データ・センタもグーグルばかりでもないかも

10月になったな、だいぶ涼しくなってきたなと思っていたらこんな記事を見つけた。

アジアン・フロンティアの特徴は三つある。天井や上げ床の高さを増やして内部の空気の量を増やし、室内の温度が上昇しにくくしたこと。二つめは、サーバー排熱を特定の区画に密閉することで、冷気と混ざらないようにしたことである。
三つめは、気温が低いときに外気を取り込み、サーバーによって熱せられた空気は冷やさずに外に放出する仕組みを採用したこと。

これって日本家屋が蒸し暑い夏をしのぐために工夫してきたことに近いんじゃないか。
じつはわたしは先月、データ・センタに使えそうな貸し物件を探していて、海辺の町に酒蔵らしき倉庫兼住宅(あるいは住宅兼倉庫)を見つけた。1階がその酒蔵というか、保存庫だったらしく、天井が高い。足もとに冷気を吸い込む穴のようなものがある。その土間じたいも通りから一段高いところにある。
これをうまく使えば、データ・センタ(のようなもの)がつくれるんじゃないか、などと考えた。
仲介屋さんに話しに行って、中も見せてもらったのだが、残念ながら先客がいたらしく、そちらに譲ることとなった。
そんな無駄みたいな経験でも、ちょっとしたヒントにはなったと思う。
と、与太話はともかく。
グーグルのデータ・センタも相当やっているらしく、試行錯誤しながらどんどんカネのかからないデータ・センタを増やしている。

Data center cooling is usually the area where the greatest savings can be realized. That’s true for Google, which describes its use of evaporative cooling techniques, and provides a diagram of the workings of one of the cooling towers at its data center in The Dalles, Oregon.
The effectiveness of that cooling system saves “hundreds of millions of gallons of drinking water,” each year, Google says. The company also provides details on its use of recycled water in its cooling operations to minimize the impact on local utilities. By the end of 2008, two Google facilities will run on 100 percent recycled water, and by 2010 the company expects recycled water to provide 80 percent of its total water consumption.

データ・センタの冷却は通常、もっとも節約の効果が実現しやすい分野だ。これはグーグルによるところの答えで、グーグルは発散冷却技術を使っていること、オレゴン州ダルズのデータ・センタにある冷却タワーの稼動状況を表にまとめている。
この冷却システムの効果は1年につき「数億ガロンの飲料水」を節約することが可能だとグーグルは言う。この会社はさらに、再生水を冷却作業に使うことで地元の設備への影響を最小限にとどめることができるとの報告書も公開している。2008年終わりまでに、グーグル施設の2箇所で、100パーセント再生水使用を実現し、2010年までにはグーグルの冷却水総使用量の80パーセントを再生水とするという。

この「データセンタナレッジ」というウェブ・サイトは、リッチ・ミラーという人がこつこつと一人でやっているらしい。データ・センタとかサーバとかいくつかのキーワードに引っかかった情報をあちこちから集めてきて、リンクを張って短くまとめている。よくこつこつと続くものだなと感心しながら見ていたが、そうこうしているうちに「ニューヨーク・タイムズ」なども紹介するようになったから、ますます感心した。

Microsoft is “one of the companies that has been getting the real nuts and bolts of energy efficiency from behind closed doors and into the light,” said Rich Miller, editor of DataCenterKnowledge.com, a Web site that tracks the industry. Mr. Miller, who has a more detailed analysis of Google’s disclosure on his Web site, said he welcomed Google’s willingness to pull back the curtain just a bit.“They are being selective about what they are disclosing, as most people have,” Mr. Miller said. “I think it is a good start. Philosophically, it is important to get more of this info out there.”

マイクロソフトは「エネルギー効率にかんして役立つ道具を倉庫の奥から出してきて、明るみに出している会社のひとつです」とリッチ・ミラーは言う。データセンタナレッジ・コムという、この産業を取材しているウェブサイトの編集者だ。ミラー氏はグーグルの公表した情報を詳しく分析しており、グーグルが以前よりも少しだけカーテンを開けてくれたのを歓迎していると語る。「グーグルはなにを公表するかを慎重に選んでいます。ほかの人たちと同じように」とミラー氏は言う。「駆け出しはいいんじゃないですか。筋を通すために、このような情報をできるだけ外に出そうというのは大事なことです」
この手の情報が次々と出てくるようになるということは、かなりの部分でコモディティ化が進んでいるのだろう。要はあとから来た人が真似をしても負けないだけの優位をすでにグーグルやマイクロソフトは確保している。
だけれど、日本家屋のようなカネのかからない工夫は年季がひとまわり違う。これを考えれば、日本にあるデータ・センタには真似をしなくても勝てるチャンスがある。ソフトバンクはなかなかだな、と思った。
あと、このあたりも参考になるかもしれない。波をつかってやる方法もあるとか。