ツイッターが生き残りのためにテッククランチから学ぶべきこと

(This is a translated version of "The Steve Rubel Stream" blog post. Thanks to Steve Rubel.)
来月5周年を記念することになるのは、「テッククランチ」と、ウェブが生み出した最初のパワー・ブロガーのひとりであるマイケル・アーリントンの登場である。
テッククランチの記事が秀逸なのは、ソーシャル・メディアやインターネット界隈にいる人たちが好む資質、つまりスマートなリスク・テイキングにあふれているからだ。これはまさにテクノロジ・ブログがプレスをその戦略で凌ぎ、急速に膨大な支持者を獲得し、つなぎとめてきた要因である(そのかたわらでは賛否両論が渦巻いていたとはいえ)。
5周年を迎えるにあたって、テッククランチは依然として「必読」である。ダブルクリック・アド・プラナーの調査によると、テッククランチは推計月間740万ユーザに達しているという。さらには、アーリントンがテクノロジの有力人物の階段を駆け上がることにも寄与し、彼は「タイム100」にも載るほどの名声を得、「チャーリー・ローズ」にも定期的に出演するようになった。その成功の大半は、アーリントンとその同乗員が戦略的にリスクをとってきたことにある。たとえば権威におもねることのないイヴェントを開催するなどだ。型破りなことをしたり、暗黙の了解を裏切ることも彼らは恐れない。
そうはいっても、テッククランチをはじめとして2005年に登場したブログ(マッシャブルなど)の仲間たちは、アイコニックな創業者によるスーパースター・ブログの系譜を終わらせる存在であるとわたしは思っている。誰もがブログを開設し世界的な影響力を獲得できるチャンスのある、民主化されたメディアの旧きよき時代は、すでに終わりを迎えている。すぐれたブログによって埋められそうなニッチはまだあると思うが、それはなにもアントレプレナーにかぎらず企業が埋めていくものと思われ、大きな収益を上げそうなトピックはすでに埋め尽くされた。その入り口は閉ざされた。ゲームが変わったのだ。
ひょっとするとそれを感じ取ったのかもしれないが、ブロギングにもっとも強く打ち込んできた人たちの一部は、2、3年前くらいからツイッターに注力するようになった。ツイッターの時代は2007年「サウス・バイ・サウスウエスト」コンファレンスに出席したアーリイ・アダプターの人たちから怒濤のごとくツイートが流れ出したことから始まった。その後2年間にわたって、ツイッターは無数のメディアによる注目を通じて成長し、そしていちばん注目が集まったのは2009年前半の「オプラ・ウィンフリイ・ショウ」で大きく取り上げられたことだろう。
ツイッターがその影響力を呼び集めるにつれ、わたしたちの注目はブログから、来るべきミーディアムへと淡々と移っていく。ここに集まってくださいよと待っているよりも、会話が集まる場所に流れるのははるかにたやすいことであることが見えてきた。さらには、ツイッターの140字という制限はお菓子を食べるよりメディアで暇つぶしする時代の、アテンションが希少となった世界に対する最強のクスリだった。それでもなお、テッククランチなどのブログは、ツイッターのフィードにスクープを流すことで適応し、そのおかげでかえって、さらなる成長の活力を得ることとなった。
だが、大半のブログが発展するチャンスを獲得する前に、ツイッターがメディアを再発明してしまった。それは正しい場所に正しい時期にやってきた。シンプルで、わたしたちのスマートフォン中毒にすっかりとなじんでしまった。さらには、絶えることのないエンターテインメント、没頭、自己表現を求めるわたしたちの欲求にツイッターは餌を与えてしまった。そうして、ツイッターは数百万人の人にとって、世界への第一の窓となった。
だがツイッターは居心地のよすぎる場所になってはいけない。インターネットにおいて唯一変わらないことは、変わりつづけることである。ツイッターがもしそのビジネスを再発明しなければ、ほかの誰かが、ほかの何かが代わりに再発明することになるだろう。
もっともすぐれた企業は、すぐれたアーティストがそうであるように、とどまることなく自身を再発明してゆく。アップルは現在、マッキントッシュよりもアイフォーンから多くの売り上げを得ている。フェースブックは賛否両論の渦のなかにあっても、単なるソーシャル・ネットワークでなくソーシャル・オペレーティング・システムとなるためのヴィジョンを賢く進めている。
ツイッターもそれと同じことをしなければならない。自身の運命をみずから選ぶための力をツイッターは獲得してきている。徐々にだが広告プラットフォームやビジネス・ツールといったサーヴィスを追加することで、膨大なエコシステムに散在するもっとも成功した企業たちと直接対抗することになる。だがツイッターはもっとやらなければならない。これらの企業と同じくらい大きなヴィジョンを必要としている。
発展することはいつの時代も賛否両論を呼ぶ。テッククランチ、アップル、フェースブックに聞いてみるといい。彼らは皆、ひどい批判を受けてきている。それでもやはり、インターネット・ビジネスがこの絶え間なく変わりつづける時代を生き残るための唯一の方法だ。テッククランチが発展したのと同じくらい速く、ツイッターが発展をとげ、ほかの誰かやほかの何かが風景を変えてしまわないことを願いたい。