コスラ・ヴェンチャーズがイスラエルの医療記録写真スタートアップのゼブラに出資

合衆国のヴェンチャー・キャピタル事務所であるコスラ・ヴェンチャーズはゼブラ・メディカル・ヴィジョンの8百万ドル資金調達ラウンドで主幹事となった。同社はイスラエルを本拠とするスタートアップで、匿名の医療記録写真データベースを蓄積している。
この写真は、エックス線、CTスキャン、MRIスキャンによる画像で、実際に治療を受けた患者のものだが氏名、住所など個人を特定できる情報を除去したうえで匿名化されて送られてくる。
これらの画像のデータを大量に解析することで、研究者は診断結果の精度を向上するためのコンピュータ・アルゴリズムを作成することを目指している。また、これまで以上に早期に病名を特定できる場合もあるという。
コンピュータ化された医療診断は現在、複数の検査を通じた一連の手順のなかで医療記録写真の解析に依存している。だがこれは十分に普及しているとは言い難い。
テルアビブ北側にあるキブツ・シュフェイムを本拠とするゼブラは2014年、共同創業者のイーオル・トレダーノ、イーオル・グーラ、イーラッド・ベンジャミンによって設立された。この3人は画像処理と医療機器を専門をもつテクノロジ・アントレプレナーである。
イスラエル国内外の大規模な医療機関と提携関係にあるゼブラは、同社のこれまで集めてきた医療記録写真データベースは世界有数であると表明している。
ゼブラはこの画像について、医療機関に対価を支払っておらず、機関はゼブラが提供する解析結果を受け取ることで恩恵を受けている。同社は、データが匿名化されているため行政当局の承認を得る必要はない。
「ゼブラは個人特定を無効としたデータを各種医療機関との提携により保持しますが、これは同社が設ける個人情報保護ポリシーに基づいた手続きとなっております」と同社は述べている。
医療機関からゼブラに届くファイルは初期データではディスクを利用し、更新情報はウェブ経由で送信されてくる。
患者に関する医療記録を個別に記載したカルテと併せて届く医療スキャン写真は数百万ファイルにのぼり、研究者チームがゼブラのサーバおよびセキュリティ対策済みプライベート・クラウドへアクセスし、画像処理を行なえるようになっている。研究者は専用ソフトウェア・ライブラリへアクセスし研究ツールを取得できる。
データベースはすでに、イスラエル、カナダ、合衆国にわたる大学の研究チームに利用されているとゼブラは述べる。
コンピュータを活用して医療記録写真の解析を進めるうえで障壁となるのは、重要性の高い、適正に分類された、精度を高めるために十分な量のデータが獲得できるかである。「現在のところ、コンピュータによる写真解析に当たっているチームは、ガン細胞の特定ができる段階というよりも、コンピュータがガン細胞をネコと間違えないように調教する段階にあるといえます」とグーラは言う。
「ときとして患者は、病名が確定するためには何年間も人間ドックに入るはめになることがあります。蓄積された医療記録写真を手当たり次第に解析することで、類似病例が見つかる可能性は高まるでしょう」と、コスラ・ヴェンチャーズのパートナーでゼブラの取締役を務めるユアン・トムソンは語った。続きを読む
(From the Digits blog post. Thanks to Orr Hirschauge.)