エヴァーノートが元グーグル・グラス幹部クリス・オニールをCEOに起用

新たな成長段階へと進む出発点となるのだろうか、エヴァーノートはフィル・リービンがCEOを退任し、取締役会長になることを発表した。同社は社名と同じ名前のクラウド・ベースの生産性アプリを制作して人気を集めてきた。
クリス・オニールはグーグル・エックス研究部門の事業運営を指揮してきたが、エヴァーノートのCEOとして月曜日から勤務する。今回の人事は全社員出席会議で正式に発表される。
この発表に先立ってリコード誌が行なったインタヴューでは、リービンは今回の人事の理由として、エヴァーノートが今後の積極的な成長段階を実行に移すため、営業およびマーケティング社員を増強する可能性が出てきたことを挙げている。オニールはエヴァーノートの上場を主導することになりそうだと彼は述べた。
「わたしはいつも言っていることですが、会社の最後のCEOになるつもりはありません。また、数年前ですがもし会社が上場するなら、そのときのCEOをやりたくないことに気付いたのです」と彼は言う。「どうやらわたしは、この会社が上場する場面でのCEOを務めることに情熱を傾けられそうにないのです。そこで誰か情熱をもってこの仕事を引き受けてくれる人を探そうと思いました」
エヴァーノートはオニールへのインタヴューを認めておらず、イーメールで送信した質問に対する返答によると、彼は同社のプロダクトについてグーグルCEOラリー・ページが「歯ブラシテスト」と呼ぶ段階、すなわち誰でも毎日2回使えるかという審査をパスしていると評しているという。彼はエヴァーノートのファンだと自任している。「わたし自身、エヴァーノートのユーザである1千万人のうちの1人です。毎日の生活に欠かせない部分です」と彼は述べる。
彼はエヴァーノートの課題である無料ユーザの有料サーヴィス利用促進をさらに強化する計画だという。「世界各地でのユーザ数拡大は順調で、先日から推し進めている収益化の取り組みが奏功している現れとみています。ユーザ数拡大と売上増は成功する企業の酸素であり、今後もこの流れを引き継ぐため、重点投資を行なっていきます」と彼は述べている。「わたしの職務は、会社の優秀なチームをさらに増強し、次のプロダクトと売上の成長段階へと主導していくことであり、併せてエヴァーノートのもつユニークな社風を守り、育てていくことです」
今回の人事を説明するにあたって、リービンは彼自身が通常CEOの職務とされる仕事について「あまり情熱を傾けられそうにない」と明かしている。すなわち、営業チームを編成し、社員が昇進を図る手助けをし、ウォール・ストリートの投資家たちが納得するような予測可能なビジネスモデルを示すこと。
エヴァーノートがまだ達していない、それは成熟企業の証しといえるでしょう、と彼は述べる。ボックスが上場する前にCEOアーロン・レヴィーは四半期決算の電話会見を投資家向けに実施するという定例の職務を幹部に課していた。ニューヨーク証券取引所で取引される18か月前からだ。そうして同社は会計原則のようなものを打ち立て、上場企業の投資家が通常期待するような財務見通しの細部への配慮を行えるように計らった。それは「エヴァーノートがまだ身につけていない筋肉です」と彼は言う。「わたしのDNAにも入っていません」
エヴァーノートはこれまでヴェンチャー・キャピタルやプライヴェート・エクィティから2億9千万ドルの資金調達を実施しており、報道によれば評価額は10億ドルを超えるという。最近同社は四半期決算の電話会見を投資家向けに実施するようになった。
リービンの情熱は、彼によれば、「細部にこだわりすぐに決断を起こせる仕事」に「少数精鋭のナードと取り組む」ことに向いているという。それがエヴァーノートのソフトウェアの改善だった。「誰か会社のスケール拡大を引き受けてくれる人を見つけるべき時期に達しているようです。わたしは自分が得意なことに集中することを引き受けるつもりです」
リービンは今年に入ってからエヴァーノートの取締役会で自分の後任を探したいと率直に打ち明けるようになったという。同社はそこで候補をゼロから探しはじめ、4か月が経った。「フィルがその選出過程を先導していました」と語るのはローロフ・ボーサである。ペイパル幹部を務めたのちセコイア・キャピタルのパートナーになり、同社取締役会にも加入している。ボーサによると、リービンが辞任するよう働きかける取締役はいなかったという。「これは慎重に検討したうえで達した結論です」続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)