スナップチャットがショッピング・アプリのスプリングに資本参加

メッセージング・アプリがもう1社、イーコマースへの参入を模索しているようだ。
スナップチャットは、メッセージング・アプリで人気を成し、メディア業への進出も狙ってきたが、ショッピング・アプリの「スプリング」に投資することになった。今回の取引についてよく知る2名の人物が明かした。昨年開設されたスプリングへの投資はその取引金額は非公表で、決済が完了したか不明である。スプリングは4月に25百万ドルの資金調達を発表したが、このラウンドにスナップチャットは参画していなかった。規制当局への提出文書によれば、スプリングの親会社であるジェロー・ラブズ社は570万ドルの資金調達を計画しており、これが実施されると評価額が3070万ドルに達する。
スナップチャットとスプリングのスポークスパーソンはそれぞれ、コメント要請に応じられないとした。
今回の投資はスナップチャットにとって合理的理由があり、同社は11月に送金機能をアプリに追加した。この機能をつかうと、友達にお金を支払うことができるが、ユーザはアプリと自身名義のデビット・カードを紐付ける必要がある。ショッピングの利用環境を整えるという話は、一部のユーザがカードを登録しているという事実からして、自然な成り行きに思われる。
スナップチャットはこれまでライヴ・イヴェントの開催時にコンテント配信を積極化してきた。これらのイヴェントに関連してショッピング利用環境ができると、イヴェントのチケットの可能性もあり、広告主にとって魅力的になる。
スナップチャットはイーコマースへの関心を表面化させているメッセージング・アプリとしては最初ではなく、最近よく見受けられるトレンドに沿っている。フェースブックメッセンジャー・アプリでも決済機能が先日開設され、3月のアップデートによってアプリからオンライン購入履歴を追跡する機能も備わった(メッセージを小売業者とやり取りする機能もついた)。
タンゴは、合衆国を本拠とするメッセージング・サーヴィスだが、アプリからアリババのアリエクスプレスやウォルマートからの買い物に使えるショッピング・タブを先日開設した。メッセージング・アプリ内でのショッピングというコンセプトは、中国で有力なメッセージング・アプリであるウィーチャットが生み出した。同社は国内で圧倒的優位に立つコマース機能を構築し、中国のユーザが航空券からタクシー呼び出しまで至るあらゆることが可能になった。
今回判明したスナップチャットのコマース進出の意図は、世界最大のソーシャル・ネットワークであるフェースブックツイッターにも通じる。両社ともネットワーク内での「購入」ボタン導入を試験運用しており、ピンタレストも自前で「購入」ボタンを開発している。
スプリングは洋服ブランド各社との連携を獲得しており、ショッピング・アプリでのプロダクト宣伝が行なわれている。スプリングに登場しているプロダクトとしては、ザック・ポーゼン、エヴァーレーン(ミレニアル世代のジェイクルーに似たブランド)といった有名ブランドが挙げられる。
アプリは共同創業者のデーヴィッド・タイシュと兄弟のアラン・タイシュが制作し、「ショッピングのできるインスタグラム」を掲げている。同アプリは無駄を削いだ、画像中心のインスタグラムと通じる点が多数ある。だがスプリングにとっての試練は(インスタグラムとスナップチャットとはちがって)アプリをダウンロードするユーザ数の確保と、定期的な利用の普及である。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Jason Del Rey and Kurt Wagner.)