ヤフー取締役会はメイヤーの支持に回り、週明けまでにスピンオフの結論へ

社内の事情を知る何人もの人たちに取材したところ、ヤフーの取締役会は12月の定例会において昨日、中国のアリババ集団の保有株式について、分社化を計画通り実施するか否かの最終決定には至らなかったことが判明した。
取締役が今後この取引について、中断か前進か、中止かのいずれを取るか明らかではないが、今回の決定は週末のうちにも下される見通しだという。
ヤフーはすでに分社後の組織について、アーバコ・ホールディングズという名前の下でCEOと取締役会の設置を決定している。つまりは分社化の準備はできており、前進の可否と時期を決断するだけだと社内の関係者の多くが述べている。
現時点で、取締役会のうち数名は納税義務をはじめとする法的な課題の可能性を否定してきたものの、アクティヴィスト投資家として知られるスターボード・ヴァリューの介入によって形勢は逆転しつつある。当初、スターボードは取引の執行を推進してきたものの、当局が免税手続きが通るのかどうか調査結果の公表を差し控えたことから、180度の転換となった。
その後スターボードは積極的にヤフーが分社化を見送り、むしろ本業であるインターネット事業の売却を実施すべきとの主張になった。同社を含めた勢力(要するにあれこれ書き立てるメディア)はCEOマリッサ・メイヤーが会社の将来にとって必要なリーダーとして適格でないと示唆している。
これはたしかに議論すべきことだが、ヤフー取締役会はどうやら今週の会合では彼女の支持に回っているようで、取締役のなかにはリーダーシップ問題を口にする者がいても、大筋では変化がない。
ただ、グーグル幹部として有名になったメイヤーを、ヤフーの経営再建に貢献したかどうか判断するのと解雇させるのとは別問題のようだ。彼女が同社をモバイルへと方向転換させたことは確かであり、ヤフーの再生がそう簡単な仕事でないことはさほど意見が分かれない。
「彼女がすぐれた会社の経営者になって、それを台無しにしたという話ではなさそうです」と語るのは、ヤフーの社内について深く知る人物の証言である。「彼女は台無しになった会社にやってきて、それを少しだけマシにしたけれど、やっぱり会社は台無しのままというべきでしょう」
ごもっとも! 就任から3年以上が経ち、さまざまな施策をしてきたものの、ヤフーは再建できたとはいえず、メイヤーの打ち出した戦略は行き当たりばったりで、幹部流出の深刻さは増している。とはいえ、ヤフーの置かれた立場はアクティヴィストが騒ぎ立てるほどひどいものではない。ただ、取材先の話では次の四半期決算はやはり精彩を欠くものになりそうである。
というわけで、メイヤーは自らやめるのでないかぎり、時間稼ぎが可能ということだ。しかも、その可能性は低い、と言うのは彼女をよく知る人物の話である。「彼女は投げ出してしまうような人ではない」とメイヤーに親しい人物は述べる。「それはわたしの知っているマリッサではありません」
しかし、彼女には投資家のきびしい目が向けられているのはたしかで、代わりになる人がいなかったとしてもそれは不変である。スターボードの攻勢が進めばいっそうきびしくなるだろう。それにメイヤーは取締役会の目があり、いままで彼女がどうにかとりまとめてきたような状態とは違ってきている。
関心を惹くのは、これまで彼女の下を去っていった者の多くが取材に対して、メイヤーのCEOとしての成果についてこれといって指摘もしなければ退社の理由について質問してこなかったと証言している。辞めていく人の話からは彼女の資質について正当な診断もできそうなものだが。ただし、会長を務めるメイナード・ウェッブはスターボードのジェフ・スミスと面会している。
取締役会でインターネット事業の売却が議題としてのぼったものの、その決断にはほど遠く、俎上にのぼっているのはやはり分社化の可否である。それ以上に可能性が高いのはヤフー社内のリストラクチャであり、マッキンゼーの実施した徹底的な社内調査の結論もそう述べている。問題はどのユニットを残して、どれを捨てるかである。
「売却があるとして、仮説でしかありませんが、それには時間がかなりかかるでしょう。買い手としてたくさん手が挙がると思うからです」とある人物は語る。「可能性がないとはいえませんが、それには手続きがたくさん必要ですし、いまのところ手続きには入っていません」
可能性が高いのは、たとえばAT&Tをはじめとする大手通信業者、あるいは敵対的買収を仕掛けてくる者があるかもしれない。だがどうやら、関心を示すといってもタイヤを蹴ってみる程度の関心にとどまっているようだ。ヤフーがウォール・ストリートの話題のさなかで分社化うんぬんに揺れているのに、なぜここで売る必要があるのかという問題もあり、フィデリティ投信や共同創業者ジェリー・ヤンといった大株主はほとんど発言らしいものが見受けられない。
ヤフーの法務を委託されているスカドン・アープスによればシリコン・ヴァレイでインターネットの巨人として通っている同社にとって、納税義務の有無についてはほぼ免税での取引執行が可能との見解を示している。ヤフーは当局への提出文書のなかで、今回の調査結果公表見送りによって「スカドンの見解が不適当と判断するには及びません。現行法の下で、ある一定の限定された事実と仮説にもとづいて、現在計画されている分社化についていえば、免税手続きの申請が受理されるには十分な条件が次のように・・・」云々と述べている。
ということは、取締役会は進むための条件が整っているはずです、と取材先は述べており、懸念が示されているのは確かですが、とも付け加えている。べつの手段をとるとなれば、インターネット事業の分社化から、アリババ株をアリババに買い戻させたり、あるいは何もしないという選択もあれこれ挙げられる。
だが、何もしないという選択はもちろんないはずで、メイヤーは会社をどうにか前進させ、そうでなければ代わりの誰かに実現させるため辞めることになるだろう。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Kara Swisher.)