スポティファイ幹部は同社ユーザがどんな楽曲をどこでどんな場面で聴いているか「巨大なデータ」で知っていると発言

カリフォルニア州サウサリート)スポティファイは数百万人のユーザたちが同社サーヴィスをどのように、いつ、どこで利用しているのか、非常に多くの情報を集めている。
ヴェンチャービート主催の「モバイル・サミット」で本日行なわれたセッションのなかで、スポティファイの北アメリカ広告担当ヴァイス・プレジデントであるブライアン・ベネディックの述べた話では、同社サーヴィスを利用するためには(有料無料を問わず)会員登録が必要なことから、すべてのユーザから得られた「どんな音楽を聴き、どこで、またどういう組み合わせで聴いているか途方もなく大きなデータを収集している」という。それにより、「会員の方々がどういった行動をとるか、深く検証することができるのです」
現在、スポティファイには月額9.99ドルを支払う有料会員が1500万人いるとベネディックは言う。1年前の1200万人から大きく伸びたという。同社は当初、デスクトップ版のみを無料で提供していたが、現在モバイル・ユーザのために無料サーヴィスを提供している。このおかげで、以前90パーセントがデスクトップ利用だったのが、2013年にモバイル利用が50パーセントを越えた。
ベネディックによると、同社がユーザから集めたデータはフェースブック・コネクト経由で利用登録した人を含め、ユーザの年齢、性別、居住地にいたる情報を同社が知ることにつながるという。「こういった一次情報はすばらしいものです」と彼は言う。「リスナーの行動傾向をデスクトップだけでなく」各種機器まで追跡調査することができるという。
それに加え、同社のプレイリスト・サーヴィスの集めるセマンティック・データによりスポティファイはユーザが残したさまざまな行動履歴を大量に保有している。たとえば、とベネディックは言う。ユーザはこの数年のあいだで、バーベキューをテーマにしたプレイリストを累計40万件作成してきました。そのため、誰かがこのプレイリストを再生すると、そのユーザと友人たちが現在バーベキューをしているところだと同社は知ることができる。これはもちろん、無料会員向けの広告を打つための格好なターゲティング対象となる。
スポティファイがユーザのために無料のモバイル・サーヴィスをこしらえる必要があると認識してから14ヶ月しか経っていない。ベネディックによると、これは同社の「『オーマイゴッド』体験」だったという。デスクトップ版ユーザが数百万人もいたにもかかわらず、レコード会社との契約関係を交渉しなおして、スマートフォンタブレットから利用する人々へ課金せずに楽曲を提供する方法があることを知ったのだ。
この交渉過程は1年ほどを要した。ベネディックによると、数百万人のユーザがこぞってモバイルへ移住する「ペースの速さは信じられないほど」だという。
その一方で、同社は商業ブランド各社との提携で商品およびサーヴィスのプロモーションを行なう手法を確立してきた。ときどきですが、とベネディックは言う。スポティファイは競合とみられている企業に手を貸すこともあります。
その例を挙げるとレッド・ブルがある。多くの人はレッド・ブルと聞けばドリンクを思い浮かべる。実際には、とベネディックは言う。音楽レーベルなのです。なぜかといえば、数多くのアーティストにスポンサー提供しているからです。レッド・ブルがスポティファイでミュージシャンの紹介を行なうことで、レッド・ブル経由のアーティスト発掘という経路をつくることに貢献するわけだ。スポティファイのこういった「コラボレーティヴ」アプローチは、このほかにも各種商業ブランドとの提携で生かされている、とベネディックは説明する。
同様な例を挙げると、コカコーラは自社ブランドによるプレイリストをスポティファイで作成プロモートしている。
ドリンクの巨人である同社は「コーク」関連のプレイリストを多数制作しており、そのうち大半が「ハピネス」というアイディアで制作されている。これはコカコーラが長年テーマとしてきたもので、同社はあらゆるソーシャル・チャネルを利用してプレイリストをプロモートしている。「このシステムはコークがスポティファイ上で音楽のシンボルとして知られることに役立つわけです」とベネディックは言う。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Daniel Terdiman.)