ぼくにインターネットの世界を教えてくれたひと(2) 佐々木俊尚さんとニコニコ動画、セカンドライフ

今日は銀行に行く用事があったので、帰りに駅前のマクドナルドに寄りました。小腹がすいたというか、ちょっと一息ついて、本でも読みたいなと思ったんです。自宅兼事務所でも本を読むくらいはできるのですが、事務所=仕事なので、気を抜くとコンピュータと向き合ってなにか探し始めてしまう。横に仕事関連の本なんかも置いてあるけれど、じっくり本を読むのは難しい。
ポテトのMサイズとブレンドコーヒー。この近辺で午後3時前は、昼食や夕食の時間帯にも重ならないし、学校の授業なんかも終わっていないので、比較的空いているときがあります。近くの書店で買った「週刊アスキー」をぱらぱらとめくりながらポテトをつまんで、コーヒーをちびちびと飲んでいると、なかなか幸せです。表紙は山本梓さん。さっそくMac OS XLeopardが写真満載で紹介されている。それから最近評判のリナックスディストリビューションUbuntu」がけっこう目立つところに載っている。いつも読む連載の「仮想報道」(歌田明弘さん)はウィキペディア。これはおもしろい記事だ。
はてなダイアリーを書いている方には、「週刊アスキー」を読んでいる方も比較的多いと思いますが、ぼくはこの半年くらい、だいたい毎週読んでいます。インターネットでITニュースを読むのとは違う目的というか、とにかくインターネットに浸っている生活のなかでも「週刊アスキー」読みたい!とか思って買ってしまう。だいたい10分くらい読んだら飽きて、いったんそのへんに放り投げるんですが。
そこで、考えてみたのですが、インターネットよりも「週刊アスキー」に求めるものってなんだ?

  • 持ち歩ける
  • 自分で探さなくてもいろいろな情報にたどりつける
  • ひと目でそのページに興味があるか判断がつく
  • おもしろいページがあったら、じっくり読んで、手元に置いておける
  • 週刊なので、その週に何があったか、どんなものが流行ったか、あとで調べなおすのに便利
  • 週刊アスキー」買うために、外へ出かける口実ができる

そんなところでしょうか。あと、アキバ情報ページで、自作PCパーツを見るのも楽しみ。
というのが前置きで、今日出かけたのはもうひとつ欲しい本があったからです。
佐々木俊尚さんの『ネット未来地図 ポスト・グーグル時代20の論点』(文藝春秋)です。10月20日に発売していたんですね。これを読むために、1時間くらいマクドナルドに居座ることになりました。読み始めたら、先が知りたくてしょうがない。佐々木さんは情報の取り込みが早いので、新書が出るたびにホットでアップ・トゥ・デートな現象を読んで考えることができます。これは助かります。今回のホットな記事は何かといえば、

でしょうか。ぼくが読んだところ、佐々木さんはニコニコ動画を持ち上げて、セカンドライフを下に扱っています。

これは日本にしかみられないきわめてオリジナリティの高い内容で、

と述べ、2ちゃんねるとユーチューブを合わせたような雰囲気があると紹介している。

さらにニコニコ動画上で書き加えられるコメントは、そのまま動画のメタタグ(注釈)となってニコニコ動画のデータベースに蓄積される。いわばコミュニケーションのやりとりがそのまま集合知として蓄積され、動画のコンテンツをシーンごとに説明するテキストデータとしての再利用もできるようになっている。注釈のタグを利用者がわざわざ書かなければならないソーシャルブックマークと比べても、さらに進化したスタイルといえる。

と、技術で進化した部分についても、彼なりの分析を加える。

ニワンゴアフィリエイト報酬をオープンにしなかったのは、その意味で正しい判断だった。
次の展開として最も理想的なのは、このアフィリエイト報酬がニワンゴから著作権者にキックバックされるような仕組みの実現である。

収益について、このように未来地図も描いている。これはたしかに実現しそうなことである。それについては昨日のニュースを参照されたい。
いっぽう、セカンドライフについてはかなり手厳しい観点で紹介している。

日本国内で過熱したブームになっている。ブームといっても、インターネット業界や若者の間で流行しているわけではない。流行が起きているのは、大企業と大手広告企業、そして日本経済新聞の紙面の上だけだ。

と、日経新聞を名指しで批判している。さらに、佐々木さんはこのような見出しをつけている。

オジさんにもわかる3D画像

ユーチューブとニコニコ動画が登場してテレビは10年以内に崩壊するとの見解をたたき台にして、新聞や大手広告代理店も同様に絶望的な展望の下に置く。

なぜこれほど日経新聞紙面で、セカンドライフが盛り上がっているのか。
(中略)
つまりは広告代理店と大企業主導で、ブームを盛り上げている構図である。

このブームは、バブルで終わる気配が濃厚だ。(中略)日本で普及しているパソコンの大半はセカンドライフが満足に動作しない。これでは一般の消費者に爆発的に普及するとは望めない。

デザインがアメリカ的過ぎて、日本人の美意識に合わない。

どこに行っても誰もいないという「がらんどう」な雰囲気が常に漂っている。つまりみんなで盛り上がるような要素に乏しい。

そして、佐々木さんがキーワードとして『次世代ウェブ』から使い始めている「リスペクト」がある。それはどういうことなのか。

  • グーグルの次のモデル
  • ポスト・グーグル時代 20の論点

というそれぞれの副題が示すのは、グーグルが覇権を握ることをほぼ確定した路線と見なしながらも、次に日本で何かが起こる可能性がまだ十分に考えられるということだ。
「リスペクト」が機能する場所として佐々木さんが紹介しているのは、この3つだとぼくは理解した。そして、ぼくがとくに期待しているものが、その3つめのものだ。ぼくが合同会社を作った理由も、そこにある。

これがこの著書の鍵ということか。ここから最後の3つの章がおもしろかった。それは佐々木さんの言葉を直接読んでもらえるといいと思う。
Amazon.co.jpのカスタマーレビューはこちらへ

佐々木さん、ありがとうございます。もう少し、考えてみます。

ネット未来地図 ポスト・グーグル時代 20の論点 (文春新書)

ネット未来地図 ポスト・グーグル時代 20の論点 (文春新書)