ヴェライゾンによるAOL買収の背景にあるイスラエルつながり

ヴェライゾンがAOL買収を発表したとき、事情通が口を揃えて言ったのは合衆国の通信大手である同社が今後、買収を足掛かりとしてオンライン・ビデオ・マーケットプレースへ参入するつもりで、AOLのもつ広告販売テクノロジおよび高品質ウェブ・ビデオ配給経路を手に入れたという説だ。
このテクノロジは、AOLのビデオ商品棚を支える肝要であり、ニューヨークを本拠とするウェブ企業である同社がこれまで5年間かけて買収したスタートアップ3社の制作する技術である。このうち2社はイスラエルで創業されている。3社目はイスラエルに研究開発センターを設置している。
2010年にAOLはファイブミン・メディアを買収した。イスラエルを本拠とするビデオ同期会社である同社はラン・ハーネヴォが共同創業者として事業統括を行なってきた。AOLによる買収後はハーネヴォは同社のビデオ担当プレジデントに任命された。
ファイブミンによるテクノロジを基盤としてAOLが仕立て上げたビデオ商品棚は、その後2013年にアダプティーヴィーの買収へと前進した。イスラエルで創業された同社はビデオ広告マーケットプレースを運営してきた。両社の買収によってAOLは、配給するビデオ・クリップの収益化手段を手中に収めた。AOLが成し遂げた2014年の広告収入増の大半はこれらの買収が直接寄与している。
AOLのビデオ部門はこのほかにコンヴァートロ社を傘下に収める。サン・フランシスコを本拠とする同社は各種機器対応のマーケティング・ツールを制作しており、2014年5月にAOLに買収された。コンヴァートロはやはりイスラエルで研究開発センターを設置している。
AOLのイスラエル開発センターはビデオに重点化した施設で、ビデオ以外の関連活動としてはイスラエルに本拠を置くスタートアップ(たとえばレレジェンス、イエーダ)の買収で成り立っている。同社はまた、テルアビブに本拠を置くビデオに特化したスタートアップ向けパートナーシップ・プログラム「ノーティラス」を運営している。
こうしてビデオ関連の買収を進めてきたAOLは、ビデオ・コンテントでの強力な配給経路と収益力を打ち立てた。直近の四半期では、AOLのコンテント関連売上はつまずいたものの、広告からの収益は12%増となり、サードパーティによる広告では19%増と堅調だった。これらは大概がビデオの後押しが下支えとなった。
昨年10月にハーネヴォ氏はビデオ事業への貢献に区切りをつけ、AOLを退社した。
テレヴィジョン市場は今後、はるかに大きな変動期に入るでしょう。これが今回の買収の要点です。ビデオはTVとは何かという前提をすっかり変えるはずです。あらゆる画面でそれが進むからです」とハーネヴォ氏はヴェライゾンによるAOL買収について評した。
AOLはCEOティム・アームストロングの下、TVとビデオの一体化に向け突き進んできたとハーネヴォ氏は語る。「沸点に達するまで5年とかからないでしょう」と彼はつけ加えた。
「ヴェライゾンはAOLがグーグルとフェースブックに次ぐインフラストラクチャを保有していることを熟知しています。AOLを買収することで、ヴェライゾンは広告マーケットにも参入できるのです」と彼は述べた。続きを読む
(From the Digits blog post. Thanks to Orr Hirschauge.)