NBCユニヴァーサルがヴォックス・メディアとバズフィードに大型出資

先週リコード誌ではNBCユニヴァーサルがバズフィードとヴォックス・メディアへの出資に関心を示していると報じた。
この商談は成立したことがわかった。NBCユニヴァーサルとヴォックス・メディアは本日この取引を発表した。
というわけで現時点でのヘッドラインをお伝えします。メディアの巨人である同社はヴォックス・メディアに2億ドルを出資し、同社への出資前評価額は8億5千万ドルとなったことが複数の関係者への取材で判明した。言い換えればヴォックス・メディアは3億ドル近くを調達したことにより10億ドル以上の企業価値になった。(NBCの親会社であるコムキャストは以前ヴォックス・メディアに、傘下の投資会社であるコムキャストヴェンチャーズを通じて出資している)
一方バズフィードはNBCユニヴァーサルの出資を受けて15億ドルの評価額になるとみられる。今回の出資はやはり2億ドルになり、以前弊誌で報道した2億5千万ドルではなかったことを複数の関係者が明かしている。弊誌の取材では今回の取引に伴いセカンダリー取引(初期投資家と従業員が持ち株を売却する)が発生しているものとみられる。
バズフィードとNBCユニヴァーサルの取引は今週中の発表を見込むと複数の情報源が明かしている。
わたしのかつての上司であるヘンリー・ブロジェットがいつだか言っていたが、今回の案件によって両社の利害は抵触することになる。というのも、リコードはヴォックス・メディアの子会社となっているためだ*1。それから、自分の勤務先の親会社について書くのはあまり気が進まないことであるが、とにかく進行中の案件であり、書いておく。
ヴォックス・メディアCEOジム・バンコフ(わたしの上司だ)はNBCユニヴァーサルからの出資について、両社は業務提携を結んだと述べている。これはとりもなおさず、デジタル広告、動画広告、動画番組編成にわたって協働を行なうことを予告するもので、ヴォックス・メディアの従業員はCNBCをはじめとするNBCユニヴァーサル傘下にあるネットワーク各局での登場機会が増えるものとみられる。
バンコフにヴォックス・メディアがNBCユニヴァーサル傘下のチャネルで番組編成に(ちょうどヴァイス・メディアがA&E傘下のH2チャネルに関わっているように)携わることはあるのかと訪ねたところ、次のような返事が来た。「たしかなことは今はいえません」
NBCユニヴァーサルとバズフィードの取引に関するかぎり、両社ともコメント要請に応じていない。
以前わたしは記事に書いたことがあるが、ゴウカーが今日非公式に漏らした財務報告書によると、バズフィードはこの数年急成長を遂げている。同社は2012年の売上高が2千万ドル、2013年は6千万ドル、2014年は1億ドルを超えている。同社の内情に詳しい複数の人物によると、同社の売上高目標は2015年に2億5千万ドルだという。
今回の両社への出資の前提は、NBCユニヴァーサルの中期計画におおむね沿ったものとなっている。同社はコムキャストに買収された数年前から、どちらかといえば目立たないデジタル出版社のひとつとなっており、急成長しているデジタル出版社に大型出資を行なってきた。これによって同社が業界への知見を深めることにもつながるとみられ、さらにこの路線を推し進めるつもりがあるなら、あと1社や2社を買収する可能性が十分ある。
ヴォックス・メディアとバズフィードの相反関係はその気になれば解消するのはたやすいだろう。両社は持分を現金と引き換え、それによって成長戦略の強化に投じることができる。また、TV業界大手である同社はいまでもデジタル出版社をはるかにしのぐ広告収益と売上高があり、戦略協定を結んだことは大きい。

  • 1(この抵触についてもう少し知りたい人へ。NBCユニヴァーサルは、リコードのかつての親会社であるリヴァール・デジタル社の大株主だった。またヘンリー・ブロジェットの配下でビジネス・インサイダー社に務めていたことがあり、そのため別々のデジタル・メディア企業に財務的な利害関係がある)

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(From the Re/code blog post. Thanks to Peter Kafka.)