IBMが都市向け緊急サーヴィス・ネットワークを開設しコップリンクをクラウド移行

IBMは都市をよりスマートに変えていくため、緊急サーヴィス管理用ソフトウェアを新設し、同社による警察情報ネットワーク「コップリンク」をアップデートした。
本日、IBMはインテリジェント・オペレーションズ・センター・フォー・エマージェンシー・マネジメントを発表した。このソフトウェアは気象情報会社のデータ・ネットワークを活用して、気象の大変化や自然災害発生を予測し予防する設計となっている。気象データがリアルタイムで取得可能なほか、豪雨があとどのくらいでその地区に達する見込みかといった詳細も提供できる。
豪雨データ解析のほか、インテリジェント・オペレーションズ・センターを活用すると地方公共団体が市内のインフラストラクチャにどの程度影響するか、シミュレーションができる。役所が救急隊員をどこに配置すればよいか、緊急対応に優先順位を設けることも可能となる。また、病院など公共機関で豪雨の到達前に準備をすることで、緊急時でも十分な燃料や電気設備を確保し、運営を通常どおり行なうことに貢献できる。
2014年に世界各地の自然災害によって生じた損害額は1100億ドルにも達したことがミュンヘン再保険会社の調査で判明した。この損害額のうちかなりの割合が合衆国内で生じたと想定できる。2005年にはハリケーンカトリーナルイジアナ州ニューオーリンズをほとんど壊滅に追い込んだ。また、2012年にはハリケーンのサンディがニューヨークやニュー・ジャージーの州域全体を通過し損害を与えた。連邦、州、各都市の行政機関では被害を受けた住民から当局の対応の不備を指摘する苦情が多数あがっていた。その理由のひとつは、IBMが今回提供することになったツールを備えていなかったことかもしれない。
インテリジェント・オペレーションズ・センターの開設にともない、IBMはコップリンクをアップデートする。20年にわたって運営されてきた警察情報データベースである。本日、コップリンクはクラウドへと移行した。
コップリンクは警察当局がそれぞれの州域において、犯罪予備軍とみられる人物が居住および移動した形跡を共有し、前科を州間で一括管理できるソフトウェアだ。警察の捜査履歴も保管することによって、正当な捜査が行なわれているかを裏付けることも可能となる。
ネットワークは22州にわたる6千の警察機関で利用されており、共有される文書は11億件にのぼっている。コップリンクは比較的大型の警察機関に適したツールとなっているものの、IBMはネットワーク・クラウドを小規模な出先機関においても同様のシステムを利用できるよう取り組んでいる。コップリンクがクラウドに移行することによって、小規模な警察機関でもアクセスが容易となる。これはソフトウェアのインストールが不要で、必要経費も少額で済むからだ。
両方の発表はIBMによるセーファー・プラネット・イニシアティヴの一環として行なわれた。危機管理システムの新調とコップリンクのアップデートによってIBMは都市がデジタル対応ツールを備えることによってよりスマートに進化するための適正な道筋を作ったことになる。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Ruth Reader.)