ヤフーの「フラーリ」にデザイン刷新、アナリティクス・アプリ、アップルTV用SDK

ヤフーはフラーリの一部アップデートを行なった。同社は2014年に買収したデータおよびアプリ分析サーヴィスである。今回発表したのは関連指標ポータルのデザイン刷新だけでなく、開発者向けキット「tvOS」のリリースがあり、これはフラーリ・アナリティクスで利用できる新世代アプリの集合となっている。モバイル開発者向けコンファレンスを主催したヤフーは今後見込まれるモバイル分野での大変化について、同社の見通しを明かしている。同社のパブリッシング・プロダクト担当シニア・ヴァイス・プレジデントを務めるサイモン・カーラフは2016年の見通しについて幾分悲観的になっていることを表明し、成長鈍化を次のように予測している。「モバイルはじつに急速に伸びてきました。今年(2015年)は稀に見る成長の年でした。しかし、成長率は下り坂に入っています」これに併せて、彼は2017年には新たな流れが生じると述べ、これを「モバイル2.0」と呼んでいる。
フラーリの切り開いてきたモバイルの急変化のなかで、プロダクト群の各種アップデートから特筆に価するものは、開発者が一層のデータ処理短期化を図ることを狙ったものばかりだった。もっとも、ヤフーは開発者が強く求めている機能から提供してきたわけで、それは今後も変わらない。今回デザイン刷新されたポータルをきっかけに、サーヴィスのバックエンドを支えるプラットフォームも完了している。ヤフーのシニア・ディレクターでありフラーリのプロダクト・チームを率いるベン・グレアムがヴェンチャービートの取材に答えて語ったところによれば、今回の変更は以前から課題だった3つの目標を狙ったものだという。まず、ユーザの機器からフラーリへとデータ転送を高速に完了させること。つぎに、サーヴィスは開発者にとって必要な個別事象のフィルタリングに適応する柔軟さを備え、誰にとってもすぐ使ってみようと思える手軽さを備え、訊きたいことを質問できるようにすること。最後に、アップデートはふつうの人がふだん利用しているワークフローに浸透させられるものであること。これによって、統計する指標を一覧性にすぐれ比較検討できるようにする。
デザイン刷新後の画面は既存の利用者を対象にオプトイン方式で提供されている。ヤフーはこれについて、「段階的な移行」によって新世代プラットフォームを数か月内に全面稼動させるという。
アップルTVの各種アプリが増加をつづけていることを受け、フラーリはテレヴィジョン・セットトップ・ボックス向けソフトウェア開発者向けキット(SDK)を披露している。グレアムの説明では、以前より根強い要望がギットハブなどで挙がっていたという。ようやく要望が受け入れられ、開発者はアプリが小型画面でどのように稼動しているか測定する機能を手に入れたわけだ。しかし、これはいまのところ分析機能にかぎられ、クラッシュ監視、ユーザ呼び込みといった機能は提供が始まっていない。フラーリはiOSとアンドロイドのアナリティクス・アプリをすでに発表しているが、これも兼ねてより要望が多かった。グレアムはリリース時期がもう少し早いことが望ましかったと認めている。ただし、プラットフォームの刷新の効果は大きく、アプリの開発期間が短期化できたという。「各種機器に備わった機能を手がかりに大きく伸びるときがやってきたと判断したのです」
このアプリでは、自社製アプリの動作状況を測定できるだけでなく、他社の提供する「ミックスパネル」「ニューレリック」をはじめとするツールと一線を画する機能もあり、それはプッシュ通知機能のオプションだという。これによって、フラーリ・アナリティクスをカスタマイズしてアプリのクラッシュ(や何らかの障害)が発生した場合に即時に通知を送信することができる。グラアムによれば、フラーリ・アナリティクスが今後アップデートされるなかで、マシン・ラーニングも装備される可能性があり、開発者が施した変更を集計することから派生して今後期待されるべき通知機能を追加していくという目標があるという。ヤフーがもつ統計データチームの貢献によって十分に実現可能だと彼は指摘する。
ヤフーは開発者の前に自信をもって披露できる成果だと表明しており、モバイル分野への「圧倒的な集中投下」を進めており、「今後も継続する取り組み」だという。また、これまでに25万社を超える開発者がサーヴィスに参加しており、80万件のアプリから毎日20億人が集まっているという。
弊誌ではグレアムへの取材で、ヤフーが今回3度目となるモバイル開発者コンファレンスで強調したいメッセージは何ですかと訊ねた。それに対する回答はつぎのとおり。「昨年は『エクスプローラ』の将来計画について、サワリをお知らせしました。開発者の方々にはヤフーが言っているだけでなく実弾を投じてきたと感じていただけたと思います。今年の違いは、クエリ・エンジンを投入したこと、プラットフォームへの投資を継続し、開発者の方々が分析するだけでなく広告や収益化にも使えるようになったことことが挙げられます」続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Ken Yeung.)