IBMはセキュリティ情報共有のイニシアティヴによって企業各社の参加を呼びかける

コンピューティングの巨人であるIBMはインターネット・セキュリティ・ユニットをひっそりと強化しはじめた。これは兼ねてより同社がハードウェア関連からの売上に依存してきた歴史から脱し、収益の多様化を推し進める改革の一環として、顧客増を狙ったものである。
この取り組みへのカギととなるのがIBMが進める新しいイニシアティヴで、企業各社がハッキング攻撃の被害情報を共有することを推奨する動きである。IBMのCEOであるジニ・ロメッティはこれについて、事業者が収束する気配のないコンピュータ犯罪を振り払ううための「堅牢なシステム」と評している。
先週ビッグ・ブルーは発表後1か月の「Xフォース・エクスチェンジ」が運営する危機管理情報ネットワークにおいて、16業種にわたる1千社を超える企業の加盟を受け入れたことを公表した。これらの企業は攻撃があった際にIBMに対し20年以上の履歴を問い合わせることができる。この情報は同社が顧客企業から任意で集めたシステムへの攻撃を受けた情報を匿名で保管しているものだ。
「より多く共有していただければ、より多くの保護を受けられます」とロメッティはスピーチ原稿で述べている。これは先週ニューヨークで開催された顧客各社向けイヴェントで彼女が壇上で語ったものである。
スピーチのなかでロメッティは、連邦法の法整備が進むことで企業各社がサイバー犯罪に関して共有できるようになり、この際に情報漏洩の責任を問われる訴訟の心配はなくなると強調した。
「堅牢なシステムは、グローバルな健全な公共システムというお手本があって成り立ちます。わたしたちは力を合わせて、責任問題を心配せずにデータの共有ができるよう、法案の成立を後押しするべきです。そうすることで保てる安全があります」と彼女はIBMの顧客に向けて語った。
サイバー犯罪の脅威についてデータを共有するためには、企業の責任問題を保護するための法整備が必要となる。今年オバマ大統領は、企業及び政府機関がハッキング攻撃に関する情報を相互共有できるための調書にサインした。米国下院はこの法案を通過させ、上院の可決を待つ段階にある。
IBMはセキュリティ事業の規模について内訳を公表していないが、これまで同社はセキュリティ関連各社を数社買収してきた。クラウド・セキュリティ企業の「クロス・アイディア」と「ライトハウス・セキュリティ」は昨年、また「トラスティア」は2013年に10億ドルで買収された。
ロメッティはこれに加えて、セキュリティを「戦略上の優先課題」としてクラウド、モバイル・コンピューティング、アナリティクス、ソーシャル・データに並ぶ柱のひとつに定めた。これらの課題は合計で2018年までに400億ドルの収益に結びつく見通しで、IBMは今年40億ドルを追加投資している。
IBMの売上高は昨年930億ドルで、前年の1千億ドルから減少となった。これは一部には旧来型のコンピューティング・ハードウェアとソフトウェア事業の減速が響いた一方、再編により事業ユニット売却を進めたことも原因となった。2014年に同社はサーバ事業をレノボに売却し、チップ製造関連事業をグローバルファンドリーズに売却した。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)