合同会社設立273日目、昼

港区は雨。
日曜日。
昨日はペッカ・ヒネマンの著書を日本語訳で読んでいた。『リナックスの革命』という題名だが、もとの題名は'The Hacker Ethic'、つまり『ハッカー倫理』だ。この本はリーナス・トーヴァルズがまえがきを書いているので、そういうこともあってリナックスの革命という題名になったのだろう。だがこの本は革命についての本というよりも、倫理についての本だと言ったほうが読み手に親切だと思う。どちらかといえば、深く読み込むための本だ。これを1回読み通しただけで「われ意を得たり」とひざを打つ人がいたら、その人は本を読むよりプログラムを書いているのが幸せな人だろう。それ以外の人には、自分の価値観を問われるような、自分の立場を見直すことを要求されそうな本だ。革命というと、悪者をやっつけるだとか、市民の権利を獲得するといった歴史上の革命を思い出してしまうが、この本にとってやっつける相手がいるとしたら、それはわたしたちの心のなかに蠢いているなにかだ。それをわかりやすく言うとしたら、あなたは何のために働くか、といったところだろうか。それだけの問いを突きつけられて、平然としている人はもうすでに自分の求めることをやっている人だ。だがそういう人は少ないので、この本を読むことはいくぶんの吞み込みづらさをあえて引き受けるということになる。しかし、呑み込んでしまえばあとはむしろ楽になる、自分が前よりも好きになったということも起こりそうな本だ。