IBMのワトソンはあなたに最適な心理療法家を選び出す支援を行なう

あなたが自分で心理療法家を訪ねて行き、相性がしっくり行くことを願うという時代は過ぎ去った。IBMはテキストによる心理療法を提供するスタートアップ「トークスペース」との協働で、あなたにとって最良の心理療法家をオンライン・カウンセリング技能者と引き合わせるようになった。だがこれは、IBMのワトソン・スーパーコンピュータが将来、医療診断に使われるようになる前ぶれになる可能性も秘めている。
トークスペースは、テキストをベースにした心理療法プラットフォームで、メンタル・ヘルスの診断を受けた年間4500万人を超える患者の役に立つことを目標としている。このプラットフォームをつかうと、ユーザはiOSアプリやウェブを通じて心理療法家へ匿名メッセージを送信できる。
IBMのワトソン・スーパーコンピュータはトークスペース・アプリにおいて、あなたにふさわしいと思われる心理療法家を選び出すための支援を行なう。ユーザから送信された匿名メッセージを査定したうえで、カウンセラーを査定することで、トークスペースはユーザのパーソナリティや、思考傾向や感情的なストレスの所在について深い洞察を得ることができるとみている。
ワトソンのパーソナリティ診断APIを活用すると、ユーザが作成したテキストを微細にわたり解析することによって意思決定の後押しができる。トークスペースの心理療法家は初回の面談時に医療的なフィードバックを提供することができるようになる。これによって、トークスペースは患者と心理療法家とのあいだに仲介役を置き、心理療法の受診過程において本質的な助言を行なうことが期待される。
トークスペースはワトソンのもつ自然言語処理NLP)テクノロジを活用した「言語認知システム」を開発し、トークスペース・プラットフォームを通じた患者との治療過程において医療的な裏付けを提供する実用的なシステムを作成していく。
このアイディアは一見、新奇に映るかもしれない。たいていの人ならスーパーコンピュータの助けを借りて療法を決めてほしいだとか、あなたの発した言葉を微細にわたって解析して心理療法家に伝えてほしいなどとは思わないだろう。だが、場合によっては心理療法家にとっても助けとなる、すぐれた洞察が得られることもありうる。
今回の協働は、ニューヨーク・シティで開催された「ワールド・オヴ・ワトソン」の壇上で発表された。IBMにとっては言語認知コンピューティング・テクノロジの大きな波動に先駆けた一手である。IBMはこのほかに、旅行サイト「ゴー・モーメント」やウェブサイト解析企業「デシベル」やヘルスケア・プラットフォーム「エピック」にも言語認知テクノロジを活用した洞察提供を推進していく。
「弊社では、このエコシステムがワトソンにとって世界各地の何気ない事象に参加していくための重要なきっかけであることを早くから認識し、そのうえでこれまでにはない、意外な分野でもパートナー企業を開拓していけることをたいへん喜ばしく考えております」とIBMワトソン部門シニア・ヴァイス・プレジデントのマイク・ローディンはIBMのウェブサイトに掲載したプレス・リリースで述べている。続きを読む
(From the TechCrunch blog post. Thanks to Sarah Buhr.)