アマゾン・ウェブ・サーヴィシズがNOSQLデータベース移行スタートアップのアミアートを2014年5月に買収したことが判明

アマゾン・ウェブ・サーヴィシズ(AWS)は、イーコマースおよびクラウド・サーヴィスの巨人であるアマゾンのエンタープライズ向け事業だが、データ保管およびビッグ・データ解析の規模を拡充してきた。これに役立ったのが2012年に開設されたレッドシフトで、このプロダクトはAWS史上最速の成長を遂げた実績があるとCTOワーナー・ヴォーゲルズが明かした。AWSのエンジニアリング・チームからのインプットのほか、このプロダクトを開発したのは同社が買収した企業の協力があった形跡が今回判明した。
昨年5月、アマゾンはアミアートをひっそりと買収した。同社はNOSQLデータベースから構築前のデータを抽出するためのプラットフォームを開発しており、アマゾンはこれを利用してレッドシフトへとデータの移植を実施した。アミアートのテクノロジをはじめ企業秘密管理ツールを使ってデータ解析できる構築体を作成したとみられる。
この買収について今月、最初に指摘したのはブルームバーグだった。弊誌ではアマゾンと、アミアートCEO兼共同創業者ミーフル・シャアにそれぞれ取材を申し込んでおり、このほか数名の関係者にも連絡をとったところ、この数名から買収の事実を確認できた。
アミアートの投資家であるシグネチャーズ・キャピタルはアミアートをエグジット成功事例としてリストに掲載している。同社は「2014年5月にアマゾンが買収」と表記している。
また、アミアートの元社員数名が経歴にアマゾンあるいはAWSを掲載している。(具体的には、ここここここここ、そしてここ。)
アミアート公式ツイッター・アカウントでは、ちなみに、2013年よりアップデートが中断しており、サイト上にサーヴィスが運営終了したとの示唆は何も見受けられない。
アミアートは2012年にワイコンビネータで「ヌー・データ」の名前で育成プログラム受講から発展した企業で、これまでに200万ドルを資金調達した。投資家として参画したのがボビー・ヤズダーニ、データ・コレクティヴ、アンドリーセン・ホロウィッツ、イグニション・パートナーズなどである。
一方、業界に詳しいある人物が指摘しているように、同社は開設の前から壁に当たっていた。というのも、アマゾンのレッドシフトが提供するデータ保管サーヴィスと重複するプロダクトを開発していたからだ。アミアートが2013年5月に表舞台に出てきたとき、同社は構築前データを対象としたビッグ・データA/B試行プラットフォームをその看板に掲げた。
それから同社は発展を進めているように見えた。ホームページに記載があるように、「アミアートのスキーマ・リフト」テクノロジを使うとNOSQLデータベースからデータを抽出したうえで自動でフォーマット変更が行なえ、さらにレッドシフトへと継続的にデータ送信が行なえるという。そうすると、SQLを最初から書き出すことが可能となり、さらにタブローやエクセルといったツールとの連携や、企業秘密(BI)情報管理ツール「ルッカー」の活用にも生かせるという。
アミアート元社員が多数アマゾンで勤務していることからすれば、この異動は同社テクノロジと有能な人材を目当てにした買収とみられる。
昨今ますます関心の広まりがみられることのひとつに、事業者はその運営を通じて得られた多大なデータをどのように活用すれば最大の効果が得られるかという素朴な疑問がある。アマゾンはこのトレンドに対し、同社がその中心を担う地位にいること、レッドシフトをこのための戦略に生かせることを強く推し進めている。
今月、AWSサミットの壇上に立ったアマゾンCTOワーナー・ヴォーゲルズは「いまイチバン熱いといえるサーヴィスはレッドシフトです」と述べ「AWSではこれまでで最速の成長を遂げています」と表明した。さらに、ノード間の高速なスケール拡張が可能になったことで「エンタープライズおよび商業各社が現時点で求めている最高の価値」が生み出せるという。
AWSはそれほど多くの買収をしておらず、ごく一部の重要な戦略に合致する場合にかぎって行なっている。3月にアマゾンは2レメトリーとよばれるスタートアップを買収し、AWSのインターネット・オヴ・シングズ向けテクノロジ開発に生かしている。続きを読む
(From the TechCrunch blog post. Thanks to Ingrid Lunden.)