ウェルズ・ファーゴはIBMの戦略は「適切」と評価、他社は意見分かれる

金曜日に公表したレポートの中で、ウェルズ・ファーゴのアナリストであるメイナード・アムはインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)について、アナリスト向け説明会のプレゼンテーションが「これまでと変わって積極攻勢にある会社の発信」の仕方になったと評している。
クラウド、モバイル、セキュリティ、そしてワトソンへの長期成長戦略がとりわけ目立ったとアムは述べた。アナリストである彼は、IBMの「装着し直した」戦略は、主要な成長分野を厳選した企業の展望を備えていると指摘する。その一方で、戦略は今後の成長を加速させるものだが、それは時間のかかる方向転換だとつけ加えた。「弊社では長らく、IBMを業界のなかでも好位置につけていると見てきました。これは同社がアナリティクスに必要な経営資源を買収により得ているほか、各種関連分野を横断するような実用化過程を固めていることから、今後の垂直統合型ソリューション提供ができる、数少ない企業のひとつになる見込みが強いと弊社は見ております」
アムはさらに、IBMの長期戦略によって、2018年の1株利益は20ドルに達する可能性が示唆されると指摘、これは同社の売上高、税引き前利益、1株利益が2018年を通して10ドル台半ばから後半へと推移することから上振れもありうるという計算である。また同社は株主還元を重視するとともに、フリー・キャッシュフローの許容範囲を90パーセントに設定するとした。結論として、IBMは事業再編の途上にあり、その方向は正しく着実に歩んでいるという。だがそれでもなお、レーティングは「マーケットウエート」に据え置き、目標株価は155〜165ドルとした。これは2015年の推計1株利益16.06ドルの10倍程度との算出になる。
ドイツ銀行のシャーリ・スクライナーはIBMについて、高収益事業への移行を目指し「行動を起こしている」と評しているが、この成長は「難題が多い」とする。これは同社が規模が大きく、依然として低成長事業の割合が高いためだという。「弊社では今後3年間は低成長分野での減収が高収益事業の成長を相殺する見込みが強く、売上高増加も限られると判断」したとスクライナーは述べている。「成長が見込めないため、株価は保ち合いを脱することなく、PER過去平均のやや下を推移」と予測。スクライナーは「ホールド」のレーティングで160ドルの目標株価とした。モルガン・スタンレーのケーティ・ヒューバーティは今回のIBMによるアナリスト・デイのメッセージはここ数年のなかで、長期戦略と財務見通しの観点から「もっとも明確かつ説得力があった」と評している。
だがヒューバーティは、設備投資の蓄積、通貨の懸念、ソフトウェアおよびサーヴィス事業における収益化の遅れが上振れ要因を限定し、短期的な投資家のセンチメントを弱気に傾かせるとした。「積極投資、中核事業であるソフトウェアにおける(大口顧客の予算が原因の)利益圧迫、サーヴィス部門と通貨の弱含みによって、いったんは向かい風」とヒューバーティは指摘する。「これらの問題が2016年に収束すれば、投資家たちが長期的な見通しの好転に目を向ける可能性は高い」とした。続きを読む
(From the Benzinga blog post. Thanks to Jayson Derrick.)