2008年検索市場シェア: グーグルが上昇、ヤフー、マイクロソフトは下落しその後安定

(This is a translated version of "Search Engine Land" blog post. Thanks to Danny Sullivan.)

2008年が過ぎ去って、わたしはここで振り返り、検索エンジンの市場シェアが1年でどのくらい変わったのか、合衆国内の話をしようと思う。とくに驚くようなことはない。数字を見れば、グーグルがぐんぐん伸びている。ヤフーとマイクロソフトは横ばいとなっている。
はっきり答えを出す前に、以前にもお話したが、わたしは検索市場シェア率を語るうえで自分のよって立つ哲学をお話させていただきたい。

  • 月単位での比較に基づいて結論を下すことはしない。ある月の数字はありとあらゆることが原因で変わるので、べつの月の数字と比較できないこともある。複数の月をならべてその移り変わりを見るのがよりよい。
  • そのサーヴィス独自のレイティング数字に基づいて結論を下すことはしない。それぞれのサーヴィスが独自の方法論でもって人気度を推計している。これはつまり、レイティング数字がべつべつのサーヴィス間で一致することはほとんどありえないということだ。それでいて、2つ以上のサーヴィスをくらべて見たところの趨勢は、信頼のおけるものであることが多い。
  • 実際の検索数をしっかり見る。ある特定の検索エンジンのシェアが落ちたといっても、検索数そのものは上昇していることもある(同様に、シェアが落ちても収益が上がっていることはある)。これは検索全体の「パイ」が増えつづけているからで、パイの取り分が減ったとしても過去の取り分よりは増えていることがあるのだ。

グーグル: 2008年の検索シェア
さてここで図を見よう。はじめに合衆国内でグーグルから行われた検索数の、全体の検索数に対するシェアを見よう。なぜ折れ線が4つあるのか? これはレイティングの大手サーヴィスが4つ、すなわち「コムスコア」「ニールセン」「コンプリート」「ヒットワイズ」があるからだ。それぞれがそれぞれの方法でデータを集めており、何をもって「検索」とみなすかは、それぞれ異なる。
全体の趨勢についてこの数社の見方が共通しているところに、わたしは異論を唱えてみたい。たとえば、コムスコアはグーグルが2008年に約58%シェアを上げたとみているが、ヒットワイズのほうは66%シェアと推計している。ここで大事なのは、どちらのサーヴィスもグーグルのシェアは全体として上昇していると見ていることだ。



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とりわけ興味深いのは、どこで趨勢が変わったかだ。2つの折れ線が交差する箇所、大きく離れる箇所を見ると、この2つのサーヴィスがどの月で変化が起きたと見ているか、おどろくほど違った見方をしていることがわかる。
ニールセンがここではひとり例外となっている。2008年4月と2008年11月の2回、グーグルが前月比で急上昇したとニールセンは見ている。なぜか? わたしにはわからない。この先できれば調べてみようと思う。
結論? グーグルは2008年1月時点での57%から66%のシェアを、年末には63%から72%まで押し上げた。つまり、6%の上昇だ。
予測? 目立ったシェア上昇がつづくとみられる。
ここで注意したいのは、この予測は、下のものもそうだが、とくに膨大な量の分析に基づいているわけではないことだ。わたしはたんに2008年の折れ線から見て取ったにすぎず、しかもこの数年間の検索市場シェアの上昇をふりかえって見て、そこから推計を出しているにすぎないからだ。多くの要因がその急激な変化をつくりだすことも考えられ、たとえば景気後退が長引くだとか、新しい検索製品が出てくるだとか、マイクロソフトがヤフーを買収するだとかいった話もありうる。だがわたしの腹の虫に聞くと、どうも急激な変化というのはなさそうだ(じっさいこの数年、なかったわけですし)。
ヤフー: 2008年の検索シェア



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2008 年前半、ヤフーはシェアを下げた。そこで言っておきたいのは、直前の四半期にかけてこの状況は横ばいになったことだ。これはヒットワイズとコンプリートが 10月以後に出した数字にはっきりと現れている。コムスコアによると上昇もある。ニールセンは事情が込み合っている--年内中盤でヤフーは、ほかのレイティングが軒並み減少と見ているところで、ニールセンだけ上昇と見ている。
結論? ヤフーは2008年1月時点の19%から23%のシェアを、年末には17%から21%のシェアに下げている。つまり、2%の下落だ。
予測? マイクロソフトによる買収がないとして、シェアは横ばいか、ひょっとしたら2009年末までに2から3%の減少もあるのではないかと予測する。
マイクロソフト: 2008年の検索シェア



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ヤフーと同様に、マイクロソフトは前半にシェアを落として、その後は安定している。ヤフーとちがうのは、この安定は一部には「クラブ・ライヴ」による検索を勘定に入れるかどうかの議論にかかっている。これにはマイクロソフトによる景品、懸賞、その他のインセンティヴ・プログラムを通じた検索が含まれる。マイクロソフトはくりかえし、賞品つきの検索に賭けており、これをきっかけに「ライヴ・サーチ」の検索エンジンを「標準」検索に採り入れてもらうという問題解決の筋書きを見ている。
クラブ・ライヴの検索を勘定に入れているのは? わたしの知るかぎりニールセンはそうしている。それからコムスコアもそうしていると思う(あとで確認してアップデートする)。ヒットワイズはしていない。コンプリートはこれを区別し、クラブ・ライヴを勘定に入れたシェアの数字と、勘定に入れない数字をそれぞれ出している。
この違いには意味があるのか? コンプリートが出している、クラブ・ライヴを勘定に入れた数字と、入れない数字をくらべてみるとよい。クラブ・ライヴを入れると、マイクロソフトは3%のシェア分、下駄を履く計算になる。
わたしの図では、クラブ・ライヴの数字を勘定に入れた。というのはニールセンとコムスコアという老舗のサーヴィスがすでに採用しているからだ。それに加えて、たとえマイクロソフトが3%分下駄を履いたところで、シェアが下落していることには変わりがないからだ。
結論? マイクロソフトは2008年1月時点の7%から12%のシェアを、年末には6%から10%のシェアへと下げている。つまり、1%から2%の下落だ。クラブ・ライヴの検索を除くと、下落はもっと大きくなるだろう。
予測? シェアは横ばいか、ひょっとしたら2009年末までに1%から2%の減少もあるのではないかと予測する。可能性は低いが配給契約を勝ち取れば、目立った上昇もあるだろう。
グーグル: 2008年の検索数
検索シェアだけを取り上げて、検索数がもっと大事なことを語っている可能性もあることを忘れてしまうのは安易だ。というのは、最初の宣言にも書いたとおり、検索の「パイ」が大きくなれば、たとえ取り分が減っても、前より増えていることもあるのだ。
下に載せたのは、合衆国内でグーグルが取り扱った検索数だ。単位は10億(ヒットワイズは検索数を公表していないので載せていない)。



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結論? グーグルは1月時点の推計45億から60億の検索数から、12月の50億から80億の検索数へと推移。
予測? 2009年末までにグーグルは、さらに10億から20億の検索数が増加するとわたしは予測する。ということは毎月60億から90億の検索数となる。
ヤフー: 2008年の検索数
ヤフーのシェアが減少して、その後横ばいになったのを覚えていますか? こんどは検索数を見て考えよう。



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ほとんど固定した折れ線だ。ニールセンがほぼ横ばいで見ている。コンプリートはほんのわずかに減少と見ている。コムスコアは検索数が増加したと見ている。
結論? ヤフーは1月時点での推計14億から24億の検索数から、12月の14億から25億の検索数へと推移。
予測? ヤフーは2009年末まで14億から25億の検索数にとどまるとわたしは予測する。
マイクロソフト: 2008年の検索数



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ヤフーと同様に、マイクロソフトの検索数は比較的固定している。ただここで注意しておきたいのは、この検索数の3分の1は、「クラブ・ライヴ」プログラムによるものであることだ。たとえば、2008年12月には、マイクロソフトは7690万の「標準」検索と、4080万のクラブ・ライヴの検索があって、合計で120億の検索数があったことになる。
結論? マイクロソフトは1月時点の推計9億から10億の検索数から、12月の8.5億から12億の検索数へと推移している。
予測? マイクロソフトは2009年末まで10億周辺の検索数にとどまるとわたしは予測する。
そのほかには? さらに検索市場シェアについて知りたい場合、「サーチ・エンジン・ランド」の会員になるという方法もあります。そうすれば会員専用ライブラリで、人気度調査にカテゴリされた記事のすべてにアクセスができるようになります。それだけでなく、特典はたくさんありますし、このサイトを助けることにもなります!
それからもうひとつ、わたしたちが主催する、SMXウエスト検索マーケティング・コンファレンスカリフォルニア州サンタ・クララで2月10日から12日まで開催されます。参加をおすすめします。2月11日の「サーチスケープ: 最新の検索エンジンについて」セッションでは、大手レイティング・サーヴィスの代表者たちによる関連した話が行われる予定です。