モバイル・キーボード・アプリのジンジャーが中国市場向け現地化を目指す

文字のコミュニケーションにおいてモバイル機器の利用がますます進むなかで、モバイル・タイピングは日々の暮らしにとって重要なことのひとつとなっている。ところが、タッチパネルのキーボードでタイピングするのは苦痛なほどに遅く、タイポ(打ち損じ)だらけだ。これは小さな画面のもつ難題である。それがさらに、第2言語を使っている人となればいっそう大変な仕事となる。たとえば英語。いまや世界標準言語とすらいえる。
しかし、テルアビブを本拠とするスタートアップ「ジンジャー・ソフトウェア」は、モバイル校正キーボード・アプリを通じた問題解決を目指している。ジンジャーが特化しているのはモバイル執筆の生産性向上アプリで、英語でのタイプをはじめ、60言語でのタイプ高速化を実現することである。
特許を得たNLA自然言語分析)エンジンとビッグ・データの活用によって、ジンジャーはスペリングおよび文法の誤りを検知する。土台にするのは単語の文脈と類似表現のデータで、これによってあなたの表現力が豊かになる。
タイピング・ツールであると同時に、ジンジャーはキーボード機能を超えた特徴を幾つも備えている。ユーザの生産性を支援すると同時に、ほかのアプリでの利便性向上も狙う。ジンジャーは先日、アンドロイドのキーボードで「スマート・バー」を追加した。ユーザがキーボードから直接お気に入りのアプリへアクセスし、やり取りの相手側との迅速な返答に集中しやすくなる。
「われわれは、ユーザが友人とやり取りするあいだ、周期的にアプリとジンジャーのキーボードとの往き来を繰り返していることを発見しました。それだけでなく、べつのタスクや、スケジュールの確認、あるいは検索といった作業も並行するのです。スマート・バーによって、ランチャー機能が備わっただけでなく、カレンダー、TODOリスト検索、メモ取り、各種検索までさまざまな仕事が行えるようになりました。ユーザは自分に合ったカスタマイズで、アプリの追加と削除ができます」と同社CEOモーツ・シャクトはテックノート誌の取材で語った。
ジンジャーは今回、絵文字入力、予測入力を新設し、ユーザが友人と豊かな表現でやり取りできるようにした。1対1の対戦ゲームやニューズといった新機能が近日開設の見通しで、ユーザは時間を効率的に節約できるだけでなく、友人から返信を待っているあいだの暇つぶしもできるのです、とシャクトは述べる。
だが、これらの新機能は現在アンドロイド・ユーザに限られる。シャクトは1年前にモバイル・アプリへの特化に踏み切ったと述べ、そのためデスクトップとiOS版は追って端末間調整を経て画一化が済みしだいの提供となるとつけ加えた。
アプリは第2言語としての英語習得者を支援し、英語での執筆が上達するのを狙っているが、ユーザの多くは合衆国か英国のネイティヴ・スピーカーだ。新規ユーザの約半数は合衆国からの登録である。同社ヴァイス・プレジデントであるガイ・メラミッドはどの言語を使う人もジンジャーをつかえば異言語間の習得と通信を楽しむことができます、と説明する。ジンジャーは第2言語としての英語ユーザが上達し誤りを減らすことに役立つ一方、ネイティヴ・スピーカーの人もタイピングがしやすくなり、結果的に誤りを減らすことになる。英語以外ではラテン・アメリカ、メキシコ、ブラジル、ロシア、ヨーロッパのユーザが多い。
中国とアジア諸国は、ジンジャーにとっては重点地区で、多くの需要が今後見込まれる。シャクトはジンジャーの現行版は中国での普及が遅れていると認めた。「この新規市場進出においては、幾つかの失敗があり、中国での実地調査をここ4、5か月にわたって続けてきました。その結果は徐々に出ています」と彼は述べる。
リ・カシン率いるホライゾンズ・ヴェンチャーズからの資金調達によってジンジャーは香港大手通信各社との提携を獲得、同社キーボード採用が進んでいる。シャオミー・ストアではアンドロイド版キーボードがダウンロード可能で、同社はさらに他社との交渉過程にあるという。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Emma Lee.)