グーグルはクロムに「データ・セーヴァ」拡張機能をひっそりと提供開始

グーグルはひっそりと、クロム向けにデータ・セーヴァー拡張機能をリリースした。同社のデータ圧縮機能がデスクトップ向けに提供されるのはこれがはじめてとなる。拡張機能はクロム・ウェブ・ストアからダウンロードできる。現在はベータ版提供となる。
「ひっそりと」と言ったのは、グーグルから公式な発表がどうも見当たらないからである。この拡張機能は3月23日に公開されており、弊紙で簡単な検証作業を行なったところ、すでに広告されている通りの機能が利用できるようだ。
まだご存知でない方のためにつけ加えると、グーグルのデータ圧縮プロキシ・サーヴィスは、携帯電話やタブレット・ユーザの帯域幅消費を節約するのが狙いで、ページ表示を高速化し、セキュリティを向上させることができる(というのは、サイトはグーグルのサーバ経由での表示となるため、同社が悪意あるウェブページを検出する)。これまではモバイル限定の提供だったが、デスクトップ版が近く登場するという声はささやかれていた。
そしていま、ささやかれていたのは本当だったことになる。以下に拡張機能の公式説明を載せよう。

・グーグル・サーバを活用して訪問先ページからのデータ消費量を減らします。節約して、もっとブラウズを!
拡張機能が有効化されると、クロムはグーグル・サーバを経由して訪問先ページを圧縮し、あなたの機器で読み込めるようにします。SSL通信と解読不能ページは除きます。

拡張機能の詳細はデータ・セーヴァのサポート・ページにも記載されており、拡張機能を利用するにはクロム41以上の利用が必要と警告されている。拡張機能は、インストール後すぐにデフォルトで実装される。機能を無効化するには、メニュー・バーにあるデータ・セーヴァのアイコンをクリックし、データ・セーヴァをオフにする。再度有効化する場合は、「データ・セーヴァをオンにする」をクリックする。
グーグルのデータ圧縮機能は、アンドロイド向けクロム26のベータ版で、2013年3月にはじめて登場した。その名は数ヶ月間「試験版提供」と銘打っていた。公式版となったのは、2014年1月、アンドロイド向けおよびiOS向けクロム32の開設と同時だった。グーグルはこのとき、サーヴィスはモバイル機器からのウェブ・ブラウジングにおいてデータ消費量を最大50パーセント節約できると公約した。
しかし、この機能はまだ十分に広く利用されているとはいえず、これはデフォルト設定ではオフとなっているからだ(オンにするにはアンドロイド向けあるいはiOS向けクロムを起動し、「設定」から「帯域幅管理」へ行き「データ消費量の節約」を選びスイッチを「オン」になぞる。グーグルはこのスイッチを全ユーザ向けに標準でオンとするつもりかもしれない。もっとも、あなたのトラフィックをすべて同社サーバ経由とするには、各方面のセキュリティ関連プライヴァシ関連団体から烈しい反対の声が挙がることが予想される。グーグルはユーザが自分でこの機能をオンにするよう仕向けるかもしれない。モバイル接続が低速であることが検出できるようになれば、それは可能だろう。
この機能は、モバイルではとくに利用価値が高い。制約の多いデータ・プランで利用している人にとっては、お金を節約することになるし、ページ読み込み時間を短縮し、セキュリティも向上させられる。デスクトップでブラウズする場合、たいていの人は十分な速度で表示できるとみられ、グーグルの「セーフ・ブラウジング」機能はウィンドウズ版、Mac版、リナックス版のクロムで標準装備されている。
とはいっても、もしあなたが低速のインターネット接続環境にあるか、データ消費量の多さを無駄と感じるなら、いちどこの拡張機能を試してもいいかもしれない。弊紙の検証作業からは「最大50パーセント節約」という数字がデスクトップ版にも当てはまるのかは確認できなかった。グーグルに詳細情報を問い合わせている最中である。だが、現在確認がとれているかぎり、節約効果は十分といえる。ただ、長時間にわたってブラウズする場合その効果が長続きするのかは検証が困難である。
デスクトップ版が登場したという事実から示唆されるのは、グーグルはこれまで以上にサーヴィス提供への自信を強めているということだ。しかし、モバイル版の提供にずいぶん時間がかかったことから、また、この拡張機能はいまのところ「ベータ版」とはっきり銘打っている(これはどこの会社も可能な限り注記したがる表現のひとつだ)ことからすれば、今後の展開については少し語調を弱めてお伝えしておくべきかもしれない。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Emil Protalinski.)