ストライプは「購入」ボタンのワンストップ店開設を発表:ソーシャル・ネットワークの参加有無がカギ

ストライプは「ソーシャル・コマース」が大きく伸びるとみており、小売業各社と有力ソーシャル・ネットワーク数社を「購入」ボタンで結びつける縁結びを買って出ようとしている。同社は月曜日に新しいイニシアティヴを発表した。だが、これが成功するかどうかは実際にソーシャル・ネットワークがその案に乗ってくるかにかかっている。同社は手始めにツイッターとの契約を結んだ。
今回のプロダクトはサン・フランシスコで同社が主催したイヴェントで発表され、小売業各社が商品をストライプの在庫一覧としてカタログに載せ、それをソーシャル・ネットワークとアプリを経由して販売するというものだ。だが、ストライプはソーシャル・ネットワークやアプリの制作元に契約したいと思わせなければならない。
月曜日のイヴェントで同社はワービイ・パーカーとサックス・フィフス・アヴェニューが第1世代の提携小売業者としてストライプの新しいプロダクト「リレー」を経由して自社イーコマース・サイト外での販売に踏み出す。ストライプはこれに併せてツイッターと、プロダクト・ディスカヴァリ・アプリの「ショップスタイル」が小売業各社との連携で販売に参加するプラットフォームになったと発表した。
一方、ピンタレストはイーコマースの観点からすれば小売業各社がいちばん関心を寄せるプラットフォームとみられるが、参加を控えていることが数名の関係者への取材で判明している。ただし、今後変更されるかもしれない。
「ストライプは弊社のバイアブル・ピンズにおいて協業している大事なパートナーです」とピンタレストのスポークスパーソンは述べている。「今回のプロダクトには参加しておりませんが、今後のますますの進展を期待しております」
ストライプCEOパトリック・カリソンはイヴェントで次のように述べている。「小売業の皆様には、着手しようとしてもアプリがたくさんありすぎて、どのチャネルを通じて統合すればよいかわかりにくくなっています。リレーは一箇所の手続きだけで、いくつもの場所で販売促進活動が行える、加盟店の味方となります」
ストライプは今回の開設にあたって、昨年から合衆国内のコンシューマ向けテクノロジ・プラットフォームで展開してきた「購入」ボタンを増幅させて収益の改善に結び付けたいというねらいがある。ツイッターピンタレストフェースブック、グーグルはいずれもプラットフォーム上で直接商品を購入できる機能を開設しているか、近日中の開設を発表している。
こういったイニシアティヴに共通するアイディアは、多くの人がプラットフォーム上で長い時間を費やして、商品を物色するのに利用しているという事実が前提になっている。だが、その人たちは必ずしも買い物をするためにログオンしているのではない。
そこで「購入」ボタンがあれば、見つけた瞬間に「買いたい」という欲求を満たすことにつながり、外部サイトへ購入のためにクリックして流出するよりも、プラットフォームにとって売上増になる。とりわけ携帯電話では、必ずしもショッピング・サイトのすべてが十分に最適化されているわけでなく、「購入」ボタンの有効性は高まる。
小売業やソーシャル・ネットワークの大手各社は個別に連携しようとしても難題は多く、たとえばツイッターで商品が売れた場合、実際にその商品が在庫しているか確約するのは難しい場合がある。
ソーシャル・コマースがうまく軌道にのれば、ストライプはその成功の利益をいちばん多く受ける可能性が高い。ストライプはこれまで、ソフトウェア・メーカーとして各種アプリやサイトの保有者が決済手段として採用することで知られていた。クレジットカード、中国のアリペイ、ビットコインと選択肢は広い。
今回ストライプが各社に売り込みを図る「購入」ボタンの導入は、小売業とソーシャル・ネットワークの双方を連結するという面倒さを引き受けることによって、契約の更新などを省略できることがセールスポイントとなっている。小売業各社や、ストライプの決済処理を利用している加盟店はリレーの利用料が無料となっている。
だが、開設にあたって参加を表明しているソーシャル・ネットワークツイッターだけで、今後他社が追随するかは明らかでない。複数のソーシャル・プラットフォームと連携することがストライプにとって肝心である。小売業各社にとってはリレーを利用することで他社プラットフォーム上で商品を販売する場合の難題をいくつも克服できるものの、まずは販路となるプラットフォームが整備されることが参加のきっかけになるだろう。言い換えれば、ピンタレストフェースブックといった人気プラットフォームを招き入れる必要がある。つまりは、ツイッターピンタレストで販売したい小売業者はストライプを経由しなくても直接これらのプラットフォームと契約するという手もあるのだ。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Jason Del Rey and Kurt Wagner.)