グルーポンが「グルーポン・ストアーズ」開設でマーケットプレース事業の20億ドルの売上高を活用へ

グルーポンのこれまでが仮想クーポン店だとしたら、これからは従来型のオンライン店舗に近くなっていくようだ。
要点から。シカゴを本拠とする同社は新しいコンセプト「グルーポン・ストアーズ」の試験運用を開始した。これはプロダクト・ブランドから小売業者まであらゆる業種を対象に、グルーポンの店頭を利用して在庫品の販売ができる仕組みである。リコード誌の取材によって判明した。複数の情報源から聞いた話ではグルーポンはこれまで、グルーポン・ストアーズのベータ・プログラムに参加している企業に対し、グルーポンを通じて販売するすべての商品はウェブ上に売られている最安値より5パーセント安くなければいけないという制約を要求してきたという。グルーポンはまた、販売された売上の15パーセントを要求しているという。グルーポンの広報統括者であるビル・ロバーツはこの新設イニシアティヴの存在を公式に認めたが、併せてグルーポンは適正な値引き額とコミッション構造を検証しているところだと述べた。
「これはひじょうに大きな未開拓の分野であり、グルーポンのマーケットプレースを活用してこれまで以上に賑わうオンラインおよびモバイル・ショッピングの玄関口を作り上げるのが目標です。こうして弊社プラットフォームのもつ潜在能力が加盟店増加へとつながると期待しております」とロバーツは取材に返答したイーメールで述べた。
グルーポン全体の成長のうち、物品販売の閉める割合は大きく、2011年に家庭用電化製品、宝飾品、洋服その他を値引き販売するために開設された同事業は、1年後にグルーポンの総売上高の33パーセントを占めた。昨年にはこの割合が56パーセントにまで増大した。同事業の売上高は2014年に18億ドルと、前年比55パーセント増となった。グルーポンは2014年、服飾品ディスカウント小売業のアイディーリ(現在は改名し「アイディール」を4300万ドルで買収した。
グルーポン・ストアーズの開設に先立って、同社は1年前に地方商店主を対象とした販売管理ツールを開設しており、これはグルーポンの値引き販売を利用して、グルーポンの営業担当を介さずに販売が行なえるものだった。このイニシアティヴに加えて今回のグルーポン・ストアーズは、同社CEOエリック・レフコフスキーによる経営転換計画の一環として数年にわたって進められてきた。グルーポンはこれによって、従来のようなイーメール・マーケティング偏重経営から、買い物客がサーヴィスとモノとに関わらず最初に見に行くようなショッピング・サイトの構築へと移行した。
この経営転換が壮大な計画とも思われるのは、グルーポンがすでに業界に君臨する巨人であるアマゾンやイーベイと同じ目標を掲げているからだ。アマゾンは総売上高の40パーセント近くをサードパーティの販売者から得ている。だがグルーポンは必ずしも、同じような王道のオンライン商品マーケットプレースになる必要はない。むしろ、イーコマース市場の拡大基調に乗って、昔ながらの商店主がオンライン・ストアへと踏み出していくときの選択肢を提供すればいい。グルーポンのアイフォーン向けアプリは現在、アップルのアップ・ストア内で6番目の人気となっている。
「アマゾンやイーベイとの相違点として、グルーポン・ストアーズ・マーケットプレースでは加盟店の皆様が今回だけは値引き販売して在庫を捌きたいという需要に最適化できることが挙げられます」と同社ウェブサイトの「よるある質問」欄に記載されている。「この販売方式には掲載料は必要なく、そのかわりにアマゾン、イーベイをはじめとするオンライン上で売り出されているどの商品よりも安い値段であることが必要となります」
これまで、グルーポンは販売管理ツールを社内のバイヤーが操作することで期間限定セールを行なってきた。このセールで販売された商品の大半は、グルーポン自らが在庫を持ち、出荷まで行なってきた。これは同社の営業利益率を圧迫する高コスト構造だった。しかし、グルーポン・ストアーズでは加盟店が在庫管理と出荷を行なう。初期の試験運用プログラムでは、たとえばバイク用ゴーグル(30ドル)や女性向けシューズ(30ドル)などが売られた。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Jason Del Rey.)