アングリーバーズのロヴィオ幹部が隠し玉を明かす

ストックホルム)アングリーバーズのメーカーにとって、見通しは決して良好とはいえない。フィンランドを本拠とするロヴィオは『アングリーバーズ』によってモバイル・ゲーム流行を先導してきたが、先週同社は従業員の40パーセントに相当する260名の削減を発表した。
2014年ロヴィオの粗利益は前年比70パーセント減の1100万ドルと大幅に縮小したことが同社の提出した報告書で判明した。
それにもかかわらず、水曜日に行われたテクノロジ・コンファレンスで同社の上級幹部の一人は強気の姿勢を崩さなかった。アングリーバーズのブランドは同社の財務状況の悪化に影響されず順調であると述べた。「わが社は現在の状況に満足しております。ただ、少し整理すべき余地もあります」とロヴィオのチーフ・マーケティング・オフィサーを務めるピーター・ヴェスタバッカはインタヴューで語った。「ヒット次第のビジネスであることはたしかです。それでも自信はあります」
この自信はオンライン・ゲーミング・ビジネスが競争激化する世界的な傾向のなかでは、きびしく試されている。
この2年ほど、フィンランド発のスーパーセルや、スウェーデン発のキング・デジタルといった競合各社がフリーミアムとよばれる形態のゲームを提供し、ロヴィオをしのぐ勢いとなった。これらのゲームでは、オンライン・ゲームを無料でダウンロードすることが可能で、プレーヤーのライフを追加したり、プレミアムのレベルを入手するには課金が行われる。フリーミアムのビジネス・モデルはとりわけアジア諸国で好調で、たとえば韓国では追加サーヴィスのために料金を払うことに人々の抵抗がなくなっている。
ヴィオは最近ではフリーミアムのゲームへの移行を進めている。最新作のひとつ『アングリーバーズ2』では最初の1か月で5千万回を超えるダウンロード回数を達成した。ただ、これは大きな数字だがトップ・ゲームのなかでは遅れをとっている。その遅れは取り戻せないかもしれない。いまでも1億5千万人がロヴィオのゲームを日常的に利用しているものの、同社はこれまでに記録水準から1億人ほどの月間ユーザ数減少をみてきた。
フリーミアムはじつにたいへんです」と語るのはダニエル・カプラン、彼はマインクラフトを制作するモージャングで事業開発を行っている。同社は昨年、25億ドルでマイクロソフトから買収された。「ゲームを制作するのがたいへんというよりも、注目を集めるのがたいへんです」
競合との差別化を図るため、ロヴィオはこれまでゲーミング会社にとどまらない存在感の創出に取り組んできた。2009年から同社はアングリーバーズのブランドを世界各国で売り出すため、ライセンス契約を締結してきた。その分野は教育、テーマパーク、そして来年には映画にも進出する。
今回のリストラクチャリングの一環としてロヴィオはこれらの取り組みを削減するとみられる。それでも、ゲーミングとライセンス事業は基本的な事業戦略の中心をなす。
「ディズニーのやってきた内容とさほど変わりません」とロヴィオのヴェスタバッカ氏は述べる。「アングリーバーズはゲーム、映画、テーマパークのいずれでもありません。つまりはブランドです」
アングリーバーズがどの程度成功するかは、長期的にみればロヴィオ自身が事業を立て直すことができるかにかかっており、キング・デジタルやスーパーセルといった競合がスマートフォン・ユーザ向けオンライン・ゲームの重点投資を進めているのと対抗できるかだ。
ヴェスタバッカ氏はロヴィオがアングリーバーズの映画に関連した新作ゲームを幾つかリリースする予定だと述べており、2015年後半にも新しいブランドの発表も控えていることを示唆した。
「ロヴィオが世に出てきたとき、小さな企業であっても成功することは可能でした」とスカイプ共同創業者でロヴィオの出資者でもあるニクラス・ゼンストロームは水曜日に述べている。「しかし、これからは市場の競争に勝つため資金が必要です。ゲームについては、とりわけ難度は高いでしょう」続きを読む
(From the NYTimes.com blog post. Thanks to Mark Scott.)