農業テクノロジ・スタートアップのクロップエックスはエリック・シュミット率いるイノヴェーション・エンデヴァーから9百万ドルを資金調達

スマート・イリゲーション・システムを手がけるスタートアップ「クロップエックス」は投資家のリストをますます長いものにする農業テクノロジ企業の1社である。
本日同社は元グーグルCEOエリック・シュミット率いるヴェンチャー・キャピタル「イノヴェーション・エンデヴァー」を筆頭とする投資家から9百万ドルの資金調達を発表した。グリーンソイル・インヴェストメンツ、フィニステーア・ヴェンチャーズも投資家として加わっている。
クロップエックスはモバイル・アプリから、農場に張り巡らせたセンサーから作物の状況、土壌、湿度といったデータを収集し、畑ごとに必要とされる水量を正確に把握できる。農場主は畑に必要とされる以上の水量を流し込む傾向があり、作物の腐敗や排水を招くこともある(農業排水は農地が水量過多となった場合に行なわれる施策で、肥料や化学農薬による汚染水が用水に排出される)。
農業排水には厳格な要件が設けられている。実際に要件を認定され用水に排出できるのはごく一部である。また、カリフォルニア州では旱魃が発生しやすいことから、農場主が必要を超えて消費できる資源とはいえない。
だが、これまでは資源管理のデータは財務体質の強固な大規模農場しかアクセスできなかった。クロップエックスをはじめとする企業はそこに目をつけ、小規模農場主でもデータを取得しやすいツールを提供している。小規模農場関連は近来スタートアップの参入が非常に盛んになっている。
今月、グーグル・ヴェンチャーズはファーマーズ・ビジネス・ネットワークへの15百万ドルの投資で主幹事を務めた。同社は合衆国全体の農場にかんする巨大なデータベースを保有し、作物の効率的な生産をめざし最良の農法を研究している。
データ主導型の農業についてとくに重要な視点は、家族運営の農場が持続可能なビジネスを前提として生産を行なえるようにすることだ。
「持続可能性はこの分野にイノヴェーションを起すうえで根底の考え方といえます」とフィニステーア・ヴェンチャーズの共同創業者でパートナーを務めるアラーマ・ククタイは述べる。
彼によると、農場主は2050年までに90億人の食糧を生産することが必要となる見通しで、生産性はすべての農業においていちばんの課題となるという。だが、食の品質への関心が高まるなか、農場主の多くは化学農薬、駆除剤、肥料の利用に再考を促されている。
「よりヘルシーな食料には需要があります。つまり、量より質というわけです。栄養価の向上、養分構成への関心です」とククタイは述べる。
クロップエックスやファーマーズ・ビジネス・ネットワークといった企業が集めるデータにアクセスしやすくなることによって、ヘルシーな食糧生産への転換が進む可能性がある。データによって、水量を減らし、肥料を減らし、化学農薬を減らすことによって持続可能な農法を実施すると金銭面での利点が得られると判明すればそこから作物の増産や品質の向上を実現するのも可能になる。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Ruth Reader.)