ウェブをこれまで以上にスマートにする

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
ユニオン・スクエア・ヴェンチャーズの掲げる「インターネットでうまくやっていくための6つの合言葉」とは、オープン、グローバル、モバイル、ソーシャル、プレイフル、そしてインテリジェントだ。それに加えてインスタントも入れようという話もあった。わたしはそうしてもいいと思っていた。だがわたしたちはこのリストを法人として掲げているので、同僚からの賛同なしに一方的にそれを追加することはしたくなかった。だからいまのところ、最初の6つにとどめてある。
この6つの合言葉のうち、ひとつだけ「解決済み」でないものがある。それは、インテリジェントである。
あるいはあなたはグローバルになっていないサーヴィスがこんなにあると言うかもしれない。それはそのとおりだ。それから、オープンになっていないサーヴィスがこんなにあると言うかもしれない。それはそのとおりだ。そして、プレイフルになっていないサーヴィスがこんなにあると言うかもしれない。それはそのとおりだ。だがわたしは思うのだが、これらの合言葉についてはわたしたちはそこにたどり着くまでの道のりにあるのだ。インテリジェントについては、それ以上にまだまだだと思う。
挑戦してみるのに不足はない。
セマンティック・ウェブという夢はもうずいぶん前からわたしたちの頭にあった。この分野については、これまでに数百もの科学研究プロジェクト、数百もの取り組み、数百ものスタートアップがなされてきた。わたしたちのポートフォリオにもたとえば「アダプティヴ・ブルー」「ゼマンタ」「アウトサイド・イン」「インフォゲン」それからもうひとつ、まだ公表していない会社もある。
だがこれは解決の困難な問題であり、解決に向けたはっきりしたひとつの道のりはまだ見えていない。ここでひとつ注目しておくべきことは、これまでにあった野心的な取り組みはほとんど、だいたいにおいて失敗であったことだ。うまくいったのがあるとしても、どちらかといえば地道な取り組みのほうで、より期待できそうなものがあるのだ。
わたしは月曜日の朝、ゼマンタのエンジニアたちと話をする時間をもった。すばらしい議論ができ、かれらのシステムがどのように動いているのか、よく知ることができた。わたしが知った興味深い事実のなかには、たとえば、「セマンティック・ウェブ・コミュニティ」がいかにウィキペディアを信頼しているかということがあった。ゼマンタやいろいろな人たちがウィキペディアをある種の専門家システムとして利用しているのだ。たとえば、あるページがウィキペディアからリンクされていると、そのページは該当するウィキペディアのページのトピックに関連性の強いページであると確認されることになる。このような方法は、いろいろな用途において採用されていて、これはウェブとウェブ・サーヴィスをもっとスマートにするという目標にもとづいている。
ページ、投稿、ヴィデオ、画像、その他のウェブ上のものをタグで分類することは、ウェブをスマートにするために決定的に大事な部分である。グーグルやSEO産業のおかげで、多くのウェブ・サーヴィスがタギングを強く信じるようになった。だがタギングはそうかんたんな問題でもないのだ。それはある意味で、音声認識の難しさをわたしに思い出させる。もしあなたがどこか特定の領域のなかで活動するだけなら、自動タギングがかんたんな場合もあるだろう。インフォゲンは金融と薬学についてうまくやっているし、これからもよくしていけることだろう。アウトサイド・インは地理の領域についてうまくやっていて、ゼマンタやカレーもそこに一役買っている。
だがわたしの経験からすると、人間はいまでも機械以上にタギングについては優っている。ひとつ大事なことは、「おすすめタグ」というアイディアである。ゼマンタはこれをブロギング・アドオン・ツールのユーザに提供している。わたしは自分のブログ投稿にタグを使ってこなかった。だがそこでわたしはゼマンタを使い始めた。ゼマンタはわたしのブログ投稿を自動でタグ付けしたりはしないが、おすすめタグを15個くらい教えてくれる。わたしはそのなかからとくに関連性の高い4つか5つを選ぶだけで済む。これが人間/機械のハイブリッド型の方法がうまくいっている例である。
わたしがコンテント指向のウェブ・サーヴィスの人たち皆におすすめしたいのは、ブログ・プラットフォームであれ、ヴィデオ共有プラットフォームであれ、写真共有プラットフォームであれ、スライド・ショウであれ、音楽であれ、何であっても、とにかくおすすめタグをサーヴィスに追加することだ。ゼマンタのAPIでも、ほかのところでもよい。これによって、ユーザが送信した大量の質の高いタグを生み出すことができる。というのは、ユーザがタギングする障壁を取り除いてくれるからで、どの言葉が最適か考えるきっかけをもたらしてくれる。
もうひとつ大きな問題は、ウェブ・ページがお互いにどのように関連しているかを解明することである。リンクはページとページの基本的にどう接続しているかメカニズムを明かしてくれる。だがこれではあまりに初歩的すぎる。わたしたちのポートフォリオ会社「アダプティヴ・ブルー」は特定のアイテム、属性、トピックについてのウェブ上のすべてのページを収集している。もしあなたが好きなミュージシャンを見つけたら、アダプティヴ・ブルーがそのミュージシャンにかんするさまざまなウェブ・ページとあなたを短い間に接続することができるのだ。アダプティヴ・ブルーはかなり多くのコンテント、そして商業カテゴリーについてこの作業を行っている。
ここに挙げたのは、わたしがいちばんよく知っている取り組みの一部だけである。これだけでなく、もっとたくさんのことがあるだろう。わたしがもっと知りたいと思うのは、多種多様のセマンティック・ウェブの会社同士のコラボレーションだ。わたしたちがこれまで以上にインテリジェントなウェブを、ボトム・アップで開発し、その地道な取り組みを辛抱強く成し遂げることができれば、そのあいだに生まれた規準やコラボレーションから、とても大きなブレークスルーが出てくることだろう。
つい先月のことだが、わたしたちのポートフォリオ会社のうち、ゼマンタとアダプティヴ・ブルーはこの分野で「コモン・タグ」提言を推し進めることに取り組んでいる小さなグループの一員となった。わたしがそのことについて紹介しても、なにか間違ったことを言ってしまうかもしれないので、コモン・タグ・イニシアティヴにリンクをしておくので、よければ見に行ってほしい。
ここまでが、ウェブをこれまで以上にインテリジェントにしようと取り組んでいるいろいろな会社が、一緒に取り組むようになるとどういうことが起こるかの一例である。わたしたちはウェブをこれまで以上にインテリジェントにすることができるだろうと、わたしは信じている。だがこれは辛抱強くやるべきことで、そこに関わるそれぞれが自分の役目をしっかり果たすことを要するだろう。わたしたちがなにかをひらめき、あるいはなにかを発明したときは、機械が理解できるような言語で、それをうまく表現してやることが必要となるだろう。
わたしたちにはそれができると、わたしは確信している。だが撃てば必ず当たる弾などはないので、解決のためにはお互い連携しあって、できることなら部分的には統合しあうかたちで、複数の方法を組み合わせることを要するだろう。
わたしたちの法人がそのポートフォリオのうち、この分野を重要な一部とすることができたのを、わたしはうれしく思っている。まだ先を突き抜くような成功には至っているとは言えないけれど、この分野においては、辛抱強さ、ねばり強さ、不屈の強さが成功に必要なことだと思う。