チャーター・コミュニケーションズがタイム・ワーナー・ケーブルを567億ドルで買収

アメリカ国内4位のケーブル・プロバイダであるチャーター・コミュニケーションズが本日、国内2位のケーブル・プロバイダであるタイム・ワーナー・ケーブルを買収すると発表した。買収は現金および株式で決済し、567億ドルの取引となる。
これに併せて、チャーターは国内6位のケーブル企業であるブライト・ハウス・ネットワークスを104億ドルで買収する。
これらの買収によって、41州において2390万人にサーヴィスを提供する巨大ケーブル企業が誕生する。
規制当局への提出を前提としたとみられる声明文で、チャーター・コミュニケーションズのプレジデント兼首席経営執行役員であるトム・ルートレッジは今回の買収について、コンシューマに数多くの利点があり、高速ブロードバンド通信の展開が加速すると述べている。
「わたしたちがより大きく成長することで、インターネット接続の高速化、ビデオ視聴の快適さ、音声通信プロダクトの万全な整備、そして他社に負けない価格付けといった施策を進めることができます」とルートレッジは声明文で述べている。「それに加えて、新設する高機能施設をてこにした公共WiFiネットワークの充実、光ファイバー・ネットワーク施設の大幅増強により中小事業者の皆様が利用できるサーヴィスのマーケットプレースの開設を実現いたします」
今回の買収は、チャーターがタイム・ワーナー・ケーブルに対する2度目の買収提案で実現となった。買収提案に対抗して現れたコムキャストによる450億ドルの価格提示に対し、規制当局が待ったをかけたことを受けた動きである。すべての規制当局による審査が完了するには数か月を要する見通しだが、ケーブル企業が合流を進めることはデジタル時代において視聴者の利用環境が移行することから不可避とみられる。
今回の成約金額によって、タイム・ワーナー・ケーブルの株価は195.71ドルとなる。
チャーターとタイム・ワーナー、そしてブライトハウスの合併によって、新しい親会社として「ニュー・チャーター」が生まれる。現金と株式を組み合わせた単純でない取引条件のため、タイム・ワーナーの株主は今後、ニュー・チャーターの40パーセントないし44パーセントを保有することになる。
リバティ・ブロードバンドは、通信業界の大物ジョン・マローンの統率する会社だが、ニュー・チャーターの株式のうち19パーセントないし20パーセントを保有することになる見通し。
チャーターはこれまでタイム・ワーナー・ケーブルの買収をめぐって取り沙汰されてきた。2014年前半にもケーブル・プロバイダーである同社を買収しようとしたが、タイム・ワーナー側が金額の上乗せを要求した。そこに現れたのがコムキャストで、タイム・ワーナーに450億ドルを支払う用意があると表明した。
4月には規制当局がその取引の成立に対し独占禁止法を理由に待ったをかけた。そしてチャーターとタイム・ワーナーの交渉再開への道が開かれた。チャーターは今回の好機を逃すまいと決意を固めた。
ネットフリックス、アマゾンといったビデオ・プラットフォームが台頭するなか、アップルもその存在感を見せ始めている状況では、有料TV企業にとっては会員減少のおそれが絶えずあり、業界アナリストも有料TVプロバイダ各社の合併が進むことを予測している。ビデオ会員への収益偏重から脱するためである。
ケーブル企業各社は近年、ブロードバンド販売への依存度がきわめて高まっており、ビデオは事業環境が圧迫されている。ビデオ・コンテントのオーナーであるNFLバイアコムはコンテント提供の報酬を上げようとする一方、ケーブル企業は発生する追加費用のうち、(値段には敏感な)会員からの収益によってまかなえる部分が減少しつつあった。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Chris O'Brien and Mark Sullivan.)