ヴェライゾンの新しい料金体系はTVのア・ラ・カルトとまでは言わずともそれに近い

ケーブルTVに支払いをするのが嫌いな人がよく口にするのは、自分が見たい局だけに支払うのがいい、TVプロバイダが抱き合わせで販売してくるものには払いたくないという意見だ。
このバンドル販売はそう簡単にはなくならないだろう。というのも、有料TV事業の成り立ちはそこに核心があるからだ。しかし、そのありようは徐々に変わりつつある。有料TV事業者はやはりコード・カッターとよばれる風潮が心配だからだ。あるいは、有料TVにまったく契約しないという人も考慮しなければならない。
そこで、最新の動き。ヴェライゾンは今回、FiosTVの顧客にチャネルの「スキニー・バンドル」(必要な番組だけ選ぶ)購入ができるようにした。そこから発展的に「チャネル・パック」の購入へ勧誘する。たとえば、ESPNやフォックス・スポーツといったテーマごとの局を選べるようグループに分けて、月単位で入れ替えもできるようになる。また、1局10ドルの料金で追加購入も可能となる。セオリー通りにいけば、これによって顧客はこれまでの有料TVバンドルとくらべて柔軟な選択が手に入る。
ここに、ヴェライゾンが作成した説明図を載せよう。

それから、価格体系の表も載せる。

これまでにスキニー・バンドルは、コムキャストをはじめとする旧世代の有料TVプロバイダや、ディッシュ傘下のスリングTVをはじめとする新世代デジタルTVが提供してきた。スリングTVはウェブ経由で月額20ドルで10以上のチャネルを選ぶことができる。
アップルは今年秋にも同様なサーヴィスを開設する見通しである。しかし、ヴェライゾンの自分で選ぶ放送局というやり方は、その柔軟さからいって初めての試みだろう。これまたセオリー通りにいけば、たとえば秋にはフットボールを見たい、その後は春に見たいスポーツ局と入れ替えたいという人には存分なアピールとなる。
わたしの見解だが、有料TVのラインアップを自分で選びたいという人は、口で言うほどは多くないのではないか。だが、こういった機会はこれまでほとんどなかったわけで、実際どうなるか結果が待たれるところだ。
いずれにせよ、ヴェライゾンが抱える560万人の映像番組契約者を引き留め、コムキャストディッシュ・ネットワークといった競合への流出を食い止める効果は望めそうだ。ただ、ブロードバンドにかぎってネットフリックスだけで十分、アイチューンズがあるからいい、といった人も多くいる。
ヴェライゾンがプログラム制作者にバンドルを洗練しようという気にさせられるか、興味深いところだ。バンドルはやはり、長い間ビジネス・モデルの根本を支えてきたのだから。
ディズニーは、たとえば、ESPNを販売する有料TVプロバイダはディズニー・チャネルも販売していると主張しており、それに対しヴェライゾンの新しい料金体系では契約者がどちらかだけを選ぶことができるようになる。この新しい種類の柔軟さが出てきたのには、もうひとつ訳がある。HBOナウが今月開設されたのはとても大きなことで、TV業界全体にとっては2年前は到底考えられなかったような変化である。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Peter Kafka.)