スクエアでジャック・ドーシイが頼りにする幹部、アリサ・ヘンリーとは

アリサ・ヘンリーはテクノロジ産業に長らく関わり、すぐれた来歴をもつひとりであるが、そのわりに表舞台に出ることが少なかった。しかし、徐々にそれは変わりつつある。
ヘンリーは昨年春にアマゾンからスクエアに移籍してきた。アマゾンでは同社のクラウド・コンピューティングおよびストレージ事業でありいまや50億ドル規模へと成長したアマゾン・ウェブ・サーヴィシズの運営を担当してきた。スクエアの役職において彼女は急速にその地位を固め、スクエアの内情を知る人たちからはジャック・ドーシイが近いうちにもスクエアとツイッターのCEOを兼務することから離れる可能性を指摘する声が強まっていた。
そしてドーシイがじっさいにスクエアCEOから離れた場合(彼自身は一度ならず二度にわたってこれを否定したものの)彼女が社内で彼の後継にもっとも近いひとりに上がるだろうとの声が聞かれる。
ヘンリーは2014年4月にスクエアに加入したが、シリコン・ヴァレイではほとんど話題にならなかった。その理由のひとつは彼女がシアトルから来たためで、アマゾンに8年以上勤務した前には10年以上マイクロソフトに勤務していた。彼女はAWSのファイル・ストレージ事業(S3プロダクトも含めて)全体を統括していた。
ヘンリーは当初、スクエアのインフラストラクチャと決済プラットフォームを担当するエンジニアリング・チームを統率するために雇われた。彼女の役職は昨年後半から範囲を広め、デザイン、プロダクトのほか、スクエアの加盟店向けソフトウェア・プロダクトを開発するエンジニアリング・チームの責任者を兼務するようになる。
AWSでは、小規模インターネット企業においてはアマゾンのソフトウェア・プロダクトを安価で利用してウェブサイトの維持ができるという事実を信奉してきた。彼女はスクエアでもこれと同様のミッションを追求できることに惹かれたという。
「わたしはスクエアを非常に近いミッションだと捉えています。ただし、テクノロジ以外のアントレプレナーに役立つのが仕事です」と彼女はインタヴューで述べている。
ヘンリーは現在スクエアのもっとも大きな部署を受け持ち、数百人の社員を部下にしている。スクエアがIPOへ向けた足取りを早めるなかで(同社は公式には認めていないが)ヘンリーの部署の貢献によって同社のプロダクトのポートフォリオが堅実な利益体質を備えた構造になるか、スクエアの経営多角化を下支えできるかといった点が注目される。
昨年、スクエアは新しいプロダクトを多数初披露目し、スクエアの会計ソフトウェアと決済処理サーヴィスという二本柱を目当てに寄ってきた店舗オーナーが採用を検討するよう働きかけている。給与計算、イーメール・マーケティング・ツール、さらには売上金の即時入金が可能な機能も備えた。スクエアは加盟店向け現金前渡し制度も提供し、これは1日あたり100万ドル規模に成長している。将来的に同社は貸金業者に転じることも視野に入れている。
ヘンリーがこれらの成長を支えるために行なった施策のひとつは社内構造だという。彼女の配下チームを3つに分け、決済、金融サーヴィス、マーケティング・サーヴィスを分担させたという。
「はっきりさせたほうがよいことは、どの顧客に注力するかというチームの色分けをすることです。誰のためにそれを作るのか、なんのためか?」とヘンリーは語る。「これをはっきりさせることが肝です。チームの人数が増えるにつれ、意思決定の明確化とともに、誰が責任者なのかを可能な限り明示することが求められるのです」
60億ドルという企業価値と大きな期待に見合った会社であるため、スクエアは新しいビジネス創出を固め、離陸することが必要である。それが達成できれば、多くの人がヘンリーを知るようになるだろう。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Jason Del Rey.)