ユーバはグーグル幹部を起用しデーヴィッド・プローフの後任にあてる

シリコン・ヴァレイの逸材を獲得しようと躍起になって久しいユーバは、水曜日の発表で、グーグルのコミュニケーション統括者を長く務めたレーチェル・ホエットストンをポリシーおよびコミュニケーション担当シニア・ヴァイス・プレジデントに起用したことを明かした。
ホエットストン氏の任命はユーバにとって目玉人事と言えるが、ライド・ヘイリング・スタートアップである同社は経営幹部の刷新の最中である。
彼女が新任として引き継ぐのは、デーヴィッド・プローフが担ってきたポリティカル・ストラテジストの役目である。なお、彼は以前オバマ大統領の選挙戦マネージャを務めた経験をもつ。ユーバは今回の人事によって、プローフ氏がチーフ・アドヴァイザの役職へ異動となることを発表した。彼はユーバ首席経営執行役員ラヴィス・カラニックへの相談役も兼務する。また、今後もユーバの取締役に留まる。
設立6年のスタートアップのコミュニケーション・チームにとっては唐突な人事とみられる。プローフ氏が起用されたのはほんの1年前に満たず、同社のコミュニケーション戦略を統括する役職を降りることになったためである。彼が任命された当初、同社は彼の役職について選挙戦の運営のようにユーバを「立候補者」として当選させるのが狙いだと評していた。
彼の能力はユーバ社外からの評判もよかった。「デーヴィッドは2008年に成し遂げた大役で見せたのと同じように、シリコン・ヴァレイのテクノロジ企業のスケール戦略にもぴったりとはまる才能をもっています。彼はビジネスの世界と政治の世界をつなぐことでしょう」とグーグル会長のエリック・E・シュミットは当時述べていた。
プローフ氏のユーバ入社によって、同社はイメージ戦略を積極的に打ち出すようになり、過剰な喧伝を控え、より上品な基調を表面化させていった。ユーバはヨーロッパでの規制当局との折衝を辛抱強く続け、慈善活動にも数多く関わった。たとえば衣服寄附を集荷したり、食料配達チャリティを実施してきた。それにつれ、同社は競合他社と対抗するために採ってきた戦術の露骨さを報じるヘッドラインを徐々に減らしてきた。
ホエットストン氏は6月にユーバに加入する予定で、グーグルには10年間務め、とくに連邦商業委員会からの立ち入り検査など、二大陸にまたがる独占禁止法をめぐる法規制への対応に寄与してきた。また、消費者プライバシー保護の問い合わせにも対応した。彼女のユーバ加入の知らせはテクノロジ・ニューズ・サイトのリコード誌が最初に報じた。
彼女はグーグルのコミュニケーション担当の社員としてはホットなスタートアップに移籍する2人目となる。昨年秋にはジル・ヘーゼルベーカーがグーグルを退社しスナップチャットに加入した。また、これ以外にもスクエア、ピンタレスト、テスラといった企業に移籍した社員も数名みられた。
しかし、ホエットストン氏の退社はこれらと一線を画する。ユーバとグーグルはかねてより協働を続けてきた。ユーバはグーグルの地図テクノロジに依存しており、グーグルのヴェンチャー・キャピタル部門から数億ドルの出資を受けている。だが両社は徐々に距離を置き始めていた。ユーバはノキアの地図情報ユニットを買収したことにより、グーグルへの偏重した依存は弱まっていくものとみられる。
ユーバはこれまで、めざましい資金調達を実施しており、昨年6月から40億ドル以上を上積みした。ホエットストン氏はユーバのコミュニケーション部門の日常業務を統括することになり、このほかに世界各地への進出のため同社グローバル・コミュニケーション・チームの編成と運営も引き受ける。ユーバがサーヴィス提供しているのは、現在のところ300都市を超える。
ホエットストン氏はグーグルの上級幹部チームにいる3名の女性のひとりである。(ルース・ポラットは同社のチーフ・フィナンシャル・オフィサーに今月就任する予定)ホエットストン氏の役職は今後、2人が分担して引き継ぐことになる。ひとつはパブリック・ポリシー・チームで、グーグルの事業開発担当シニア・ヴァイス・プレジデントであるデーヴィッド・C・ドラマンドの直属となる役職。もうひとつは広報担当で、こちらはグローバル・コミュニケーション担当ヴァイス・プレジデントであるジェシカ・パウエルの直属となる役職。なお、パウエルはドラマンド氏率いるチームにも所属している。この人事については同社スポークスマンが明かした。
将来については、プローフ氏の役職は日常業務から遠ざかり、より長期的かつ展望的なストラテジを重視するものとなります、と同社は述べた。続きを読む
(From the NYTimes.com blog post. Thanks to Mike Isaac.)