『悪意あるマーケティング活動』を行なったという証拠も提供していないと主張している。」とチャイナ・デイリーが週末に報じている。
弊誌ではユーバとテンセントにそれぞれ取材申し込みをしており、返答がありしだい更新してお伝えする。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Michael De Waal-Montgomery.)