グーグルの広告担当幹部がスマートフォンの大画面化はモバイル収益改善に貢献と予測

モバイル機器普及の早さは、グーグルでさえ驚いているが、同社の広告マシンという収益源はその転換期においてなお健全さを保っていると、広告担当幹部のスリダール・ラマズワミが木曜日に語った。
「広告事業については今後改善が見込まれる点が多数あります」とラマズワミは、ウォール・ストリート・ジャーナルがサン・フランシスコで開催されたアドテック・コンファレンス会場で行なったインタヴューに応じて語った。「モバイル検索とモバイル版ユーチューブにはとてつもない成長力があります。わたしたちは、この成長力を生かし検索やユーチューブの改善に取り組んでいきます」
グーグルの提供する検索連動型広告の平均価格はスマートフォン利用者の増加に伴って減少をつづけている。これはユーザが小型の画面から購入を完了させるのが困難なためで、広告主はそのため、広告費用を余分に払うことを躊躇している。
グーグルはこれに対策するうえで、広告主により多くの共有情報を提供し、たとえばモバイル検索広告がきっかけで実店舗に買い物に行くという過程を知らせている。
ラマズワミによると、画面の大きなスマートフォンの人気が高まるにつれ、この傾向は改善していくという。
「多くの人がこれまで以上に大きな画面を手に入れることで、難題は薄れていくでしょう」と彼は述べ、自らのネクサス6スマートフォンの6インチ画面を出して示した。「これはほとんどタブレットと同じです。サイトを見て回るための土台があって、その形状に適した設定を行なえば、そこからかなりの効果が現れるでしょう」
デジタル・マーケティング会社であるマークルRKGの研究部門ディレクターであるマーク・バラードによると、昨年モバイル検索広告の価格が急上昇を始めたという。彼は昨年秋にリリースされた新型のアイフォーンの画面が大きくなったことが理由のひとつで、検索広告をクリックした後で購入に至りやすくなったからだという。
ラマズワミはアイフォーンの画面が大きくなったことによる影響についてはコメントできないと答えた。
グーグル幹部である彼はフェースブックについて、これまでグーグルにとってオンライン広告最大の強敵となってきたが、実際ユーザがビデオを視聴する回数を計測する手段には誤りがみられると指摘した。ユーチューブの計測手段は、ユーザが最低30秒はビデオを見たときに1回とみなす。一方フェースブックはより少ない時間で1回にカウントしているという。「フェースブックのビデオ視聴数は、どれだけ熱心に見られているでしょうか?」と彼は述べた。
フェースブックのスポークスマンはコメント要請に対し、即時に回答しなかった。
グーグル幹部である彼は、アップルのサファリ・ブラウザでグーグルが標準検索プロバイダとなっていることについて、質問に対し回答を避けた。この契約は今年で満了となる予定だ。
「アップルは重要なパートナーです」とラムズワミは言う。「それ以上のことはいえません」
以下、インタヴューから抜粋して掲載する。
WSJD:グーグルは先日、合衆国内でモジラのファイアフォックス・ブラウザとの検索エンジン提供契約が満了となりました。この影響はいかがですか?
これについては好し悪しです。一部のユーザはこれまで同様の検索結果が出ないといって切り換えをしていますが、また一部のユーザはそれをしていません。
WSJD:グーグルは検索と広告の価格についてモバイルの影響を軽くみていたのでは?
モバイルの持つ潜在力については早くから認識してきました。モバイルを真剣にとらなかったとは思っていません。アンドロイドはその早くからの取り組みといえます。しかし、どんな企業にあっても変化のペースが予測を上回るということは、わが社でなくても起こりえます。どんなに早くから投資を行なっても、それがたとえラリー(・ページ)とサーゲイ(・ブリン)のような人でも同じことです。
WSJD:モバイル・アプリはグーグルにとって、また検索エンジンにとってむずかしい問題でしょうか?
わたしたちにとって、ウェブサイトのコンテントをクロールするのと、アプリのコンテントをクロールするのは別段変わりのないことです。アプリのプロモーションについては、もう少し果敢に攻めるべきでした。アドワーズは小口の広告主が大手ブランドと手を組むうえで貢献しました。グーグル・プレイでのアプリ検索広告についても同じです。アプリの総合的なリンクを現在準備中です。2、3期先の四半期でお披露目できるとみています。もし、あなたの携帯電話に同じ機能をもつアプリが3つ以上入っているとしたら、何をしますか? 3つのアプリで同じ検索をするというのは現実的ではありませんね。そこで、アプリ内で仮想の機能を提供することが大きな利便性と価値を生み出すことになります。
WSJD:アマゾンの広告への進出をどうみていますか?
パイ全体の大きさは急速に拡がっています。わたしが注力しているのは、地方の広告費用の増加と、商業ブランド各社のアクション型広告の普及でグーグルが先手を打つことです。地方向け広告は、検索広告の価格が高ければそれだけ訪問数を増やすことができます。それを深い洞察に基づく、プライヴァシーを配慮した手段によって小売業者の皆様の売り上げ増に結びつける。これがわが社のやり方です。広告主の皆様には投資に見合った成果をお届けできるようになります。つまり、2ドルを投じれば3ドルが売上として返ってくる。それなら投資しつづけられます。そうなれば、わが社にとってはとてつもない額の広告収入となります。
WSJD:では、グーグルが利用者の位置情報を携帯電話をつうじて追跡できることについては?
グーグルに勤めて以来、長らく一環してプライヴァシーには高い規準を設けてきました。自らにこのマントラを課しています。「高い透明性。コントロールとチョイス」もし、わたしたちが店舗訪問履歴を追跡しているなら、それは匿名化された方式で収集し、ユーザの個人特定はできないようにします。
WSJD:ツイッターとの検索契約が先日開始されました。グーグルにとっての長所は?
グーグルの検索チームはその詳細についてわたしに報告しておりません。べつべつの部門で自らの業務に取り組んでいます。検索担当幹部のアミット(・シンハル)率いる検索チームが言うには、検索結果にはおおむね満足いただいている、ということです。グーグルにとっては収益をもたらすための契約ではありません。ツイッターとは広告にかんする契約もありますが、これはべつの話となっています。続きを読む
(From the Digits blog post. Thanks to Alistair Barr.)