ミュージック・レーベルからスポティファイへ:無料配信をやめよ。 スポティファイからユーザへ:無料ならこちらにいらっしゃい!

大手ミュージック・レーベル各社はスポティファイが無料サーヴィスを引っ込めることを望んできた。これまで同社が集めたオンデマンド・ミュージック配信の無料ユーザは6千万人にのぼっている。
スポティファイによる応答は: 無料サーヴィスに新たにビデオ・クリップや特典を追加し、お金を払わず利用するユーザにとって一層魅力的な場所を作ろうとしている。
スポティファイCEOダニエル・エクによると、今回の新機能は「スポティファイが前進するための大きな跳躍」で、合衆国と英国、ドイツ、スウェーデンのユーザには自らの手で新機能を試してもらいたい、アプリの新ヴァージョンが出ますという。
スポティファイはこれまで音楽ストリーミングに限定した事業を続けてきたが、同社にとって最大の試練はユーザに各種制作者からのビデオ・クリップを配信することにあった。ディズニー傘下のESPN、コメディ・セントラル、ヴァイス・メディアは制作した作品のサンプルを配信する準備を進めている。(スポティファイのユーザが見られないのは、ミュージック・ビデオである。これらはミュージック・レーベル各社が著作者で、レベルはスポティファイがそれを再生するのを歓迎しないからだ。詳細は以下のとおり)
また、今回新設される機能としてはポッドキャストが挙げられる。あらかじめ選曲されたプレイリスト、そしてソフトウェアを利用してユーザが自分のランニングに合わせて聴ける楽曲を組み合わせることもできる。
本日マンハッタンで開催されたプレス向けイヴェントに登壇したエクは、スポティファイが当初からミュージック企業であると自任していると述べた。ビデオは、彼によると、ユーザがお気に入りの楽曲を聴いていないあいだの暇つぶしと捉えているそうだ。
それでもなお、スポティファイは投資家に向けてビデオへの参入の意思を表明してきた。その理由は明白。投資家にとっては、TV事業という旧来型の企業が覇権を握る、デジタル・プラットフォームにとっての未開拓分野こそが心躍る投資先なのだ。ユーチューブ、フェースブック、スナップチャットを見ればいい。
その一方、スポティファイの主要機能は他社の提供する定額制音楽サーヴィスとは一線を画しており、一貫している。ユーザが好きなときにどんな曲でも、タダで聴くことができる。
ミュージック・レーベル各社にとっては、たとえばテイラー・スウィフトのような著名ミュージシャンの例にもあるように、何とかして変えたい現状でもある。スポティファイが無料でストリーミング配信するのをやめさせたいのだ。彼らによれば、スポティファイは15百万人の有料会員がいると表明しているが増加のペースは緩慢で、無料ストリーミング配信から収益をほとんどあげていないからだ。
仮にあなたがスポティファイなら、あなたは無料サーヴィスを続けるのはレーベルにとっても都合のよいことですよ、と反論するだろう。なぜなら、スポティファイは無料ユーザからも収益をあげる可能性が十分あるからだ。つまりビデオ・コンテントである。これはユーザにビデオ広告を見させることで、オーディオ広告よりもずっと収益力が見込まれる。また、ユーザ数が増えていくことで、スポティファイはそのユーザの一部を有料会員に変える可能性を得る。どちらのシナリオにしても、レーベルにこれまで以上の収益をもたらすもので、スポティファイの無料ストリーミングおよび有料会員からの売上の一部を献上することになる。
とはいえ、わたし自身はこの説明ではレーベルは納得しまいと考える。というのも、彼らはスポティファイの無料ストリーミング配信のせいで売上が減少していると確信しているからだ(それはユーチューブも同じで、やはりレーベルは問題視している)。ということは、スポティファイのサーヴィスに根本的な変化が訪れるのはまだ先のことかもしれない。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Peter Kafka.)