インスタカートが配達でサードパーティとの協業を試験運用か

インスタカートは、オンデマンド型日用品配達スタートアップで、一部報道では20億ドルを超える評価額と言われているが、同社は国内で15地区に進出を達成している。この需要に対応するため同社は、サードパーティ運送業者を通じた配達を試験運用していることが、同社の事業計画に詳しい複数の人物の話から判明した。
この複数の情報源がテッククランチの取材に対し述べた話によると、インスタカートは先日ポストメーツ、リフト、サイドカーなどスタートアップ各社に協業を持ちかけ、日用品の配達について交渉を開始したという。インスタカートは毎日数百件の配達が可能な提携先を模索しており、弊誌の取材によると、同社は配達の最初から最後まですべてアウトソースするわけではないようだ。
交渉に入った各社のうち、どこが協業に応じるのかは不明だが、弊誌の取材では一部のサードパーティ企業はすでにインスタカートの配達作業を請け負っているという。たとえば、ニューヨークを本拠とするジップメンツはニューヨーク市内を対象にインスタカートとの協業を開始していると取材先の一人が明かしており、そのほかにはサイドカーがインスタカートに寄せられた注文の一部を請け負う準備を進めているという話もある。
テッククランチが入手したイーメールの内容によると、これはインスタカートが他社オンデマンド配達企業に協業について連絡する目的で送信したものらしい。この働きかけは、インスタカートの広報によると、提携先企業にとって同社が「毎日数百件の配達」を発注することになる「重要で長期的な得意先」として取引できないか打診しているというのが実情のようだ。このイーメールではインスタカートは提携先企業による配達に対し特別に設定した固定価格を支払う要望を提示している。
インスタカートがサードパーティ企業との協業で配達を行なうという話はこれまでにもあった。リコード誌のジェーソン・デル・レイ記者が1月に報じた記事によると、インスタカートCEOアプルヴァ・メータは配達のアウトソースを試験運用する計画を明かしており、すでにこの計画が進行中である可能性は高い。
この協業について詳しい人物が弊誌に明かした話では、インスタカートは配達を完全に委託するつもりはなく、今後も買い物客向けに開発されたアプリのすべての機能と配達人員について、制御を行なうという。配達先の指定はすべてこのアプリを経由して行なわれるもので、たとえ配達人員が委託先サードパーティ企業であっても変わらない。
ということは、インスタカートはサードパーティのドライヴァーに対しルート指示を行なうとともに、日用品を受け取る顧客に接する配達員にも直接関わるわけで、提携先の配達インフラストラクチャに依存することはないようだ。これらの配達人員はインスタカートのアプリから評価を受ける立場にあり、それはインスタカート本社が雇用しても提携先が雇用しても同じことである。
配達の一部を外部企業に委託することは、インスタカートが進めてきた事業拡張の結果生じた方針変更の一例にすぎない。同社は先日シリーズCラウンドで2億1千万ドルを資金調達したばかりで、日用品自体の価格のほか、個別送料および年間利用料の組み合わせで成り立ってきた収益モデルからの脱却を図っている。今後インスタカートは、徐々に小売業者が自前の流通経費に課金するとともに、プラットフォーム上で生じた売上金に対しインスタカートに手数料を払うモデルに移行していく見通しである。インスタカートは今回の取材に対しコメントを差し控えている。続きを読む
(From the TechCrunch blog post. Thanks to Jordan Crook and Ryan Lawler.)